|
flying 〜The sky story〜 25 「イラプション!!」 男たちの立っている地面からマグマが噴出し、全身を包む。 が、男たちは焦る事無く結界を張り、それを防ぐ。 「ファイアーボール!」 そして、まだマグマが結界を覆っている中から、火球を発してきた。 「っ!あぶな・・・っ」 視界を塞がれているからなのだろう、火球はミミにはカスリもしなかった・・・が、たった今結界を解いたばかりの、無防備なヒカリのところへと向かってしまっていった。 一番近くに居たヤマトが、反射条件的にヒカリの前に立つ。 「やま・・・っ!?」 ヒカリが最後まで言う前に、火球はヤマトへと当たり、爆発した。 結界も無く、しかも普通の何十倍もの威力のある火球は、さすがのヤマトにも多大なダメージを与えた。 「やっヤマトさん・・・っ」 ヒカリがパニックになりかけながらも、ヤマトに駆け寄る。 腕でクロスをさせガードしたのだろう、両腕は炭のように黒くなっていた。 肉の焼ける嫌な匂いがし、ヤマトは仰向けにうずくまっている。 「・・・やっ・・・ヤマトさん・・・!」 傷に触れない様に抱き起こしていると、前方に光子郎が立った。 ミミが助かったとわかったからか、先程の様に虚ろな目はしていなかった。 「ヒカリさんはヤマトさんを安全なところに連れて行ってあげてください」 「え・・・っ!?でも・・・!」 「大丈夫。ここは僕とミミさんで何とかしますから」 そう言い、チラリと男の方を振り向く光子郎の瞳に、ヒカリは背筋がゾクリとした。 ・・・あまりに、冷たい光を放っていたので・・・。 「僕にはウンディーネも着いてますし・・・今は、ヤマトさんの安全が何より優先です・・・」 ヤマトは、呻き声を堪えるのに口を食いしばっているため、つらそうな視線を光子郎によこした。 「大丈夫ですから・・・」 そう、光子郎に強く言われれば、ヒカリとヤマトは下がるしかなかった。 ヒカリがヤマトに『フロート』をかけ、離れたところへと連れて行く。 天使とわかったからか、さすがに街人たちも寄っては来なかった。 度合いの酷い火傷なので、まずヒカリは水系の法術で腕を徐々に冷やしていく。 それから、回復法術も弱いものからだんだんと強いものに替えていく。 一気に回復法術をかけてしまうと、逆に水ぶくれや跡が残ってしまうのだ。 それを見越して、光子郎はヤマトたちに下がるように言ったのだ。 「・・・二人とも・・・大丈夫かしら・・・?」 ヒカリの呟きに、ヤマトはまだ答えられなかった。 「フレイムウォール!!」 増幅魔方陣を敷き、魔術を唱える。 巨大な炎の壁が、男たちを包む。 それでも結界は揺らめいただけで、男たちは傷どころか、眉一つ顰めない。 「ファイアストーム」 静かな声は、それでも強力な炎を巻き起こした。 「フリーズフローズン!」 光子郎はミミを後ろに庇い、氷系の結界を張る。 『水』と『水』を掛け合わせて生み出すセルシウスは、水の属性王の宝珠を持つ光子郎にはとても有利な技だ。 「へぇ・・・」 緋真石で増幅している魔力に揺るぎもしない結界を、男たちは感嘆の溜め息とともに見つめる。 「ヒタ。あの堕天使は僕がやるよ」 「・・・じゃ、俺はあの坊主か・・・」 いかつい男は、ヒタというらしい。 二手に分かれたのを見て、光子郎も、小さな声でミミを呼ぶ。 「・・・ミミさん・・・あの、ヒタとう男は魔術を主に使うようです・・・そして、あっちの方は、法術・・・」 「そっか・・・自分と違う力と戦おうとしているのね」 そう言う事なら。と、ミミも拳を握る。 「まったくまったく。スマートじゃないね」 小柄な男・・・ピーヴィは、まるで軽い運動でもするかのように手首をプラプラと揺らす。 「こんなちんくしゃに、俺たちの力見せ付けるまでもねぇと思うがなぁ」 ヒタはニタニタと笑いながら、光子郎の方に近づく。 「・・・身体の大きさは・・・力の容量には関係ないと思いますが・・・?」 そういいつつ、光子郎はミミから離れる。 ミミも、ピーヴィを睨みつけながら、光子郎から間を離す。 「さぁ・・・ショータイムだ・・・」 『火系の魔術で倒す』と宣告した通り、ミミは火系魔術しか使わない。 それを、容易くピーヴィが結界で防ぐ。 「ほら、まだまだこれからでしょ?」 などと、ミミを挑発する。 「もっち!」 ミミは上がる息を押さえ、詠唱をする。 「エクス・・・プロ―ジョン!!」 凄まじい爆音が鳴り響いたが、それでもやはりピーヴィの結界は殆ど揺るがなかった。 「まぁ僕の結界を揺るがせるだけ、さすが堕天使さんっと言ったトコかな? ・・・だけどそれでも壊れない僕の結界・・・自分の才能が恐いね・・・」 「何よそんなの!緋真石に頼りっぱなしの力じゃないの!笑わせないでよね!!」 そんなミミを小ばかにするように、ピーヴィは笑む。 「ばっかだなぁ・・・それさえも、自分の才能なのさ」 カチンと、それがミミの神経を逆撫でる。 