flying 〜The sky story〜 1

―――――夢を見てるんだ。
フワフワとする意識で、なんとなくそう思う。
真っ白な雲みたいな靄の中を一人歩いて、どこなんだろう。と太一は考える。
ふと、前方に白以外の色が見え、太一はそこに視線を移動させる。
8つの、光が見えた・・・。
否、9つか・・・?
ひとつはとても透明で、うまく見えない。
太一はその光たちに歩み寄る。
―――――なんだろう・・・。
自分の放った言葉は、エコーがかかったようにあたりに響く。
光たちに近付くにつれ、その形が見えてくる。
あれは・・・・・・。
―――――アレク・・・タリス・・・?
太一がその名を呼んだ途端、光たちが先程よりも強く光った。
―――――っ!?
眩しさに、腕で庇い半眼になっていると、その光たちが四方八方に飛んでいった。
残ったのは、先ほどの透明な光。
太一が腕を伸ばす。
―――――な、んだっ!?
すると光は、どこに飛んで行くのでもなく、全てを包み始めた。
―――――・・・・・・っ!
たまらず、太一は眼をギュッと閉じた。

ゴン。
とても鈍い音の後、痛みが頭を襲う。
「ぐおおぅ・・・」
打った部分を手で押さえ、下半身もベットから落ちてきた。
「・・・夢か・・・」
太一はベットから落ちた上半身を起こし、ふかふかの毛布の上に顎を乗せた。
と、視界の隅にアレクタリスが目に入る。
青銀の刀身は、今は鞘によって見えない。
そして、柄には8つの窪み。
ここには、精霊たちの属性を表した宝石が8つ治まっていたのだ。
その宝石たちは、1年前に『風の境目』を壊した時に、どこかに飛んでいってしまったのだ。
「・・・まだ、回復しないのか・・・?」
『風の境目』を壊したため、アレクタリスはとてつもなく力を消耗してしまい、今は太一が所持して法力と魔力を回復させているのだ。
もう、アレクタリスを離してもいいくらいに回復しているはずなのに・・・。
そんな風に太一が考えていると、コンコンとドアを叩く音がした。
「お兄ちゃ〜ん?朝だよ?起きてる?」
おはよう。と言いながら、妹のヒカリが部屋に入ってきた。
「おう。おはよう、ヒカリ」
ヒカリは太一の今の格好を見て、またベットから落ちたんだ・・・と苦笑した。
「で、何か用か?」
落ちたことがばれたのだろう、クスクス笑われ、太一は照れながらヒカリに用件を急かした。
「ああ。そうだった。あのね、ロウ様が呼んでるって」
「ロウ様が?」
「なんか、前の8人が呼ばれてるみたいだよ?」
今、ロウは堕天使領土に行っている。対して堕天使側の高位階級者のミミは、こちら・・・天使領土に腰を降ろしている。
これも1年前の事件以降になったことである。
それぞれの最高位がそれぞれの領土に入り、お互いの交流を深めているのだ。
太一はアレクタリスの守護にして、四翼の天使なので、天使領土と堕天使領土を回っている。
ヤマトは精霊たちの安定を見るために擦れ違うように飛んでいる。
丈と空はロウの側近になり、堕天使領土に居て、光子郎はミミの側近として天使領土に居る。
タケルとヒカリは元『風の境目』のあったところに居て、渡る人たちを見守っている。
それぞれがそれぞれで忙しいので、みんなでそろって会える事はなかなか無い。
「じゃあ、久々に会えるんだな・・・っ」
特に太一の会う確率が低いのがヤマトだ。
ようやく恋人同士になれたのに、この1年間に会えたのは、10回強くらいだ。
しかもお互いに忙しすぎるので、顔をあわせて少し話せるくらいの時間。
前に最後に会ったのは、確か1ヶ月前。
みんなでそろって会えるのは嬉しいが、やはりヤマトに会えると言うことが一番嬉しい。
濃紺の翼を持つ、堕天使。
恋人の事を想い、自然と笑みがこぼれた。
「じゃ、早く着替えてね?」
そんな兄を微笑ましげに見て、ヒカリは部屋を出て行った。
太一の頭の中に、あの夢の事は、もう完全に消えていた。

「太一!」
堕天使領土に降り立ち、否神殿を目指して歩いていると、前方から空と丈が走ってくるのが見えた。
「空ー!」
久々に幼馴染に会えたのが嬉しくて、太一も走り出す。
そうして手をパチンと叩きあい、再会を喜んだ。
後ろから、ミミも走ってきて、空に抱きついた。
空も抱き返してあげて、ヒカリも巻き込んで3人でじゃれあう。
光子郎はその様子にクスクス笑いながら、丈に一礼した。
丈も手を振り、太一たちに久しぶり。と嬉し気に話す。
そうして、他愛も無い話をしながら、7人で否神殿を目指す。
「・・・な、なぁ空・・・」
太一はキョロキョロと回りを見て、ヤマトを探す。
「や、ヤマトは・・・?」
照れながら聞く幼馴染が可愛くて、思わず笑いながら、まだよ。と言ってやる。
「まだ精霊たちがしっかり馴染んでないみたいでね。少し遅れるって連絡があったわ」
空の言葉を聞き、太一は落胆する。
それでも、会えるのだからと自分を励まし、とりあえずロウの居る場所を目指す。



☆NEXT☆


コメント

わーい!ようやく2部始動☆(拍手)
また長くなると思いますが、またお付き合いいただければ嬉しいですv
目下の目標はイチャイチャ(大笑)