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flying 〜The sky story〜 17 そうして、ノームはやや渋々ながらも、空に言われた通りにした。 織斐を代表して、ヴォーギがノームと契約を結んだ。 「絶対、織斐と楫汰の山の精霊たちと仲良くなってみせるなっ!」 ノームは、空の服の裾を掴み、小さく、それでもしっかりと頷いた。 泣き終わった後、ノームに空がお願いし、ミミとヒカリを解放してもらった。 空同様、二人も操られていた時の記憶がしっかりあり、操りが解かれて直後に泣き崩れてしまった。 二人には光子郎とタケルについてもらい、太一たちはノームたちを見守っている。 「・・・オレは、まだお前達を許してないからな・・・」 ノームのその膨れた言葉に、ヴォーギはコクリと頷いた。 「それは、また俺たちが会った時だな」 ・・・ノームは、再び頷いた。 そんなノームを、空は優しく頭を撫でて微笑んでやる。 ノームは空を見つめ、服を掴んでいた手を離す。 目の前にやって来たノームに、空はハテナを飛ばす。 とても真剣な眼をしていたから。 「・・・?ノー」 「オレ」 呼び掛けようとした空を遮り、ノームは空に手を伸ばした。 「オレ、ねぇちゃんのトコに行く」 「・・・え?」 言っている意味が判らず、空が首を捻る。 「だから・・・オレはねぇちゃんと一緒に行くって言ってるの!」 何を照れているのか、ノームは頬を染め、なお空に手を伸ばす。 空はキョトンとした後、クスリと笑ってノームに視線を合わせる。 「・・・私でいいのかしら?」 ノームは無言で頷く。 空はニコリともう一度笑った後、ノームの手をとった。 「・・・よろしくね?」 そうして、きゅっと手を握った。 ノームは恥ずかし気顔を俯かせた後、空に向かってニコリと微笑んだ。 ・・・初めて見せたノームの笑顔に、その場に居た者達が驚いてしまう。 ノームはそれに気付かず、その身を宝珠へと替えた。 ・・・地精霊の象徴であり、地の属性王であるノームが身を宿らせる、トパーズ・・・黄玉の宝珠の姿に―――。 次に、太一たちはヴォーギとキアノの方を向いた。 「あの・・・お願いがあるんですけど・・・」 いきなり太一に話しを振られ、ヴォーギたちは少し困惑する。 「・・・ああ・・・なんだい?」 声が震えているのが、発したヴォーギ自身わかってしまうくらいだった。 何せ相手は滅多にお目にかかれない天使たちで、しかも太一は伝説とさえされている四翼の天使だ。 話すだけでも分不相応というものなのだ。 それでも、天使の持つ力を金として変えてしまう輩も居る。 いくら相手が自分達よりも高位のものだとしても、欲が勝ってしまうのだ。 「あの・・・その・・・オレたち・・・の事なんですが・・・」 それはもちろん、本当の姿・・・天使という事を指しているのだろう。 「・・・・・・えと・・・その・・・」 中々太一は言い出せない。 『自分たちが天使だということを内緒にして欲しい』 そう言うのは簡単だが、もし断られたらどうすればいいのか。太一にはその後どうやって続けていいのかがわからないのだ。 「あんたたちがどうかしたのかい?」 それまでヴォーギに庇われるように後ろに居たキアノが、前に出てきた。 太一は少し驚いたが、先を続ける。 「あの・・・オレたち・・・が、天使だって事を・・・黙っていて」 「天使なんて知らないね」 太一を遮り言われた言葉に、ヴォーギを含めて、その場に居たもの全員が驚いてしまう。 「あたしらが会ったのはクソ生意気なガキ共で、・・・あたしたちにチャンスを与えてくれた奴等だよ」 ・・・・・・それは結局のところ・・・。 かなり遠まわしな言い方だが、黙ってくれるという事だろう。 ぱぁっと太一たちは顔を輝かせ、ヴォーギは優しく微笑んだ。 「いっとくけど、お礼なんて聞かないからね。あたしゃ、憎まれる事はあっても、お礼言われる事なんてこれっぽっちもやっちゃいないんだから」 まったく素直じゃないなぁとヴォーギは苦笑を漏らす。 「なぁ、真っ赤だぜ?」 太一にニヤニヤとチャチャを言われ、キアノは一気に顔だけでなく、耳まで真っ赤にさせた。 それから、改めて織斐へと戻った。 宿屋で撃退した男達は、あれから帰らなかったのか、大量に1階の飲み場にたまってた。 それから空たちの姿を認めると、素直に頭を下げてきた。 元々本心からではなかったのか、今回の件で罪悪感が生まれたのか、本当に殆どのものたちが集まっていた。 そこには、あの偽宝石商人もいて、真っ先にミミに謝っていた。 丁度みんなが集まっている事を幸いに、ヴォーギが今までの経緯を話し出す。 ノームが居ない事で、陰険な事や渋々さを見せるかと思っていたが、それは何と一人も居なかった。 もちろん、空たちが心配だからとその場に残ったものだから、罪悪感などはしっかり持ち合わせているのだろう。が、自分達の生活が制限されるその事に、反対する者が居ないのは、ヴォーギやキアノにしてみても意外なものだった。 ・・・それでも、ここに居る者達が織斐の者達全員ではない。 反対するものも、絶対に出てくる。 「・・・だから俺たちにとって、とてもやりがいのあることだな」 それは、生きるという事と、働くという事を放棄しがちだった敷居の者達にとっての希望かもしれない。 「・・・俺たちゃ、何から何まで、ノームに世話になりっぱなしだな」 そうして、まだ朝方前だというのに、会合を始めてしまった。 とても素早い行動に、太一たちは唖然としてしまう。 ・・・だけれど、前進している。 それだけは、とてつもない、確かな事だ。 「・・・ね、ノーム。暴力だけではわからないことだって、あるでしょ?」 宝珠のままでも言葉は通るのか、まるで頷くかのようにトパーズが光った。 コメント ノーム篇終了!(拍手) 次からは、また別の属性王へとなります〜! ・・・何だかノーム篇で、とっても空の強さをアピールした気がするんですが、めっちゃくちゃ好評で驚いてます(笑) そしてもちろん、嬉しいです!(笑) |