|
flying 8 それから週に3、4回。多い時には5回、太一とヤマトは『風の境目』で会うようになった。 「へぇ〜じゃあそっちにも神殿があんだ」 「ああ。否神殿っていうけどな」 「ひしんでん?」 「神殿ってのは神を祭るための神殿だろ?否神殿てのはその逆」 「・・・神を祭らないってコトか?」 「一言で言ったらそうかな?」 「ふ〜ん」 太一はふんふんと一つ一つ納得するまで聞く。 お互いに『風の境目』に一番近い浮石に腰をおろして話しをする。 というか、ほぼ太一の一方的な質問にヤマトが答えるような形だが。 ヤマトは太一のしつこい質問にもいやな顔一つせずに答えていく。 「じゃあさ、じゃあさ!ヤマトんとこは何祭ってんの?」 太一に質問にヤマトは苦笑を浮かべる。 「なんにも」 「なんにも祭ってないのに、なんであるんだ?」 太一はくりゅっと小首をかしげる。 「太一はさっき否神殿は『神を祭らない』って言ったよな?」 「ああ」 「正確には『神を否定する』んだ」 「・・・否定・・・?」 太一の顔に少し陰りがうまれる。 天使にとって神は絶対。否定するなんて考えもしない、とんでもない話しだからだ。 「堕天使は神を憎む存在。神を忌み、否定し、頼らずして自らの手で成長するもの。 黒き翼は未来永劫それを忘れずいる事の証」 ヤマトは淡々と言葉を綴る。 「・・・・・・そっか・・・」 太一の顔が優れないのがヤマトからでもよくわかる。 「・・・ごめんな、太一」 ヤマトの方を見ると、本心から言っているのがわかる。 「うんん。オレから知りたいって言ったんだしさ。 それに、ヤマトたちからしたらさ、こっちが信じらんないだろ?」 「・・・まぁな・・・」 「お互い様お互い様!」 なっ!と太一はいつもの笑みを見せる。 「・・・俺たちが別れてしまったのは、互いに互いが自分たちの考えに引きをとらせなかったからなんだろうな・・・」 「なのかな?」 「・・・お前みたいなやつが居たら、もしかして別れなくてすんだのかもな」 「お、オレ!?」 ヤマトの言葉に太一は顔を染める。 「そ、お前。お前みたいに柔軟で、素直な意見言えるやつが昔にも居たらよかったのにな」 「そ、そうか??」 「おう」 太一はガラにも無く俯いて言葉をなくした。 本当に素直な太一にヤマトはクスリと笑いをこぼす。 「お、オレからしてみたら・・・」 「?」 「お前が居た方が、別れずにすんだと思うけどな・・・」 太一は照れた顔で笑う。 今度はヤマトが顔を紅くする番。 それを見て笑ったのは、太一。 「くくっ・・・お前の顔、タコみてぇ〜!!」 ユデダコ!!と太一が指をさして笑う。 ヤマトはく〜〜〜っ!っと悔しそうに太一を睨む。 「お前に言われたくない!!お前なんて熱いお湯につかりすぎてノボセタおやぢみてぇじゃねぇか!」 ヤマトらしい詳しい説明に太一は一瞬唖然としてからむぅっと怒ってくる。 「なんだよそれ!!」 「見たまんまを表現しただけだ!!」 ぎゃあぎゃあと二人の叫び声が風に乗る。 二人とも年相応に叫びまくって、十分後には疲れて肩で息をついている太一とヤマトがいた。 「くっそぉ〜!そっちに行けたらその顔殴ってやるのに!」 「命の恩人に対して随分ないいぐさじゃねーか」 「はん!そんな事忘れたね!」 「あ!このやろう!!」 ヤマトと太一の睨み合いが続く。 が、それも長くは続かない。 二人でプッと息をはく。 次の瞬間には二人の笑い声がひろがる。 「なんかさ!お前にはなんでも言える!空とも光子郎とも違う雰囲気!!」 「空?光子郎?」 初めて聞く名前にヤマトは首をかしげる。 「あ、まだ言ってないっけ?空ってのはオレの幼馴染で、光子郎は学校の後輩なんだ!」 それから、と太一は続ける。 「高位階級には妹もいるんだぜ!」 自慢気に太一は胸をはる。 「妹か・・・」 「おう!可愛いんだぜー!!」 「兄バカ・・・」 「なにぃ!?」 「いやいやなんでも・・・」 むう、と太一は納得いかない様子。 「そういうヤマトには?」 「は?」 「だーかーら!ヤマトには兄弟いないのかって!」 ああ、とヤマトが納得する。 「弟がいるよ。タケルってんだ」 「タケル?」 「ああ」 「確か下(人間界)の祭ってる神にもなんか似たような名前が・・・」 「日本武尊(やまとたけるのみこと)のことか?」 「そー!!」 思い出したように太一が笑う。 「あれ?でもなんで堕天使なのに神の名前?」 ヤマトはいつものような落ち付いた笑顔で太一を見る。 「父さんも母さんも別に神を完全否定してはいない。むしろ、天使側との安定を望んでいるんだ。 だから、俺たちは希望をこめられて、この名前をもらったんだ」 「ふーん。いいな」 「ああ。俺も気に入ってるよ。この名前」 「違う違う。いや、もちろんその名前もいいぜ!!でも、オレがいいなって言ったのはお前の親の事!」 「親?」 「おう!そう言う考えオレ好きだ!親が親だから息子もそうなんだな!」 納得☆と太一が微笑む。 ヤマトは誉められて嬉しいのか恥ずかしいのかいい意味で複雑な気分だ。 「お前の親も、いい人なんだろうな」 「は?なんで?」 「お前を見てるとそう思う」 遠まわしに誉められている事が分かって太一はまた照れる。 暫く心地のよい沈黙を味わっていると、太陽が完全に沈むのが視界の中に入ってきた。 「やば!そろそろ帰んないと・・・」 「もうそんな時間か」 「お前の親は心配しないのか?」 太一の質問にヤマトは一瞬言葉に迷って、やっぱりつむいだ。 「父さんは高位階級だからな。めったに会えないよ」 「母さんは?」 「いない。離婚してさ。今は一緒に暮らしてないんだよ」 あ、と太一は失敗したと心の中で思った。 「ご、ごめ・・・っ!オレ、なんにも考えてなくて・・・!」 「だろうな」 「なにぃ!?」 謝るつもりがまたケンカ腰になってしまう。 そんな太一を慈しむようにヤマトは微笑む。 「いいよ、太一になら。今日はも帰るんだろ?明日話してやるよ」 「お、おう・・・」 始めて見たヤマトの表情にポカンとしていると、ヤマトが浮石からスクリとたちあがった。 「じゃ、『また明日』な」 軽く手を上げてサヨナラをすると、ヤマトは翼を広げて飛びたった。 太一はぼ〜っとその様子を見ていた。 「またあした、か・・・」 嬉しさが、徐々にこみ上げてくる。 「・・・へへっ♪」 太一は嬉しそうに飛び立つ。 『また明日』 もうけして会えないと思っていた相手との約束。 なんていうんだろう。このキモチ。 ドキドキ ワクワク ちょっとだけ、ズキズキ。 なんていうんだろ?この、気持ちのよい心の高ぶり。 「また明日!」 なんどもその言葉を呟きながら太一は降りていった。 コメント 古い表現多用・・・(言うな) なんかクサくて安い恋愛小説に・・・!!!そ、それだけは絶対さけなくてはー!!! |