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flying 〜The sky story〜 43 「ひっ・・・―――――ぐああぁぁあああぁあっ!!」 光の圧力でバキラたちは圧され、止む頃には失神してしまっていた。 太一たちも光で眼が眩んでしまったが、それで押しつぶされる事は無かった。 瞼の裏側まで刺して来る光が弱まったのを確認すると、7人は眼を開ける。 「・・・シ、シリア・・・?」 先程バキラに刺されてうつ伏せに寝ていたところにシリアの姿はなく、代わりに浮いている光の中心に人の姿が確認できた。 その光も段々と弱まっていき、光は再び地へと降りていった。 姿を現せたのは、少年と言ってもいい位の青年。 くすんだ金色の短い髪に、紫紺の服。 全体の作りはシリアだが、髪の色などが微妙に違う。 そしてこちらの姿は、シリアのときよりも大人びて見える。 服は襟がありノースリーブで、スカートとも思えるくらいの長い裾だが、靴は履いては居ない。 眼には、丸く小さなメガネをかけている。 外見で年齢を判断するのなら、二十歳前くらいと言うところか。 青年は迷わず太一の元へと歩いていく。 「・・・癒しを」 言うと、蒼い光が太一を包み、傷を癒していった。 「ごめんね」 そしてしゃがみ、汲剛石のはめられている箇所に手を添えた。 すると汲剛石は砕け散り、太一に『力』が戻っていく。 「太一は一度、大切な人が失ってしまうところを、見ちゃった事があったっけね・・・」 太一は耳を貸そうとはせず、まだ俯いている。 空たちは戸惑いつつ、そちらへと歩んでいく。 「・・・シリア・・・マクス・・・ウェル・・・?」 どういう事だと7人はざわめく。 「ウンディーネ、イフリート、シルフ、ノーム」 青年・・・マクスウェルが呼ぶと、精霊たちははすぐに宝珠から人へと姿を変えた。 「気付いていたのに黙っててくれてありがとう」 「いえいえvマクスウェルの事だから何か策があるかと思いましてv」 シルフは褒めてもらって嬉しそうに笑顔を浮かべてマクスウェルに返す。 ウンディーネ、イフリート、ノームもニコリと笑みを返し、一礼をする。 マクスウェルはそれに応え、太一の方を向いた。 「・・・いつから僕がマクスウェルだと?」 太一はまだ顔を上げない。 それでも、答えを返す。 「・・・名前を聞いた時、あれって。・・・シリアはシリウス星を指す。 ・・・そしてシリウス星は・・・・・・」 「僕の属星、と」 太一は頷く。 「・・・それから、やっぱり天聖歌を唄える事。 ・・・『音』の属性は、『無』と『風』のフリンジエレメンタルだから・・・」 「そうだね。『音』の属性は『風』にも属している『無』・・・『無』の方が力が強いからね・・・他には?」 「お前、オーガに襲われるかもしれないっていう状況なのに、『大丈夫』って言い切っただろ? 最初は天聖歌があるからかって思ったけど、オーガたちが避けていった。 ・・・あれは、オーガに睨みを効かせていたんだろ?・・・それに・・・」 太一は一度言葉を切り、ようやく顔を上げてマクスウェルを見いた。 「お前がオレにヒントをくれたんだろ?『真名(まな)を呼べ』って」 するとマクスウェルはうん。と笑顔で頷いた。 「見込んだ以上だよ、太一。まさか名前でわかっちゃうなんてな・・・」 芝居、自信あったんだけど。と、全然悔しく無さそうにマクスウェルは呟く。 『属星』とは、その属性が例えられている星の事である。 ウンディーネは『カノープス』 イフリートは『レグルス』 ノームは『カペラ』 シルフは『アルタイル』 レムは『スピカ』 シャドウは『ベガ』 マクスウェルは『シリウス』 ゼクンドゥスは『リゲル』 とされている。 これは『力』とは関係は無く、人間が関連付けたものである。 それでも広く世界『アース』に広がっているので、精霊や神界のものたちも知っているのだ。 「さてと・・・それじゃ・・・」 そこで、マクスウェルの周囲が光り始めた。 束縛陣だ。 「こ、これって・・・?!」 空は焦る。 束縛陣はその名の通り、その陣内のものを動けなくしてしまうのだ。 「・・・これは良い」 声が聞こえた方を見ると、オリズがソコに居た。 「美しい声とは思ったが、まさか精霊とは・・・!」 「お前・・・陣術も操れたのか・・・!」 