2 『出逢い』

出会いは突然だった。
それとも、それも『運命』だったのか。

準決勝、タカオとの第3戦を棄権したレイは、何気に決勝戦を高場から眺めていた。
決勝戦を戦う選手を読み上げるブレーダーDJの声が響く。
レイは、何気にカイの方を見た。
両方に青いペイントを模様した、前髪が銀髪の少年。
変なヤツ。
それがレイのカイへの第一印象だった。
かなり距離が離れていたはずなのに、カイがこちらの方をチラリと見た。
レイはドキリとした。
カイの眼が、緋色に見えて。
しかしドームの真ん中にある巨大なテレビに眼を映すと、それは赤銅色の瞳だった。

―――恋をしても、絶対に、緋の眼を愛してはいけない。

幼い頃聞かされた、長老の声が頭の中で反復される。
心底ビックリしたレイは、思わず戦いに魅入ってしまう。
タカオのストームアタックが炸裂する。
勢いに、カイが鉄格子にぶつかった。
ガシャンッ!という音がコダマする。
それから、歓声。
レイはその様子をじっと見ていた。
右手で心臓あたりの服を掴む。
ドキドキする。
何故だろう。
再びカイがテレビに映される。
レイは、その瞬間数歩後ろへ下がった。
通りかかった人にぶつかってしまったが、そんなこと気にならなかった。
ドクン。ドクン。ドクン。
自分の心臓の音が、間近にあるように響く。

テレビ画面に映ったカイの瞳の色。

それは。

鮮やかな、緋色だった。

「・・・レイ・・・」
パタン、と戸が閉まり、ジンの声がした。
レイはベットに寝転がり、枕に顔を擦りつけている。
「レイ・・・」
もう一度呼ばれ、レイはタヌキ寝入りをやめ、もぞもぞと布団から出てきた。
ジンがベットに腰を降ろし、少し眉を寄せている。
「何故、勝手に帰ってきた・・・」
それは怒りというよりも、心配したという言い方だった。
レイは黙っている。
「レイ・・・っ」
先程より少し強めにジンは呼ぶ。
「眠くなった。だから返って来た」
「嘘を言うな」
即座に否定され、レイは不機嫌と言うふうに眉をよせる。
「どこでも寝るお前が、いちいち帰ってきて寝るか?」
レイはジンから眼を逸らす。
ジンはふぅ、と息をついて、レイの瞳を覗く。
「らしくない。どうした?」
「・・・どうもしない・・・」
どんどんレイは俯いていく。
「疲れた・・・寝る・・・」
レイは言うと、逃げるように布団をかぶった。
ジンはまた溜息をつく。
それから、ベットから腰をあげる。
レイはわからないが、ジンはレイを見下ろしている。
「言い忘れたが・・・明日、中国に帰るぞ」
少し間を開けて、ふーん。とレイは声だけ出す。
「・・・タカオやマックス、カイも一緒だ」
その言葉に、レイはバッと毛布から出てきた。
あまりに大きなリアクションに、ジンは驚く。
「何故、皆来る・・・」
レイが睨む。
虹彩が、細くなる。
「ベイに宿る聖獣についての現場を見て、その由来を教えるためだ」
「・・・聞いてない・・・」
ゥゥゥ・・・と、レイの喉が獣のようにうめく。
「そりゃ、話してなかったからな」
ジンは感情を露わにしているレイに驚きつつ、再び近付いていく。
まるで、手を近づけたら引っかかれそうに、レイは緊張している。
「レイ、本当にどうした?お前なんかヘンだぞ?」
ジンは心配そうにレイに近寄る。
「ヘンじゃない・・・。いつもと一緒・・・」
意地でも自分の主張を曲げないレイは、それでもピリピリとした空気をまとう。
ジンは更に何か言おうとして、止めた。
「とりあえず、これはもう決まったことなんだ。レイは明日先に中国に行ってくれ。俺はタカオたちと行くから」
ジンの言葉に、レイは逆らえなかった。
レイは威嚇体制を解き、再び布団をかぶる。
承諾とも、反対とも取れぬ態度に、ジンは何度目かの溜息をつく。

レイは困惑していた。
数十億分の一の確率。
・・・巡り逢ってしまうなんて・・・。

―――恋をしても、絶対に、緋の眼を愛してはいけない。

長老の声が何度もよぎる。
・・・そうだよ。好きにならなければいいだけの話し。
第一、オレも向こうも男。
好き合うわけが、無い。
レイは何度も自分を納得させる。
ただ、一緒に行動するだけだ。
何があるワケが無い。
大体、緋と金の眼に何があるというのだ。
・・・それでも、出逢ってしまった。
そんな終わりの無い悪循環のせいで、レイはほとんどその夜は眠れなかった。



☆NEXT☆


コメント

一回アニメバージョンに直そうかと思ってやめました(苦笑)
ってかパソコン2階、資料(マンガ)は3階にあるのですが、何度も確認しに筋肉痛の足で上り下りしました(笑)
ところで何が書きたいよ自分!!(カイレイです)