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flying 〜The sky story〜 45 「グラビティプレス!!」 広範囲で太一は術を繰り広げ、ワイバーンを地に静める。 が、これもそんなには持ってはくれないだろう。 「・・・ヒカリ・・・タケル・・・!」 ふと眼を移すと、ちょうどタケルとヒカリがその身に光る球体を収めようとするところだった。 途端、タリスマンを身に付けているはずの二人から翼が出現し、その身体はクタリと力を失った。 「ヒカリ・・・タケル!!」 太一は思わずそちらに背を向けてしまった。 と、後ろの方でパァッン!!と風船が弾けるような音がして、術が破られてしまった。 ハッと気付くと、ワイバーンの尾がこちらに向かって勢い良く振り落とされようとしている。 「バリアー!」 咄嗟に空が防御呪文を張ってくれたが、すでに第一撃目でヒビが入ってしまっている。 ワイバーンがまた尾を振り上げたので、太一は急いでその場から飛び去った。 「太一!ボンヤリしちゃダメじゃない!」 と、隣りに来た空に叱責されてしまう。 「悪ぃ・・・でもヒカリとタケルが・・・!」 そこでまた尾が飛んで来る。 今度はちゃんと予期していたので、二人はあっさりと避けた。 「タケルさんとヒカリさんなら大丈夫ですよッ。 相手はマクスウェル・・・今までの精霊も力を試そうとしたけれど、本気は出していなかったでしょう?」 「そ・れ・にぃ・・・こっちもこっちで結構キツイし、ねっ!」 ミミはラビッシュブレスを避けると、そのままの体勢で大きな火球を打ち当てた。 が、それはワイバーンの皮膚を少し黒くしただけであった。 「も〜!ほんっとにワイバーンって戦い辛い〜〜〜!!!」 プリプリと怒りながら、ミミは辺りを飛び回る。 しかし、太一の言葉で気付いたヤマトも先程よりも注意力が散漫になってしまっている。 「くそ・・・ッ・・・!グランドダッシャー!!」 ヤマトはワイバーンの足元を崩そうと地系魔術を使う・・・が。 「なっ?!」 「ヤマト!!」 術は発動せず、逆にヤマトはワイバーンの起こした風によって強か岩に叩きつけられてしまった。 再びヤマトを狙おうとしたワイバーンを、丈が何とか意識を逸らしてくれたのだ。 高位階級に近い『力』を持ち、風見師の資格を持っているヤマトにとって、術の不発はかなりのショックな事だった。 「・・・クソ・・・ッ!」 咳き込みながら、ヤマトの気持ちは焦るばかりだ。 タケルたちが心配だ。 だって彼らは、まだ幼い存在なのだから。 ・・・守ってやらないと・・・! ヤマトは翼の調子を確かめると、早くワイバーンを倒してマクスウェルのところへ向かおうと駆け出した。 ―――――そこは真っ白なところだった。 ふと眼を開けると、フワフワと中に浮きながら、静かに落ちている感じであった。 つま先に硬質なものの感じを受け、ヒカリはその『地面』に足をつけた。 (・・・ここ・・・) 声を出すと、辺りへ静かに反響していく。 クルリと振り返った時に、自分の翼が目に入った。 すべてが真っ白なこの中で、翼がいつもよりも色が入って見える。 (私・・・・・・そうだ、マクスウェルの試験で、自分の中の精霊を見つけるために・・・球体を―――) そっと足を出すと、まるで水の抵抗にあっているかのように一歩が重い。 (白・・・と言うことは・・・レム?) ヒカリは戸惑いつつも、レムの名を呼んでみる。 (・・・レム・・・?私の中に居るのは・・・レム、なの・・・?) 声は反響し、音となって辺りに響いては砕けていく。 辺りは痛いくらいの『白』で構成されており、影も無ければ曇りも無い。 陰影が無いので、辺りの配置もわからず、一歩一歩が酷く怖いものである。 (・・・レム・・・!) もしかして、レムでは無いのかと心配になった時、かすかな声がヒカリの耳に入ってきた。 歩くのも声を出すのもやめ、ヒカリはその声に耳を傾ける。 (・・・・・・だれ・・・・・・?) ひっそりと聞こえていたソレは、だんだんはっきりと耳に聞こえてきた。 (・・・誰・・・?) 幼すぎるとも言えない女性のその声に、ヒカリは引き寄せられるように近付いて行く。 と、強い力がグングンと一点に集まってきた。 多分、光る等の何らかの現象が起こっているのだろうが、何せ辺りが白なので何も変化がわからない。 わかるのは、ただ強い精霊の力が収束していると言う事だ。 (・・・誰?) 声は先程よりもはっきりとし、ヒカリの前に聞こえてきた。 (わ・・・たしは、ヒカリと言います・・・。・・・あの・・・あなたは、レム・・・ですよね・・・?) やや確信じみて聞いた言葉には、何故か答えは返ってこなかった。 (・・・あの・・・?) (そう。私がレム。光の属性王・レム。) それじゃあ!と、ヒカリはパッと顔を輝かせるが、レムの声は沈んでいる。 (・・・私は光。光の属性。白の象徴・・・あなたも、ソレで私を呼んだのでしょう?) (え・・・ぇえ・・・) 思っても見なかった質問を返され、ヒカリは思わず口篭ってしまう。 (私は光。皆の希望の象徴。明るみを覚えて人は、その喜びを知る。・・・でもそれは、私にとっては重しにしかならない) ねぇ。と、レムはヒカリに逆に尋ねてくる。 (人は私を感じ、ぬくもりを知る。ならば私は、ただ光の中で何に希望を持ち生き行けばいいと思う?) その頃、タケルも全く同じ状況に立たされていた。 あえて違うところを言うなれば、それは『光』ではなく『闇』で、辺りが黒で構成されていると言うことだ。 そして、タケルは知らないが、聞こえてくる声はレムよりも少し低めの声だった。 タケルの中に住むのは、シャドウだったのだ。 やはり日が全く射さないので、シャドウの姿は見えず、声だけが辺りに響いている。 (私は闇。皆の絶望の象徴。暗やみを覚えて人は、その恐さを知る。・・・でもそれは、私にとっては重しにしかならない) ねぇ。と、シャドウはタケルに逆に尋ねる。 (人は私を感じ、せつなさを知る。ならば私は、ただ闇の中で何に希望を持ち行き行けばいいと思う?) (え・・・えぇと・・・) 本当に突然の事で、タケルは言葉に詰まってしまう。 精霊との試験と聴いたので、契約するには戦うか何かをせねばならないとは思っていたが、まさかこう唐突に聞かれるとは思っていなかったのだ。 (教えて) 精霊は答えを要求する。 (私はあなたの中に住まうもの。・・・タケル、私はあなたの中の闇に住まいて居る) けれど、とシャドウは続ける。 (あなたはそれでも希望と絶望をちゃんと持っている。あなたと私の違い・・・ソレを私は教えて欲しい) そう、そしてその問いは即ち、ヒカリにも通じているのだ。 ・・・これが、マクスウェルから二人に課せられた『試験』なのである。 コメント ちょいとばかし進みました☆ とーりーあーえーず精霊集めをちゃんとさせなくてはね!(苦) ムム・・・がんばってまいります・・・! |