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one-sided love 3 おかしい。 日曜のオペレーターのデートからようやく解放されたブルースは、PETの中の部屋にあるソファーに座り、腕を組んでいた。 いつもロックマンは自分のオペレーターと一緒に居る。 それに、今日のデートの事だって知っていた筈なのに、他に予定を要れるなんておかしい。 「・・・」 ブルースは音も無く溜め息をつき、立ち上がった。 「炎山様」 PETと現実世界との映像を繋ぐ画面を開き、ブルースは炎山を呼ぶ。 「ブルース。なんだ?」 さすがに熱斗に振り回されて疲れた炎山は、今日の仕事はもう辞めにしてベットに沈んでいた。 横においてあったPETを取り、炎山はそれを覗き込む。 「少しネット内を回ってきてもよろしいでしょうか?」 そういう自分のナビに、炎山は驚いて言葉を失う。 「・・・炎山様・・・?」 中々言葉をくれずに何か驚いた表情をしている炎山に、ブルースは首をかしげて声をかける。 「ああ、すまん。お前が自分からどこかに行きたい何ていうのは初めてだからな・・・。 今日はもう仕事も入れないし、構わないぞ」 「ありがとうございます。では」 一礼し、ブルースはPETから姿を消した。 それを確認し、炎山はPETをベットの脇にあるテーブルに置き、眼を閉じた。 「・・・どうせロックマンのところだろう・・・」 そう呟き、炎山は眠りに落ちた。 インターネットを通り、ブルースは熱斗のPETへと到着した。 少し躊躇ってから、チャイムのボタンを押す。 が、中からの応答はない。 PETのセキュリティは、そのPETごとに違うが、熱斗のPETのセキュリティくらいならブルースの力でなら簡単に破れる。 それでも、さすがにそこまでする気にはなれない。 時間としてはまだ遅い時間ではないので、まだどこかに出かけているのかもしれない。 ブルースは戸に背を持たせ、待つ事にした。 コツコツと音を立て、組んだ足で地面を鳴らす。 ・・・こんな風に誰かを待つという事は初めてだ。 商談の時や、炎山に言われれば、確かに待つ。 だが、こうやって自分の意思で誰かを待つのは初めてなのだ。 ・・・・・・前の自分ならば、こんな事は絶対にしなかったろうに。 『あいつに、毒されたか・・・』 苦笑を浮かべるが、ブルースは満更でも無さそうだ。 ロックマンの事を考えると、心のトゲが丸まっていく気がする。 感情とか、性格とか。 うざったいと思っていた、ソレ。 今でももちろん、その考えは変わらない。 だが、ロックマンは別なのだ。 笑顔に癒されたり、仲間の事で怒ったり、泣いたり。 それは自分の中にほしいものではなく、ロックマンに持っていて欲しいものだ。 ・・・逢いたい・・・。 会って、あの笑顔を見せて欲しい。 「・・・ブルース・・・?」 そんな事を考えていると、名前を呼ばれた。 ハッと顔を上げると、そこには待っていたナビが居た。 ロックマンは呆然とこちらを見ていたが、ブルースが近付いてくると、顔を強張らせた。 「・・・な、なんか用?」 眼も合わせないロックマンのその態度に、ブルースは少し戸惑う。 「炎山からのメール?それなら、ポストプログラムに入れててくれたらいいのに」 そういい、ロックマンはブルースの横を通り抜ける。 「おいっ」 思わずブルースはロックマンの腕を取る。 手を取られ、それ以上進めなくなったロックマンはようやく歩みを止めた。 それでも、ブルースの方に顔を向けない。 「・・・何・・・?」 揚抑の篭らない声で、ロックマンはブルースを促す。 「・・・お前、最近俺を避けているだろう?」 遠まわしな言い方は苦手だ。 ブルースが率直に言うと、掴んだロックマンの腕がヒクリと震えた。 「・・・別に、避けてなんか・・・」 「じゃあ、何故俺の方を見ない」 ロックマンは答えない。 「笑わない、姿を見せない」 ブルースの腕に力が篭る。 何故かそれがとても苦しかった。 『絶対に変わらない』と思っていたことが変わってしまったことが、何故かとても苦しい。 「言え。俺は何かしたか?」 「――――――っ」 その言葉に、ロックマンは腕を振り解いた。 いきなりの事で驚いたブルースは、唖然とソレを見る。 「何もしてくれないから、苦しいんじゃないかっ!」 ブルースを睨み、震えた声でそう言うと、ロックマンはPETの中へと入っていってしまった。 『何もしてくれないから、苦しいんじゃないかっ!』 ロックマンの言葉を反芻する。 顔には涙が浮かび、光っていた。 「・・・・・・っ」 ブルースは振りほどかれた手を、痛いくらいに握り締める。 「何なんだ、一体・・・っ」 「ロックマーン・・・大丈夫か・・・?」 PETをパソコンに繋ぎ、熱斗はその中を覗き込む。 「うん・・・平気・・・ゴメンね、迷惑かけちゃって」 ベットに力無く沈み、ロックマンは弱々しい笑みを浮かべる。 「ロックマンが謝る事じゃねェッて!」 熱斗が声を張り上げると、シーッとロールが口に手を当てた。 「病人の前で怒鳴らないでっ」 もうっ!と熱斗に怒りながら、ロールはロックマンの身体を調べる。 ロールはプログラムナーシングライセンスを取得しているのだ。 プログラムナーシングライセンスとは、いわゆる看護婦や医者のようなもののことだ。 プログラムやナビの体調などを診る事の出来る資格だ。 ロックマンの身体の上の方に浮かんでたプログラムのウィンドウが閉じられると、ロールが立ち上がった。 「疲労とストレスが原因ね。あと、ちょっと仮想容量が減りすぎてるわ・・・。 熱斗くん、ロックマンにしょっちゅう勉強手伝わせて、ちゃんとそれゴミ箱に入れてる?」 ロールに言われて、熱斗は眼を逸らさせた。 「あと、スタイルチェンジ・・・だったかしら?あれも結構容量を使っちゃうみたいね。 別にスタイルチェンジをやるごととは言わないけど、マメにデフラグをやってみたらどうかしら?」 「うん、わかった。わざわざゴメンな、ロール」 熱斗が礼を言うと、ロールはニッコリと笑った。 「気にしないで。これが私の仕事なんだし、ロックにはいつも元気で居て欲しいしねv」 パチリとロールはロックマンに向かってウインクをする。 ロックマンはそれに応えるように、ニッコリと笑った。 「じゃ、私はこれで失礼するね」 診察に使ったプログラムのウィンドウを閉じ、ロールは立ち上がった。 「お大事ね、ロック」 「うん。ありがと、ロールちゃん」 いいえ。というと、ロールはPETから帰っていった。 「・・・ロックマン、ごめんな、オレ・・・」 「熱斗くんは悪くないよ。身体に気を使ってなかった僕も悪いんだし」 ロックマンが笑顔で言うと、熱斗はようやく少し笑った。 「メールとかは標準ナビに任せるから、ロックマンはしっかり休んでてくれな!」 「うん・・・ありがと・・・」 話していると、ロックマンの口調がトロンとしてきた。 「・・・眠いのか?」 「・・・うん・・・ちょっと・・・」 「疲労が原因、とも言ってたからな。ゆっくり寝てくれな、ロックマン」 「・・・うん・・・」 返事をしたかも曖昧に、ロックマンは眠りに落ちていった。 コメント ・・・3話で終わるはずだったんだけど・・・あれ?(笑) なんかこんなんばっかですみません(ヘコヘコ) なんにせよ、次で終わりです〜。 |