「・・・あんた・・・ヒトの命を・・・なんだと・・・っ」 それを、さらにピーヴィは笑い飛ばした。 「力の無い奴等なんて要らないね。僕が信じるのは力と頭。それが無いやつから滅んでいくのさ。・・・当然でしょ?」 その言葉に、今度こそミミが切れた。 「・・・ゆるさない・・・」 「え?何?」 クスクスと笑い、ミミを歪んだ眼で見る。 「力の無い人はいらないですって・・・?」 ミミのウェーブのかかった髪がフワリと持ち上がる。 「あんたが信じるのは、力と頭・・・?」 ピリピリとした空気が、その場に流れる。 その事に、さすがにピーヴィの顔も歪む。 「それが無い人から・・・滅んでいくですって・・・?」 「な、何なんだ・・・?」 明らかに先程よりも精霊の密度が違う。 どんどんと、ミミに精霊が集中していくのだ。 「バカ・・・言わないでよ!!」 ミミの怒号と共に、火口から炎が言葉通り舞い踊るようにミミを包む。 「なっ・・・何だと・・・!?」 「力が無いから人は手を取って生きていくんでしょ!!だから、人は人を信じなきゃいけないんじゃないの!?だから人は、人としてしっかりした道を生きているんじゃないの!?」 ミミの後ろに炎が集まり、それがだんだん形付くっていく。 ――――それは、火の属性王だ。 「あなたは絶対に許さない!!」 取り乱していたピーヴィも、時と共にまた落ち着きを取り戻す。 それでも、次から次へと出てくる冷や汗と脂汗はどうにもならない。 「だったら何だって言うのさ。・・・許さないなら、この結界を破ってからにしてみなよ」 「破るわよ」 はったりとも思えないほどの口調で、ミミは言い返した。 「汝!!」 ミミは両手を高く天に上げる。 「六亡星の一角、火を司るもの、汝の名、『EFREET』 ―イフリート― !! 紅玉を持ちし属性王よ! 我は汝の力を求め、また、我の力を汝に貸すものなり!」 徐々に、ミミの掌に『熱い』力が集まってきた。 「打てし、我が敵を!!」 ミミが、キッとピーヴィを睨む。 「召喚!『EFREET』 ―イフリート― !!」 「何ィっ!?」 これにはさすがのピーヴィも心底驚いた。 今まで片手で張っていた結界を、しっかりと両手で踏ん張る。 「属性王を・・・喚びだしただと・・・!?」 イフリートは女性の姿から炎の形へと変わる。 ピーヴィの結界が持ちこたえたのは、ほんの2、3秒だった。 すぐにガラスが割れるような高い音がし、ピーヴィは炎に包まれた。 ・・・そして、その叫び声さえも炎に飲み込まれていった。 同刻。 光子郎はヒタをじっと静かに睨む。 「おいおい、そんなに睨むなって」 ヒタは嘲笑いながら右手に力を篭める。 そしてそれを、詠唱も無しに光子郎にぶつけた。 だが、光子郎はそれを、手で握りつぶした。 ヒタが訝しげに光子郎の掌を見ると、そこには薄い水系の法術がかけられていた。 「・・・言っておきますけど・・・」 光子郎は笑みも浮かべず、冷徹にヒタを見上げた。 「僕はミミさんのような容赦はしませんよ。全力で、あなたを倒します・・・」 それを、ヒタはハッと笑い飛ばした。 「さっきから押されっぱなしなてめぇが?この俺を?馬鹿いってんじゃねぇよ」 ヒタの挑発を、光子郎は一笑した。 「ま、あなたがたにそれだけの実力があればの話しですが」 光子郎が言った途端、ヒタから笑みが消えた。 「・・・んだと・・・?」 「馬鹿ほど力を見せびらかしたいと言いますしね。・・・ああ、それとも・・・もちろん、それが限界じゃないですよね・・・?」 光子郎が口だけで笑うと、ヒタが切れた。 「・・・あーいいだろう・・・見せてやるよ・・・」 そういい、ヒタは額に青筋を浮かべた。 「汝、華麗なる赤を身にまとうもの。 全ての世界を吹き飛ばす力を持つもの。 汝、紅蓮の盛りよ。 我に汝の力を授けたまえ!! 六亡星の一角を司るもの、汝の名・『EFREET』 ―イフリート― よ! エクスプロ―ド!!」 緋真石で増幅された魔術は、とんでもない大きさになっていた。 ヒタは、してやったりとニヤリと笑った。 ・・・・・・が・・・・・・。 途端にそれがヒタの元に返ってきて、そのままヒタは一言も漏らす事無く消滅した。 もうもうとした煙が立ち込める。 これが晴れたときには、地形が変わってしまっているだろう。 「・・・カウンターマジック。って言うんですよ・・・」 先程までヒタが居た場所に向かい、光子郎は話し掛ける。 「相手の力をそのまま跳ね返す法術・・・」 煙が晴れ、光子郎の周りには薄い緑の結界が張られていた。 「だから言ったでしょ・・・?」 光子郎はまだ話し続けながら、法術を解いた。 「馬鹿は、力を見せびらかすって・・・」 後には、立ち込める煙と、呆然と遠巻きに見守る街人、それから、ミミと光子郎、イフリートの姿がソコにあるのみだった。 コメント 決戦です〜。 容赦の無い言葉を使っているあたりはお許しください(汗) その他のつっこみも、皆さんの心の中にしまっておいてください・・・(こらこら) |