「端齧りだがな。・・・だが威力は保証するぞ?」 実際にマクスウェルが少しでも動くと、パリッと電気のようなものがその部分から出てくる。 「大丈夫よ、だってマクスウェルよ?そんなの抜けるのなんてカーンターン」 シルフが笑いながら空に話してやる。 「うん・・・でもまぁキミにはお世話になったしね。少し相手してあげようかな」 マクスウェルは言うと、右手を軽々と動かして陣を破ってしまった。 そしてオリズは次に輝黎歌を歌い出した。 ビリビリと空気を震わせてくる『声』に太一たちは圧されてしまう。 精霊たちは無事で、マクスウェルはニコッとまた笑みをもらす。 「・・・限りない癒しを・・・」 マクスウェルは天聖歌を唄い出す。 「・・・あ、身体が楽になった・・・」 と、身体を押し付けていた重力が消えた。 歌を唄っている二人の間の空気は、目に見えて空気の振動がわかる。 声を聞いているだけなのなら、とてもそれはいいものだが、オリズにしてみればマクスウェルの歌についていくのがやっとである。 「マクスウェル、あまり遊ばれては・・・」 ウンディーネに諌められ、マクスウェルは音質を上げる。 「・・・ぐ・・・が・・・っ」 だんだんと声に乱れが生じてきた。 「久遠なる天の理を知りて、我とともに汝は永久(とこしえ)なる戒律を栄に統べしなり」 その節でオリズは遂に歌をやめてしまった。 「じゃ」 マクスウェルはオリズに手を向ける。 「悪いけどキミの歌はちょっといただけないからね。封印するよ」 言い、掌に浮かんだルーンを失神してしまったオリズへと放つ。 一連の動作を終えると、マクスウェルはまた太一たちの方に身体を向けた。 そのあまりの力の威力に、8人は呆然としてしまう。 「・・・さて・・・アレクタリスの件なんだけど」 どうしよう。とマクスウェルは呟く。 「え?アレクタリスに戻ってくれないんですか?」 「んー・・・やっぱり僕も試練を出した方がいいかなって」 言うとマクスウェルは、円陣に近付いた。 「・・・よし。こうしよう」 そしてマクスウェルが手をかざすと、陣が再び光り始めた。 それは先程バキラたちがニーズホッグを喚び出そうとしていたものである。 太一たちは慌てるが、マクスウェルは『大丈夫』と言う。 「ここに居るのはニーズホッグじゃないよ。ここに封印されているのはワイバーンだ」 多分、何かの拍子で間違ったものが伝わっちゃったんだね。と付け足す。 「キミ達にはこれと戦ってもらって、勝ってもらう。それが協力の条件だ」 ワイバーンは翼を持つ黒竜だ。 『無』の属性を持ち、口から吐かれるラビッシュブレスに触れてしまうと、そこは灰になってしまう。 耐久を持っていれば防げるものだが、竜の中でも高位の位を持つのがワイバーンである。 ワイバーンは円陣から完全に出でると、空気を震わせる声で咆哮する。 「属性王は用いてもらってかまわない。・・・ただし・・・」 マクスウェルはそこで言葉を切り、タケルとヒカリの前に歩んでいった。 2人は緊張するが、マクスウェルはかまわず言葉を続けた。 「この2人は戦いに参加しないで貰う。その間にして欲しいことがあるからね」 そうして2人に笑いかけると、マクスウェルは太一の方をまた見る。 太一は立ち上がり、マクスウェルを観ていた。 「・・・どう?まぁキミ達の選択の余地は無いと思うけど」 無属性のワイバーンには、四大元素の魔術は決定的な打撃にはならない。 属性王にしても、まだ操りなれていないミミたちに頼るのはどうかと思う。 「やるさ」 それでも太一は間を置かずに頷いた。 「マクスウェルが一緒に居ない限り、オレたちはゼクンドゥスに近づくことすら出来ないんだから・・・!」 言うとマクスウェルの顔に一瞬寂しげな表情が宿った。 「・・・ゼク・・・」 太一はその表情を見逃さなかったが、それは一瞬で切り替わった。 「それじゃ、試験を始めようか。キミ達はこっちに」 マクスウェルはタケルとヒカリを薄く光る結界に入れると、浮き上がった。 不安そうなヒカリの手を握り、タケルは無理にでも笑みを作ってやる。 そんな二人の様子を眺めた後、マクスウェルは凛と通る声を上げた。 「・・・では、始めっ」 コメント さ〜じゃんじゃん行きましょうね! ちなみに私の精霊のお気に入りはシルフv 動かしやすいんですよ〜☆ 次でまた戦闘シーンに入っていきます〜! |