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flying 7 『風の境目』をはさんだ太一とヤマト。 けして触れ合う事は無かったけれど、今は相手に会えた。それだけで嬉しい。 お互い一番相手に近い浮石に降りたって目をあわせる。 太一がニッコリと微笑む。 ヤマトは恥ずかしそうにしながらも、やはり嬉しそうだ。 「なあなあ!オレさ、ずっと気になってたんだけど!」 「?」 「お前の名前はなんてーの!?オレは、太一!!」 いちいち大声で叫ばないと向こうに聞こえない。 太一は口元に手をあてて叫ぶ。 ヤマトも同じように大きな声で、 「ヤマト!俺は、ヤマトってゆう!」 「・・・・・・ヤマト・・・」 やっと知れた相手の名前を太一は何度も口の中で転がす。 「ヤマト!!」 「あ?」 「この前は、サンキューな!!」 太一が言っているのは初めて出会った、太一が堕天使領地に落ちてしまった事の出来事のこと。 ヤマトはああ、といいながら優しく微笑む。 「別にいいよ!俺が勝手にやった事だし!」 「でも、2回も命救ってもらったろ?」 「2回?」 「オレそっち側におちちまったろ?その時!」 「・・・そっか、2回、か・・・」 太一に言われてようやく気がついた。 そう言えばそんな事もした。 というか、あそこで助けてなかったら今こうして話しているわけがなくて・・・。 「なぁ〜んだ?忘れてたのかよ?オレはこんなに感謝してるのに〜」 太一はおどけて言ったつもりだが、ヤマトはマジメすぎるのか真正面からその言葉を受けてしまった。 「す、すまん・・・」 素直に謝る相手に太一は一瞬キョトンとした顔をしたが、次の瞬間に爆笑した。 「???」 突然笑い出した相手にヤマトはだた不思議がるばかり。 自分はただ謝ってるだけなのに・・・? 「あ、あはははは・・・っ!!ご、ごめっ・・・!」 しかし太一は 腹を抱えて相変わらず笑いこけている。 「?おい・・・いったいなんなんだよ・・・」 太一は目元に浮かんだ涙をふいてまたヤマトを見る。 「ごめ・・・っ。オレ、今日おかしい!」 「おかしい・・・?」 「なんかオレ、今日めちゃめちゃ浮かれてる!」 「?なんかいい事でもあったのか?」 「おう!」 ヤマトの問いに太一は元気よく答える。 「そりゃ・・・よかったな・・・」 イマイチ太一のテンションについて行けないヤマト。 そんなヤマトに気付いたのか、太一はもうちょっと言葉を付け足す。 「だって、お前に会えただろ!?」 やっと理解したヤマトは一瞬にして顔を真っ赤にさせた。 「おっおおおおおお前なぁ!!平気でそう言う事いうなよ!!」 「?なんで??」 「そ、そう言うのは彼氏とかに言うセリフだろ!?女がひょいひょいそう言う言葉を使うな!!」 ヤマトが叫んだ後、二人に沈黙が流れた。 「・・・・・・・・・・・・女・・・?」 「女」 「・・・誰が?」 「誰がって・・・お前しかいないだろっ?」 また、沈黙。 「・・・・・・やまと?」 「なんだ」 「『オレ』は『オトコ』」 必要な部分を強調して言う。 三度、沈黙・・・。 「・・・・・・・・・・・・男・・・?」 「男」 「・・・誰が?」 「オ・レ!!」 びしっと太一は自分を指差す。 そうやらヤマトはず〜〜っと太一を女と認識していたらしい。 「だってお前すっげぇ軽かったし!」 「体重重くなりにくいんだよ」 「腕とかもほせぇし!」 「わ〜るかったなぁ!筋肉とかもつくにくいんだよ!!」 「それに・・・」 「それに・・・?」 「・・・・・・いや・・・」 そんなに可愛いくせに女じゃないのか。 喉まで言葉が出かかったがなんとかヤマトは飲みこんだ。 コレをいったら太一の逆鱗に触れて、それこそまた『風の境目』を通り越してこちらまで殴りに来るかもしれない。 「とーにーかーく!!オレはお・と・こ!!」 「はい・・・」 言う事を無くしたヤマトは素直に頷く。 そんなやり取りが面白いのか、太一の顔にまた笑みが広がる。 自然に、ヤマトにも感染する。 「ヤマトのさ」 「?」 「翼って綺麗だな。星の近くにある夜の色だ」 「そ、そうか?」 「おう!」 「お、お前の」 「太一!!」 さっきからお前よばわりするので、太一は訂正させる。 「・・・太一の翼も、綺麗だな・・・」 素直な言葉に太一も思わず照れてしまう。 心地よい沈黙が、二人の間におりた。 そして、目をあわせて微笑む。 「オレさ」 「うん」 「堕天使が悪いやつだって決めれないよ。現に、お前はすっげぇいいやつだ!」 「太一・・・」 「神を憎むのだって、なんか理由があるんだろ?オレは、教科書の中や創造の中でお前たちの人物像を決めたくない」 「・・・・・・」 「オレは、もっとお前らの・・・ヤマトたちの事、知りたい」 太一の目には真剣な光が灯っている。 「それは、りっぱな契約違反だぞ?」 「お前だって、同罪だろ?」 太一がまたニコリと笑う。 ヤマトは苦笑を浮かべながら、でも楽しそうな口調で 「俺も、そう思う」 と、呟いた。 みるみる太一の顔に喜色が浮かんでくる。 「じゃあさ!じゃあさ!!」 太一が飛んできて、『風の境目』すれすれまでヤマトに近付く。 「この時間帯でまた待ってるからな!」 そっと、太一が『風の境目』に触れる。 ヤマトも、それに習う。 「ああ。待ってる」 ヤマトは優しい笑みを浮かべて太一を見る。 太一はその笑顔に少し、見惚れていた。 「ヤマト」 「ん?」 「呼んで見ただけ♪」 「・・・そっか」 「そ♪」 「・・・太一」 「なんだ?」 「呼んで見ただけだ」 「・・・そっか」 「そ」 何気ないやり取りが二人に続く。 これさえも、幸せのひととき。 これが、二人の心の変化の始まり―――。 コメント 太一さんは女の子v(違) おろせば多分方まである髪にヘアバンド。 細い腰に細い首筋に細い腕にかわいいアソ・・・(撲殺) よ、ようやくヤマ太風味に・・・ぐふっ!!(吐血) |