flying 〜The sky story〜 14

「我は汝の力を求めるもの。
この武具に、新たなる汝の力の息吹を篭めたまえ・・・。
汝、地を司るもの『GNOME』 ―ノーム― よ・・・。
偉大なる大地の力を此処に!!
ストーンセイバー!」
空の言霊に応え、3人の武器が地色に変わる。
「ストーンセイバーって・・・空、マジかよ!?」
「太一、『ストーンセイバー』って言うのはどんな法術なんだ!?」
ミミの火弾を避けながら、ヤマトが聞いてくる。
答えたのは、太一ではなく光子郎だった。
「ストーンセイバーとは、武具にその精霊の属性を宿らせる事の出来る法術です!
しかも特殊効果を持つ武具法術もあって・・・ストーンセイバーは言葉の通り、切った相手を石にしてしまうんです!」
げ。と堕天使たちは心の中で思う。
「安心しろって。オレが解術法術・・・ディスペルやリカバー唱えられっから」
『ディスペル』は相手から受けた能力低下法術などを解く法術で、『リカバー』は石化などの身体異常を治す技だ。
解毒法術『アンチドート』や低級解術法術『リフレッシュ』などは『リカバー』をもっと細かくした技の事だが、毒は麻痺や石化のように1種類だけの効果ではない。
『リカバー』で状態は軽減できるが、それを言うならば断然解毒専門法術『アンチドート』を使った方が効率的だろう。
だが、いくら太一が使えても、まず太一が動けなく・・・石化されてしまったらたまらない。
光子郎も覚えているだろうが、それでも緊張は解せない。
何せ、空は体術、剣術を使い、それを後ろからミミが魔術で、ヒカリが法術で補佐してくる。
女で、しかも仲間というだけでも戦い難いというのに、更にミミは天位階級、ヒカリは高位階級だ。威力も半端ではない。
「汝、厳選なる黄を身にまとうもの。
母なる地より生まれし汝等の高厳なる力を此処に示したまえ。
突き出し大地は怒りの象徴。
其の怒りを、我が示しものらに下したまえ!
六亡星の一角を司るもの、汝の名・『GNOME』 ―ノーム― よ!
アースグレイブ!!」
ミミが地に手を着くと、太一たちの居る地面から鋭い岩の槍が勢い良く突出してきた。
「風の中に礎を持つもの。
汝、風を司るもの、『SYLPH』 ―シルフ― よ・・・。
我に自在なる風の術を与えたまえ・・・。
フロート!!」
光子郎が唱えると、5人の身体がフワリと浮く。
「姿を変えよ!地龍に!!」
ミミがパチンと指を鳴らす。
すると、それまで方向性の無かった突出が集まり、10mほどの龍の形になる。
「光子郎!フロート続けてろ!」
まさかタリスマンをどこかに投げ捨てて戦うわけにもいかない。
とりあえず光子郎にフロートをかけてもらい、5人は高く移動する。
「汝、清浄なる青を身にまとうもの。
聖なる浄を持つ汝に希う(こいねがう)
我は汝等の力を必とするものなり。
我が手に集まり、其の力を示したまえ!
六亡星の一角を司るもの、汝の名・『UNDINE』 ―ウンディーネ― よ!
メイルストローム!!」
太一はそれを真下・・・地龍に向かって放つ。
上から滂沱に注ぎ来る水に、地龍は耐え切れずに、その身体を崩していく。
もちろん、コントロールして、空たちにかからないようにしている。
しかしそれに今度は、ミミは炎系の魔術を放ってきた。
「うわっ」
水に炎が巻き付き、多大な蒸気が空気に乗って、太一たちの方に来る。
「くそっ」
光子郎のフロートを解き、太一は大きく羽ばたく。
「太一さん!」
光子郎が叫んだが、構わずに上昇する。
とりあえず視界を利くようにしなくては。
「・・・世界の――――」
太一が言霊を唱えようとした時、下方から殺気が伝わってきた。
咄嗟にアレクタリスの柄に手をかけ、刃の平を胸元にかかげた時。
ッキィンッ。
鋭く高い音が響いた。
「空っ」
見ればタリスマンが胸にかかってはいない。空はペンダントとしてタリスマンをかけているのだ。
薄紅色の翼を広げ、太一に短剣を向けている。
ギリギリまで力を出しているのか、カチャカチャとアレクタリスと触れ合って金切り音を立てる。
「空ッ!どうしたんだっ!?」
太一の呼びかけに応えることなく、空は第2波を放つ。
「っ」
アレクタリスを武器として使うには、太一は未だ慣れては居ない。
しかも相手は仲間で幼馴染みだ。早々に刃を向けれる相手ではない。
「・・・っ・・・風の!属性を!!」
太一の言葉に応え、アレクタリスの刀身が碧色に変わる。
空のストーンセイバーは地属性、太一のアレクタリスは今、風の属性。
反対属性である地と風が擦れ合い、厭な音が響く。
「くそっ」
一手一手がとても重い。 空には太一以上の不可がかかっているはずだ。現にその手には幾筋もの血が流れている。
「やめろ空!ホントに!!」
と、視界の端に何か見えた気がした。
「――――――?」
太一が一瞬注意を逸らした瞬間、空がグンと近づく。
「――――ッ」
ストーンセイバーには、一発でも当たったら・・・それこそカスリでもしたら、石化してしまう。
『ディスペル』は光子郎も使えるはずだが、先程から下方でも弾音が聞こえる。
太一の石化を解く暇は無いだろう。
「スプレッド!」
小さな水柱が、空を吹っ飛ばす。
そちらの方に目を向けると、ヤマトが隙を見計らって魔術を唱えてくれたらしい。
空はきっとこちらを睨み返し、また旋回してくる。
太一はその前に、アレクタリスの属性を変更させる。
「水の、属性を!!」
それを直下降で降りていき、楫汰の山に突き刺す。
「メイルストローム!!」
アレクタリスを伝い、水が楫汰の山に染み入っていく。
やがて、掘った穴から大量の水が注ぎ出した。
太一は空に気を配りつつ、周囲を見渡す。
そして、先程のように小さく動くものが水と一緒に出てきたのを見つける。
「ディレイ!」
詠唱無しではあまり力は出ないが、今の『何か』の動きを止め、太一が追いつくには十分だ。
太一がその場を離れると、直ぐ追って、空が剣を直下に持って下降してきた。
太一が転ぶようにそれを掴む。
「捕まえた!!」
ばっとそれを見ると、ソレは小さな少年だった。
「え・・・ぇえ?」
光子郎の素っ頓狂な声が、後ろから聞こえる。
それもそのはずだ。
光子郎のもっている宝珠――――アクアマリンが光を放ち、前の様に姿を現したからだ。
そして、太一の腕の中でジタバタともがくそれを見て、驚いたように
「ノーム・・・」
と、呟いた。



☆NEXT☆


コメント

戦闘シーンは楽しいなぁと(笑)
過去に出した魔術とかの詠唱、勿論覚えていないので、出すたびに探すはめに(笑)
次回は解決編☆(探偵ものじゃないんだから)