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flying 〜The sky story〜 3 下・・・人間界の事を、総称して『アース』と呼ぶ。 『アース』には5大陸存在し、『麻汝羅大陸』『ミラーウェル大陸』『ソーヴィル大陸』『ティオール大陸』そして『神の領域』と呼ばれている大陸がある。 特殊な大陸である『神の領域』は、唯一『アース』と他世界を結んでいる次元の裂け目である。 ここは次元の管理人(レヴェル・マナジャー)であるラルル・ルラーの力が働いている場所だ。 「ここを通じて下に降りるんですね」 ロウに説明を受け、入念に作戦を立てる。 「これが『アース』の地図じゃ」 太一はロウに地図を手渡され、それを丁寧に四つ畳みにして道具袋に入れた。 「路銀は各個人に渡したがちゃんと行き渡っているか?・・・そうか、よかった」 全員が頷いたのを確認して、ロウはとりあえずほっと息をはく。 「あとは・・・コレを持て」 そう言ってロウは、8人にそれぞれ小さな石のついたペンダントを持たせた。 「きれーいっ!」 「タリスマンですか?」 ミミたちがはしゃぐ中、光子郎はロウに尋ねる。 「うむ。さすがに天使が街中を歩いていたら目立つからな・・・それを身に付けていれば、一時的にじゃが翼が消える」 天使の羽根には、人間にとってとてつもなく素晴らしい効果を秘めた力がある。 人間たちの世界にとって天使は稀少なので、売買されることが珍しくはない。 「ただし、力・・・例えば法術や魔術を使っている間は、効果がなくなり翼が現れてしまうので注意せねばならない・・・わかったか?」 はい!と8人は元気良く頷き、なるべく目立たないところに身に付けた。 「・・・つらい仕事とは思うが、頼む・・・っ」 太一たちは否神殿を出ると、ロウに続いて飛び立ち、今度は天使領地側に来た。 そうして神殿の奥に入っていき、立ち止まったところは荘厳な作りの扉の前だった。 「ここが『次元の裂け目』神界でラルル様のお力が働いている場所のひとつじゃ」 鍵はいくつもの結界の応用で張られていて、ロウは慎重にそれを解いていく。 ロウでさえ慎重になるその結界は、間違えれば呪われてしまったり命を奪われたりするもので、結界自体に張られている法力も強いので、簡単に解けるものではない。 ・・・もちろん、四翼の天使である太一は別格であるが。 それほどに異種族での交流は難しい。 「さ、開いたぞ。帰りは向こうの裂け目から帰ってくればよい。太一がいれば大丈夫じゃろう」 結界はラルルがかけたものなので、たいだいどこの裂け目も一緒の結界が張られているのだ。 「なるべく人間との接触は避けたほうがいいじゃろう。おぬしらは人間の事をまったくと言って良いほど知識としてもってはおぬからなぁ」 え〜っとミミは不満な声をあげたが、7人は苦笑して頷いた。 ミミの素直な反応にロウも目を細めて笑い、8人の顔をしっかり焼き付けるように見渡した。 「・・・では、健闘を祈る・・・」 『はいっ!!』 「あ・・・でも・・・」 元気良く頷いたあと、ミミが思い出したように疑問を口にする。 「天使側の管理どうしよう・・・?すっかり忘れてた・・・」 「安心しろ。私たちが守る」 太一たちの以外の声がして、ロウを抜かした8人はばっと扉の方を振り返った。 そこには・・・・・・。 「サーナさま、トーラにカイン!」 久々に見た顔に、太一たちから笑みがこぼれる。 トーラは髪をあれから伸ばし始め、今は肩より少し下あたりまで伸びている。 サーナはポニーテイルにしていた髪をおろし、ゆるく三つ編みにしている。 カインはあの事件から目が見えるようになり、風見師になった。 「四翼の天使殿に『さま』をつけられるのはなんか不思議な気分だな」 おどけたように笑い、3人は8人に向き直る。 「ロウから言われてな。我等3人がミミさまの代わりに天使側にの管理をすることになった」 トーラもまだミミが天位階級者だったことのクセが抜けないらしく、様付けし、ミミに『様付け禁止〜』と言われた。 「だから、皆は心配せずに行ってきてね」 おっとりとカインに微笑まれ、太一たちは微笑み返した。 あれほど反発していた3人は、今では昔からの大親友、と言うようになった。 典型的な神信者だったサーナは少し気持ちを緩め、トーラたちと話し合ったのだ。 トーラの方も、カインの目が見えるようになったという安心感からか、前のようなトゲトゲしさはなくなっている。 「ああ、ヤマト、タケル。お主等の父母が『頑張れ』と伝えてくれと言っていた」 みんなも。とトーラは付け加え、微笑む。 それを聞き、ヤマトとタケルは顔を見合わせて微笑んだ。 太一たちも嬉しくなり、どうしようもなく笑んでしまう。 「じゃっ!行ってきます!!」 「がんばってな」 太一は最後にロウと握手し、『次元の裂け目』に飛び込んでいく。 次々に8人は飛び込み、最後にタケルとヒカリが手を繋いで飛び込んだ。 後には、4人がその場に残った。 「・・・さて、行くかの・・・」 寂しげにロウは呟き、サーナたちも頷いた。 太一たちが居なくなった分、ロウたちがそれを補うのだから。 次元を渡るのは、気持ちの良いものではないと太一は最初に思った。 空を飛ぶのとは違う感覚。 近いのに遠い。遠いはずなのに近い。 三半規管が狂ってしまったのか、自分が今逆さまなのかどうかもわからない。 