flying 9

授業終了のチャイムと共に太一が廊下へと走り出す。
「太一!今日一緒に勉強しない?」
「ん〜・・・やめとく。また誘ってな!」
じゃあなっ!と太一は空に手を振って走って行く。
最近ずっとこの調子だ。
「空さん」
「光子郎くん」
「その表情を見ると、また捕まえられなかったみたいですね」
光子郎は空の怒ったような表情を見ると、苦笑を漏らした。
「まったく・・・最近太一ってば授業もまともに受けてないのよ!?
今日だってぼ〜っと窓の外見てて先生に怒られてたのし!!」
まったく!と空は怒りをあらわにする。
太一は前のように授業をまじめに聞いていなければ空たちと自主勉もしていない。
もちろん、ヤマトに会うためだ。
「このままじゃ高位階級どころか試験にだって受からないかもしれないのに・・・!!」
試験と言うのは、それぞれ六精霊+合成法術の試験のことで、これに受かると進級が出来るのである。
出来なかったらもちろん落第。というかその級をもう一年受ける事になるのだ。
「そうしたら僕と同級生ですねー」
「・・・光子郎くん・・・」
「じ、冗談ですって!」
空に本気で睨まれて光子郎はたじろく。
「はぁ・・・心配だわ・・・」

その頃。
空の心配の欠片もわかっていない太一は、今日も誰にも見つからないように注意しながら空を登っていく。
指定席の浮石に腰掛ける。
ヤマトはまだ来てはいない。
「ヤマトはまだか・・・」
当たり前か。ヤマトの方は自分の方よりも少し終わる時間が遅いといっていたから。
太一はそう考えるとちょっと照れる。
大好きな法指導をやるよりも楽しい。
ワクワクする。
太一がここに来て、ヤマトを待ってまだそれ時間はたっていない。
だが、早くも太一はそわそわし始めた。
ヤマトまだかな?とか、今日来るのかな?とか、もうそろそろかな?とか。
風が太一の髪を撫でていく。
「・・・迎えに行っちゃおうかな〜・・・」
冗談で呟いたはずの言葉。
だが、だんだんそれを実行してみたくなった。
「・・・やっちゃえ☆」
子供なんて好奇心の塊。
太一はさらにそれに磨きのかかったものだ。
「あー・・・でも『エアリアル』なんか効かなかったよなー・・・」
再び浮石に座って対策を練る。
「なんでだろ・・・魔力のことなんて法指導でやんないからなぁ・・・」
風に勝つに一番有効なのは反対属性の地系法術を使う事だ。
それか、地系と風系の両方を持ち合わせた合成法術を使う事だ。
しかし、反対属性同士の合成法術は高位中の高位。
そんなもん太一が使えてれば高位階級になんて一発でなれている。
「んん〜『レジスト』とかかな〜??」
レジストは第3段階合成法術で、水と水を合成させ、まず氷の精霊・『CELSIUS』 ―セルシウス― を生み出し、地の精霊・『GNOME』 ―ノーム― と合成させる。
それにより新たなる法術が生まれるというものだ。
「第3段階合成法術だけど・・・前に『レジスト』成功したし・・・」
大丈夫だろ♪
アッケラカンな太一。
さっそくしたくしたく♪と準備を始める。
少し離れたトコロに比較的大きな浮石を見つけ、そちらに移る。
まずそこに法力増幅の効果のある魔方陣を書く。
そしてそこの中心部に入り、胸元に十字と六亡星をを描いた。
「右手に宿りしは水を司るもの、『UNDINE』 ―ウンディーネ― 左手に宿りしは水を司るもの、『UNDINE』 ―ウンディーネ― を我はおく。
汝らの力を持ちて我に新しき力を与えよ・・・。
合成精霊(フリンジ・エレメンタル)『CELSIUS』 ―セルシウス― !!」
太一が右手と左手にそれぞれ持った水の法力を、パンッ!と両手であわせた。
途端、冷気があたりを包み込んだ。
太一はさらに言葉を続ける。
「右手に宿りしは氷を司るもの、『CELSIUS』 ―セルシウス― 左手に宿りしは地を司るもの、『GNOME』 ―ノーム―  を我はおく。
我に汝ら精霊の護りを与えたまえ・・・。
―――――――――レジスト!」
唱え終わると同時に、法力によりうまれた衝撃波がまわりに広がった。
太一が目を開けると、透明な膜が太一を包み込んでいた。
「っし!!」
成功に、太一は思わずガッツポーズをとる。
しかし、こういう持続系は術をかけている間ドンドン自分の法力が精霊たちに吸い取られているので、あんまり余裕が無い。
太一は飛び立つと、『風の境目』へと入っていった。
しばらく、緊張して様子をみる。が、この前のように崩されないところを見ると成功らしい。
「よっし!」
ぜひこれを空と光子郎にも見てもらいたいものだ。
が、こんな相手領地に入りこむところなど、いくら幼馴染や友達にも見せるわけには行かない。
太一は相手領地にはいり、クルリと首を後ろに向け、『風の境目』を通り抜けた事を確認する。
「うっし♪」
太一は大丈夫と踏み、術を解いた。
途端・・・・・・。
この前のような風が太一を紙のように吹き飛ばした。
「っく!!」
体勢を立て直せない。
この前以上に油断している心には完全に隙がうまれ、対処法を太一から奪い去った。
―――ヤマト!!!
その言葉を最後に、太一の意識は遠のいていった・・・。



☆NEXT☆


コメント

またしても新しい言葉と法術が飛び交いました・・・。
次には魔術もだそうかと・・・。