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flying 〜The sky story〜 34 種族にわけ隔たりなく、『精霊加護』というものがある。 基盤となるのが四大元素と光と闇。 天使は光系の精霊加護を受ける事が多く、堕天使は闇系の精霊加護を受ける事が多い。 その種族により精霊加護の偏りはあるものの、コレが無いものは居ないとされている。 そして一番多種の精霊加護を持つとされているのが、人間だ。 基本精霊加護の他に、特殊精霊加護を受けるものの多く、それは合成精霊(フリンジ・エレメンタル)の加護に当たるものだ。 例えば『氷』の精霊加護ならば、それは『水』系になり、『樹木』の精霊加護ならば、『地』『光』『水』系になるのだ。 しかし、基本的にひとつしか持てない精霊加護だが、中には例外がいる。 それは、三種の違う(違う)血を持つもの。 『三異血種』(さんいけっしゅ)と呼ばれる者だ。 これはメティス・・・人間と獣人のハーフと天使の血が入ったものの事を指す。 もちろん、三血なので、他の種族の血が入ることもある。 しかし、その体内に三血を越える血を持つと、器がそれに耐え切れず、壊れてしまう。 ・・・いや、正確には周りの環境に馴染めず、壊れてしまうのだ。 その時に『強制精霊加護』を言うものが『護る』という『暴走』を起こしてしまうのだ。 身を護り、自分と一番相性のいいものである精霊加護とは違い、強制精霊加護は、自分の意思とは関係無く、『無』の属性をもってしまうのだ。 他の精霊の力を凌ぐ『無』と『時』は一番強力なものである。 それが暴走してしまうという事は、その辺り一体が丸々消滅してしまうという事だ。 『運命』を司る夜架がその管轄にあり、その三異血種を『暴走』しないところへと導くのだ。 そして、その精霊の中で最強の力、『無』系の力を持つ精霊加護。 その一つが『音』だ。 「天聖歌は神を称える唄。 なのにあなたはその天聖歌で魔物を静めたわ。 ・・・アースには天聖歌は伝わっていないはずだし、人の力では持ちこたえられないわ。 だからといって、人の唄う輝黎歌(こうれいか)とも違う・・・」 歌唄いのヒカリが精霊加護の事から始まり、そう伝え始めた。 「そう。そしてシリア。お前の加護は『音』だ」 精霊加護がどうやってわかるかというと、一国に必ず一人以上居るといわれる『精霊見』(せいれいけん)と呼ばれる者がそのものの精霊を『見る』のだ。 これは精霊に聡いものならば比較的簡単に取得できる。 故に、太一はもちろん空たちも判別が可能なのだ。 「おと・・・」 しかしこの街には精霊見はおらず、シリアたちも自分の精霊加護が何なのかを知らないのだ。 元々、自分の精霊加護が何なのかを知るのは冒険者達などが主で、普通の街人たちはあまり知ろうとはしない。 普通の生活の中で必須なものではないからだ。 「お前の両親は普通の『人』か?」 「?」 「太一、それじゃシリアには伝わりにくいさ」 ヤマトが苦笑し、質問を変える。 「シリア、お前の両親や祖先の中に、人類以外の血を持つもの・・・例えば獣人とか天使とかのものは居るか?」 シリアはやや悩み、首を横に振る。 「いや、純粋に人間だったと思うよ」 やはりそうか、とヤマトたちは溜め息をつく。 昔人以外との混血が居たとして、それがいくら薄くなっても何らかの形で残るのだ。 力や形態など、それは様々で微々たる物だが、それを失う事は無いのだ。 だが、天聖歌などの特殊なものは例外だ。 血は、その器に耐えられるだけのものを入れる。 要するに、天聖歌が唄えるのはまずおかしいのだ。 そこで、9人の会話が途絶える。 「・・・で〜もさ〜」 そしてその緊張感を破壊したのが、ミミだった。 「別に何に危害を与える訳でも無いんでしょ?逆に街を護ったりしてるわけだし〜・・・別に良いんじゃないの?」 「・・・まぁ・・・そうなんだけど・・・」 しつこいようだが太一は最高位の存在・四翼の天使。 シリアの前だからこそ言えないのだが、天使や神族の力等が人間に漏れてしまったりした場合、太一にはソレを調べる資格があるのだ。 