2 『印象』

硬質なもの同士がぶつかりあう音があたりに響く。
ベイブレードを互いに戦わせている音だ。
燃えるような赤い髪を持つユーリも、例に漏れずベイブレードの特訓をしている。
・・・ココは極寒の地・ロシア。
外ではチラチラと雪がちらつく中、子供たちは薄着で特訓をしている。
白い息を漏らしながらも、誰も『寒い』とは言わないのは、ベイバトルに集中しているからだろう。
「・・・3・2・1・・・GOーシュートっ!!」
審判の合図で互いにベイを放つが、勝負はほとんど一瞬ですんでしまう。
・・・・・・なんと張り合いの無い・・・。
あまりの実力の差に、ユーリは大きなため息をついて、スタジアムを回っている自分のベイを掴んで、そこから離れる。
ザワザワと騒がしい中を歩いていると、ふと誰かと誰かの話し声が妙に耳を着いた。
「・・・ほら、あいつだよ・・・ボリス・クズネツォーフ。練習サボってばっかいるんだぜ・・・」
悪態に、ユーリはチラッとそちらを見てみる。
薄紫色の髪に、両耳に金のリングピアス。
胡座をかいて、こちら・・・練習場の方をヘラヘラと笑いながら眺めている。
「気にいらねぇ・・・あいつホントに強ぇのかよ?」
少年たちは、自分たちが努力しているのに、向こう・・・ボリスが練習をサボっているのに、なんのお咎めも無しと言うのが気に入らないのだろう。
ユーリも実際、練習などはしっかりとこなすタイプなので、そういうタイプはあまり好きではない。
しかし、別に自分に関わる問題でもないので、特に気にしないでその場を立ち去った。

それから、ユーリがボーグの1軍が決まったのはまもなくの事だった。
1軍選手に選ばれるのは、僅かに4名。
ボーグを納める、ヴォルコフの手に寄って選ばれる。
1軍に選ばれれば、それまで『特訓』だったものから『仕事』に変わり、地位も扱いもグンと変わるので、子供たちはその枠に選ばれようと必死なのだ。
自分に手紙が来た時は当然だと思ったが、そこに載っている名前に少なくとも驚きを隠せなかった。
1番最初に自分の名前。
2重丸がついているのは、多分リーダーをいう印なのだろう。
次に、セルゲイ。イワン。・・・そして・・・ボリス・・・・・・。
最初の2名の実力は、ユーリも知っている。
自分に勝てはしないものの、戦いでかなりいいセンスを持っている。
だが、ボリスは、戦ったことも、戦いをしたところを見るのも一度も無かった。
・・・そんなヤツが、何故・・・?
しかし、それよりも、ヤツも1軍にあがったとなれば、必然的にリーダーに選ばれた自分が面倒を見ることになるのだろう。
それを考えると、溜息を漏らさずにはいられなかった。

任命式の日。
と言っても、4人でヴォルコフの話を聞いただけだったが。
幼い頃に両親に売られ、このボーグに入ってからは、ヴォルコフが親替わりだった。
めったに会えることも無いが、そういう事もあり、ユーリはヴォルコフに尊敬の念を抱いている。
だから、1軍に上がり、直接ボーグ・・・ヴォルコフの手伝いをするのは、ユーリのひとつの目標だった。
「では、諸君の健闘を祈る!」
ボーグの為に!とヴォルコフの言葉は締めくくられ、4人は解散した。
部屋も、今までは何人かで一緒の狭い部屋だったが、これからは1人部屋になった。
シャワーもキッチンも着いていて、食事は大きな居間で給食方式に行われるが、これなら簡単なものくらいなら作れそうだ。
「・・・さすがにすごいな・・・」
部屋を見渡し、ユーリは感嘆の溜息を漏らす。
そして、運んできた自分の持ち物や服を片付け、ソファーに座り一息を着いた。
そこで、ポケットに入っているヴォルコフに貰ったベイを眺める。
『人口聖獣』のビットがはまった、自分だけのベイ、ウルボーグ。
それに、専用の、銃を模したシューター。
ヒタリと手に馴染むソレを、早くシュートしたくて、明日の訓練が待ち遠しい。
「・・・あいつは来るのか・・・?」
『あいつ』とは、ボーグの問題児、ボリス。
4人呼ばれたあの時、ボリスは親しげに3人に話し掛けてきて、握手を求めた。
ついその場の雰囲気で流され、握手をしてしまい、はっと我に返って、文句を言おうとボリスに怒鳴ろうとしたが、すでにボリスはユーリの前から居なくなり、セルゲイと何やら話をしていた。
・・・限りなく自分とは馬が合わない気がする・・・。
そう思うが、まさかあの破天荒な行動を無視する訳にもいかない。
明日からの生活がどうなるかはわからないが、考えてもしょうがないので、とりあえずユーリは眠ることにした。



☆NEXT☆


コメント

とりあえず出会いみたいな感じで・・・。
今回は(も)歌詞から話を書いているのですが、どうも話がこんがらがりそうなので、カンペを今回作成しました(大笑)
うーん・・・最後は『キミとの距離』に繋がるように書きたいのですが・・・で、出来るかな☆(最高の疑問)
ま、がんばります・・・!
・・・ところでボリスのセカンドネーム。『クズネツォーフ』であってましたっけ・・・?(すっげぇ不安)