翼も動かせない。 大洪水の中流されるのはこんな感じなのだろうかとぼんやり思い、そんな暇は与えないかのように次々に摩訶不思議な現象が起こる。 ミミや空たちの叫び声がするということは、はぐれていないということだろう。 ・・・とにかく早く終わってほしかった。 「・・・ぅ・・・」 小さくうめきながら目を開けると、まず心配そうに自分を覗き込んでいるヤマトの顔が飛び込んできた。 「・・・どうなった?」 フラフラと支えられながら立ち上がり、太一はキョロキョロとあたりを見渡した。 ヤマトを見て何故か違和感を起こしたが、ふらつく頭ではそれが何故かがわからない。 8人全員居る。間違えて他の空間に飛ばされたと言うことはないらしい。 「とりあえずみんなを起こそう」 太一とヤマトは手分けしてまだ気絶している6人を起こす。 女性陣には特につらかったらしく、顔が青ざめている。 空はまだ平気そうだが、元々体力のないミミとヒカリはグッタリしていたので、太一は心配になり法術をかけてやる。 「我は清らかさを求めるもの。 汝、水を司るもの『UNDINE』 ―ウンディーネ― よ・・・。 我等が精神に起きし不浄を取り除きたまえ・・・。 リフレッシュ!!」 細かい霧のようなものが降り注ぎ、気持ち悪さが消えた。 ヒカリたちも何とか回復したみたいで、ようやく立ち上がった。 「あたしもうこれ使いたくない〜〜〜っ」 ミミの泣き言に密かに同感した太一たちだった。 「・・・ところで・・・この部屋の造り、あの神殿にあったのと似てるけど・・・戻ってきちゃったって事はないわよね・・・?」 空の疑問に太一たちは不安になったが、ヤマトがそれはないと否定した。 「ほら、よく見ろよ。翼が消えてる」 「あ!」 そうか。と太一は頷いた。 先程ヤマトに感じた違和感。それは濃紺の翼がなかったことだ。 とりあえず、外に出て見ようぜ。 一息ついた8人は、扉を開ける。 結界は表からの侵入にのみ働くらしく、抵抗は見当たらないと太一は言う。 その部屋を出ると、以外に損壊の激しい神殿だった。 太一たちの神殿やヤマトたちの否神殿とは違い、小さな小さな神殿で、出口まで全然迷わず行けるほどだった。 見張りどころか人っ子一人おらず、内部まで侵入している蔦に、長いこと手が加えられていないことがわかった。 「ちょっと持ってて」 太一はタリスマンを外すと、ヤマトに手渡した。 手から離れた途端翼が現れ、太一は1、2回翼をその場ではためかせると、地面を蹴って空に舞う。 「どうー?」 下から空が叫ぶ。 樹が覆い茂っているのでよくは見えないが、人間は見当たらない。 360度見渡すと、遠くの方で碧いものがキラキラと広がっているのが見えた。 なんだろうと思い、光子郎を下から呼ぶ。 光子郎は呼ばれ、ミミにタリスマンを預けると、太一のところまで飛んで来た。 「なんでしょう?」 「あれ。あの碧いのなんだかわかるか?」 太一の指差す方を見て、光子郎は、ああ。と頷く。 「『海』と呼ばれるものでしょう。神が人間界・・・アースを創った時、まず海から創られたと言われています」 僕も見るのは初めてなんですが。と光子郎は付け加える。 神界には湖などはあるが、海は存在しない。 人間界と違い神界は、海などによって大陸が別れていることがないからだ。 次元の位相の違いにより、住む場所が変わっている(例として天使領地と堕天使領地がそれ) 大きな水の塊を眼にして、太一はふーん。と頷く。 「とりあえずあっちの方に行ってみねぇ?」 ココに居てもしょうがない。 当てもないので、光子郎は賛成した。 下に降りると、空から再びどうだった?と聞かれ、海があった。と答えた。 「うみ?」 疑問系で言われ、光子郎はさっき太一にしたのと同じ答えを返してやる。 「ロウ様が言うには、属性王の宝珠が近くにあるとアレクタリスが示すらしい。 この大陸はどっちかってぇと島みたいな面積だから、多分この大陸にはないと思うんだ」 光子郎は太一から地図を借り、広げてみる。 「ここが今僕たちが居る大陸、『神の領域』そしてここから一番近い大陸は・・・『ミラーウェル大陸』ですね。 この大陸の面積と横断する距離を計算すると、だいたい5時間くらい飛べば向こうの大陸までたどりつけれるでしょう」 「え〜っ!?5時間も〜!?」 ミミが泣き言を漏らす。 「大丈夫ですよ、ミミさん。飛ぶといっても法術で飛ぶ、と言うことですから」 「・・・そうなの?でもそんなに長い間法術使ってたら光子郎くんたち疲れちゃうよ?」 「大丈夫よ」 心配そうに見るミミに、空はニッコリ微笑んでやる。 「なんたって四翼の天使さまの太一さま直々に飛ばしてくださるんだから」 ね?と空は満面の笑みで太一に振り向く。 「それはボクだけで飛ばせと言うことかな?空さん?」 太一も満面の笑みで聞く。 空はニッコリと笑いながら容赦なく頷いた。 コメント 速い展開にはご容赦を(苦笑) ここで4話も5話も使ってると後々またものすんごくなっちゃうので(ビクビク) 人間界の説明(配置とか)がわかりにくいので、またその内設定かイラストのところに置こうと思います〜(ダメダメ) ちなみに見送りに太一たちの母親たちが出ていませんが、別にケンカしてるわけでも亡くなってるわけでもないですよ〜(苦笑) まぁそこはご容赦を・・・(他人数を書くのは不得意(死)) |