なので、そう簡単には引き下がれない。 しかし、ミミの言う事にも一理ある。 その力が傷つけるものなら早急に手を打たないといけないかもしれないが、これは逆に護る力だ。 そう気を詰めなくてもいいだろう。 「・・・そうだな・・・少し、力を抜いてくか」 「・・・クリムゾン・ドラゴンが街を襲わないかっただと・・・?」 「は・・・正確には、壊滅される前に街から出て行ったとの事です」 兵の言葉を聞き、中年の男は椅子に深く腰掛け顎をしゃくる。 「前々から不思議には思っていたが・・・何故奴等は街を襲わぬ・・・いや、壊滅をせぬ・・・」 「街に居る兵の報告によりますと、どうやら毎回歌が聞こえ、それにより魔物が退却しているとの事です」 「・・・うたぁ・・・?」 思いもしなかった言葉に、男は眉を潜める。 そして、考えるように腕を組み、唸るような声を上げる。 「・・・この近辺に歌に詳しいものはおるか?」 「外れの森にオリズというものが居ると思いましたが・・・」 「連れて来い」 男が言うと、はっと短く返事をし、敬礼をしてからその場から退出した。 バタ・・・と戸が閉まる音を確認し、男は椅子から立ち上がった。 そして、窓辺にやってくる。 そこからかなたにある街が確認できた。 「・・・クズどもが・・・」 呟き、レースの薄手のカーテンを引き千切る。 「要らぬ事をばかりをする。・・・そんな事している暇があるのなら・・・もう少し税を上げても苦ではないかな?」 最後の方には含み笑いを持たせる。 そして、手にあるカーテンの切れ端を窓を開けて、そこから外に放った。 兵が連れて来たのは、三十代くらいの男だった。 プラチナ・ブロンドの髪を持ち、比べるならばかなりの美男子の部類に入る。 しかしその顔に表情が乏しい。 「・・・お前がオリズか」 男が話し掛けると、オリズはコクリを頷いた。 「お前は歌に詳しいと聞いたが・・・どうだ?」 「・・・・・・人の中で比べるならば、知識は在ると思います・・・」 ボソリと呟くように話す。 しかし、距離はあるが部屋の作りのおかげで、その声は男に届いた。 「・・・そうか・・・」 男はそう言い、パチリと指を鳴らした。 すると、音も立てずどこからかメイドがやってきて、オリズの前で跪き、手に持っていた盆を差し出す。 そこには、少し大きめの袋があり、見た目からも、中身のものはズシリとしたものだとわかる。 「1万ティル入っている」 それを聞き、オリズの眉がピクリと動いた。 「わしの言う事を聞いてくれたのならば、それをくれてやろう。 ・・・もちろん、それは前金だ。見事遂行できたのなら、その数倍は出してやる」 オリズは袋に手を伸ばし、紐を解く。 それによって押さえられていた金貨たちは、硬質な音を立てて盆の上に広がった。 オリズはそれを数枚手にとり、握りしめた。 「・・・いいだろう・・・」 用件を言え、とオリズは続ける。 男はニヤリと口を曲げて笑い、椅子から少し身を乗り出した。 「街に行き、魔物たちを収めているやつを連れて来い」 もちろん、と男は続ける。 「能力はもちろん、美麗ならばそれも連れて来い」 オリズは袋の中に金貨を納めると、それを腰の袋に入れた。 そして返事も礼もせずに、その場を立ち去ったのだった。 ・・・光が灯る――――――――――。 しかしソレは一瞬で消えてしまい、消えてしまった光を追うようにギュッと拳を握り締める 追おうとしても、消えてしまい。 この手から、スルリと逃げていく。 ・・・捕らえる事が、出来ない。 「・・・ウェル・・・」 呟く自分の声が、小さく乏しく感じる。 ソレほどまでに、自分を焦がし、幼くしていくその存在。 「・・・一体、お前はどこにいるというのだ・・・っ」 ソレさえもわからない。 自分は、なんて・・・。 無力なんだろう――――――――― コメント 後半部分はちょっと固有名詞を出すのを控えてみました〜。 まぁ私の謎賭けなんてチビっ子にもわかるようなものですがー・・・(苦笑) 最近時間の関係で長いのが書けなくなって来てしまいました・・・グスン(泣) |