flying 〜The sky story〜 19

凪いだ。
・・・凪いだ風が頬を掠め、空へ昇っていく。
太一は眼を開ける。
つい先程もした様な行為をやったので、違和感を覚えた。
ムクッと身体を起こし、辺りを見回す。
「・・・空・・・っ」
すぐ離れた所に横たわる空を見つけ、太一は駆け出す。
が、いきなり立ち上がり、フラリと頭が回ってしまい、その場にこけてしまう。
「・・・ぅ・・・」
小さく呻き、もう一度、今度は静かに立ち上がる。
自分自身にヒーリングをかけ、空に走りよる。
「・・・そら・・・空っ!」
何度か呼びかけ、肩を叩くと、空は小さな呻き声をあげ、目を開けた。
「・・・・・・たいち・・・」
掠れているが、確かに自分を認識している声で話したので、太一はとりあえず安堵する。
「太一!」
はっと顔を上げると、丈とタケルがこちらを見ている。
「丈!タケル!」
それに太一も応え、手を振る。
空も起き上がり、丈たちの方を見た。
「二人とも!無事だったんだね〜」
よかった、と丈がホヤンと笑う。
「タケルも。無事でよかったよ」
がしがしと、やや乱暴にタケルの頭を太一が撫でる。
あまりそう言う経験の無いタケルは、照れたように頬を赤くした。
「・・・そうだ、光子郎くんやヒカリちゃんは!?」
空が弾かれた様に丈を見る。
太一もそれにならうが、丈とタケルは揃って顔色を曇らせた。
「・・・ここらには居なかったよ・・・」
「歩いても、空も飛んで探してみたけど・・・人影さえ無かったよ・・・」
さっと血の気が引くのがわかった。
「・・・それって・・・」
空が最悪の状況を考え口に出そうとした時、どこからか声が聞こえた。
「大丈夫だよ」
「・・・え?・・・わっ!」
ブワッと光が溢れた。
次に太一たちが眼を開けると、そこには小さな見覚えのある男の子がフワフワと浮いていた。
「の、ノームっ」
空が手を延べてやると、ノームはその腕の中に飛び込んでいった。
「よかった、無事だったのね」
ぎゅっとそのまま抱きしめてやると、照れたように真っ赤になる。
「・・・で、ノーム。『大丈夫』って?」
少し苦笑を浮かべた後、丈は真面目な声色でノームに聞く。
ノームも真剣な表情に戻り、話しを再開する。
「ねぇちゃんたちの仲間なら大丈夫だよ」
「だ、大丈夫って・・・なんでわかるの?」
空が覗き込むと、ノームもそちらを向いた。
「地の気配さ。だてに地の属性王じゃないぜ?」
それなら納得がいく。ノームはこんな幼い姿だが、力のそれは絶対に否定できない。
「地に身体がついていて、オレがそいつの気配を知っているなら絶対に間違えない。
ねぇちゃんの仲間は全員生きているよ」
とりあえず太一たちは安堵する。
「・・・でも、さっきのは一体・・・」
タケルが腕を組む。
「・・・ゼクンドゥス・・・」
太一の呟きを聞き、ハッと三人が太一の方を向く。
「あいつが自分の事そう言ってた。・・・ゼクンドゥスって・・・」
次に、四人の視線が再びノームに注がれた。
「ああ。あいつは間違いなく時の属性王のゼクンドゥスだ」
先程よりも顔を顰める。
「最初に飛ばされた時も、今飛ばされた時も、こんな事を出来るのは次元の管理人(レヴェル・マナジャー)のルカルさまと、八神を抜かせばゼクンドゥスだけだ」
「え・・・じゃあ光子郎くんたちがどこに飛ばされたのか解らないじゃない・・・っ!」
「いや、それはない」
カリ・・・と太一は爪を噛み、どこか遠くを見る。
「次元を換えて飛ばす力は次元の管理人であるルカルさまにしか使えない。
ゼクンドゥスは『時間』の歪みを創る。だから『次元』は創れないのさ」
ようするに、不幸中の幸いと言うやつで、ヤマトたちは『アース』に居るのだ。
「こちらにはノームが居るから捜せるし、向こうもヤマトが居る。千里眼やプロビジョナルライフで捜してもらえる」
そこで太一は少し黙る。
「こうしないか?合流しつつ属性王を捜す。まだ所在が明らかでないのが、『火』『風』『光』『闇』『無』・・・ゼクンドゥスはとりあえず、居る事は確認したからな・・・」
よほど先程軽くあしらわれたのが悔しいのか、太一はギュッと袖をキツく握る。
「・・・どれらかというと、マクスウェルを中心に捜した方が良いだろうな」
ひたと、ノームにまた視線が注がれる。
「確かに属性王の力は平等だけど・・・特に異端な力なマクスウェルとゼクンドゥスは別格だ。
ゼクンドゥスの時間渡しの能力を止めるには、マクスウェルの力を借りないと封じれない」
属性の力を封じるのは、その反対属性だけだ。
それが均衡し六亡星を作り、さらに円の外と中の均衡をマクスウェルとゼクンドゥスが守っている。
「まぁ確かに、元素精霊でもあるマクスウェルの力を高めるのには、六亡星を司っているオレたちの力が不可欠だから、集めなきゃどうしようもないのは確かだけどな」
ノームの助言を借り、太一たちは立ち上がった。
「・・・とりあえず街を捜そう。オレたちは今、どこに居るのかさえわからない状況だからな」
「そうだね。とりあえず歩いてみようか」
「さっき丈先輩たち空からも探して見たって言ってたけど・・・何か見えましたか?」
宝珠に再び変わったノームを大切に仕舞い込み、丈に話し掛ける。
「うん・・・かなり離れた所に小さめの町があったよ」
「じゃ、まずはそこに行こう」
とりあえず太一の法術で体力回復をする。
ちなみに言うと、この中で一番体力の無い人物は、実は空ではなく丈だ。
要するに、この先の旅は、丈の体力が進み具合に関わるのだ。
・・・もっとも、丈が体力が無い、と言うのには語弊があるが。



☆NEXT☆


コメント

これからは太一組とヤマト組と別けて展開していきますv
・・・(自分的に)複雑になるので、矛盾出てきてしまったらすみません(泣)