flying 〜The sky story〜 7

「つまり」
太一たちの部屋に行き、8人はソファーやベットに腰掛ける。
光子郎は手の中のウンディーネの宝珠を、眺めながら、話しを切り出す。
「この宝珠は8つ集めないと、それぞれのバランスがあわなくて、アレクタリスに弾かれてしまうみたいですね」
アレクタリスは『精霊たちのちからを均等に集めた剣』なので、属性が傾くと、力の均等が崩れてしまう。
「ウンディーネが先程アレクタリスに収まるのを拒んだのもその均衡を崩さないためなのでしょうね」
光に反射して、ウンディーネの宝珠・・・藍玉(アクアマリン)がキラリと光る。
「でも気になるのは・・・」
ヤマトがそこで口を開く。
「ウンディーネがさっき言った言葉・・・何で光子郎を選んだんだろ・・・?」
『あなた。あなたの心はとても居心地がよさそう。私はあなたの中で休ませてもらうことにします』
そう言ってウンディーネは、光子郎の手をとり、宝珠に変わった。
「光子郎の精霊加護は?」
「僕は風です」
『精霊加護』とは、つまりその人の持つ一番強い精霊の属性の事である。
例えば光子郎の場合、精霊加護は『風』系。
『風』に守られている光子郎は、相手からの風系の攻撃に対して耐性がある。
同時に、風系の攻撃の威力も強い(光子郎は天使なので攻撃系、つまり魔術は使えないが)
しかし逆に反対精霊である『地』系には弱い。
『精霊加護』とは、自分がもっともその精霊に好かれ、守られているかと言うものなのだ。
「風系の精霊加護を持っているのに・・・何で」
ヤマトは顎に指を当て、考える。
『私が説明いたしましょう』
「え?うっわわわわわわっ!」
いきなり光子郎の持っているウンディーネの宝珠が光を放ち、光子郎は驚いて落としそうになってしまう。
しかし宝珠は水のように溶け出し、何倍にも膨れていく。
それは人の形にだんだんなっていき、先程のウンディーネの姿になった。
ウンディーネはニッコリと光子郎に微笑む。
つられるように微笑み返す光子郎に、面白くないのは隣に座っているミミ。
ギュッと横から光子郎を抱きしめると、キッとウンディーネを睨む。
ウンディーネはクスクスと笑いながらミミと、真っ赤な光子郎を見て微笑む。
「あ、あの・・・ウンディーネ・・・?」
恐る恐る、と言った感じで太一が話し掛ける。
ウンディーネは太一の方を見て、また微笑む。
「あの、さっきの話しの・・・」
「ああ・・・何故私が光子郎さんを選んだか、でしたわよね?」
コクリと太一は頷く。
ウンディーネはニッコリと
「何となくですわv」
と言う。
『・・・は?』
8人全員から同じ声が上がる。
「ですから、何となく。・・・まぁもう少し申し上げますと、光子郎さんが一番私と波長が合っていた、という感じですわ」
ウンディーネの説明では、こうだ。
属性王たちが宝珠になる場合、アレクタリス(剣本体)が基盤となり、力を与えてくれていたが、まだ8つの宝珠がまだ集まっておらず、アレクタリスにはめられない場合、自分ともっとも波長の合うものから『力』を分けてもらう必要があるのだ。
「太一さんがアレクタリスを回復していたようなものかな?」
「そうですわね。そんな感じですわ」
「でも、何で力を分けてもらうんだ?」
ヤマトの質問に、ウンディーネは苦笑する。
「いくら属性王といっても、本来私たちは属性のもの・・・私で言いましたら水ですわね・・・の傍に居て生活するものなのです。
そこから離れるとなると、どうしても他の力の供給源が必要となるのです」
「でも・・・僕の精霊加護は『風』です。何故ウンディーネ・・・水属性なんでしょうか?」
「先程も言いましたように、波長がもっとも近いからなのです。
『波長』とは属性に関せず、私と光子郎さんの相性の問題なのです」
ニッコリとウンディーネは微笑み、ミミはまた睨む。
ウンディーネはその視線をサラリとかわし、ミミを見る。
「別に私はあなたから光子郎さんをとりはしませんわ。だってこの方の中、書物や調べ事以外にはあなたの事でいっぱいですものv」
「ぇえーっ!!」
光子郎は真っ赤な顔でウンディーネを凝視する。
「なっなっな・・・っ!」
ウンディーネは光子郎の方を見ると、少しすまなそうな表情で、
「あら、すみません・・・どうしても心が見えてしまって・・・」
「だからって言う事はー―――っ!」
顔を真っ赤にして混乱する光子郎に対して、ミミはご機嫌だ。
「ミミ、ウンディーネの事好きになっちゃったvねぇ〜他にも光子郎くんがミミの事どう思っているのか教えて〜vvv」
「・・・そうですわねぇ・・・」
「わーっ!わーっ!言わなくていいですってばー!!」
太一たちはその様子を呆れたように見、溜息をつく。
「あのー光子郎くん、ミミちゃん?話しを戻してもいいかしらー?」
空がニッコリと聞くと、光子郎はすみませんとすまなそうに席につき、ミミはややつまらなそうに口を尖らせながら座った。
「じゃあ、他の属性王はどこに居るか知っていますか?」
丈が聞くと、ウンディーネは首を横に振る。
「アースに居ると言うのはわかるのですが・・・場所は・・・」
すまなそうにウンディーネはうなだれる。
「ううん!ウンディーネが悪いんじゃないんだから、落ち込まないで!」
ヒカリが、ね?とウンディーネに微笑みかける。
ウンディーネはヒカリにつられるように微笑むと、ありがとうございます、と返した。
「じゃ、しょうがないから次に行く目標を立てよう」
太一が話しを切り替えると、はいっとタケルが挙手した。
「昨日ヒカリちゃんと情報を集めていた時に聞いたんだけど・・・どうも麻汝羅大陸で最近崖崩れが頻繁に起こっているらしいんだ」
ね?とタケルはヒカリの方に促す。
「ええ。時期も1年位前って一致するし・・・言ってみたらどうかな?」
「そうね・・・とりあえず他に何にも情報は無いみたいだし、行ってみましょうか?」
「港、船あるかな?」
「とりあえず、明日は準備を整えましょう」
空たちは作戦に入る。
ウンディーネは光子郎をそっと見、ニッコリと微笑んだ。
「あなたたちに、水の煌きがありますように」
そう言って、宝珠へと戻っていった。



☆NEXT☆


コメント

ウンディーネさんはおっとりとー(笑)
後7つの宝珠・・・!このペースで行くと終わりが見えないけど、早くも書けない・・・(泣)
また長くなりますが(もう決定)またお付き合いの程を・・・!