flying 6

天使にとって『願う』とこは最高の『信じる』こと。
太一の今の願いは二つ。
一つ目は、高位階級になってヒカリに会うこと。
二つ目は、あいつ・・・堕天使の、助けてくれた優しいあいつに会ってお礼をいうこと。
そして、名前を聞くこと。
「会えたら、奇跡だよなぁ・・・」
そういう太一の顔は、なんだか幸せそうだ。

ヤマトは、よく魔力を操るせいか精霊たちに敏感だ。
最近・・・それこそあの天使と会ってから、風がよく舞うように踊る。
堕天使側の精霊は『攻撃』を主に働くためか、どことなく乱暴だ。
それが最近なんだか穏やかで・・・心が休まると言うような感じだ。
「なんだろ・・・この感じは・・・」
最近特に気になっていた。
ヤマトはもともとあんまり人とか物とかに感心は持たないほうだ。
なのに、今回のコレは何故か気になる・・・。
授業が終わり、なんとなくフラフラしていると、いつのまにかこの前天使と会った場所へと来ていた。
この場所に来ると特に風が気持ちいい。
「空・・・か・・・・・・」
久しく飛んでいない。
久々に飛んだのはあの天使を助けた時。
別に歩けば道に出るし、急ぐ時は走ったり早く出ればいい。
ヤマトはあまり好き好んで飛んだりしない。
「疲れるしな・・・」
でも、なんだろう。
「たまには、飛んでみっかな・・・」
ヤマトはウーンと大きく伸びをして、少し身体を整える。
そして、ぱっと翼を広げて大地を強く蹴った。
空気が下に流れていくような感覚がヤマトを包む。
無理せず、ペースを守って翼をはためかせる。
暫く飛んで、周りに視線を送る。
「・・・・・・へぇ・・・」
天使側でも堕天使側でも一番大きな建物は神殿と否神殿だ。
否神殿がまずヤマトの視界に飛びこんできた。
いつも見上げる建物を見下ろすのはなんだか新鮮な感じがする。
そして、面下に広がる樹木や草花の緑。地面の茶色。建物のさまざまな色。
そして、どこまでも続く大きく広い、青い蒼い空。
その蒼に雲の白が溶けこんで、自然の微妙な色の表現がされている。
その景色に見惚れ、暫く上に向かって飛んでいく。
と、なんだか視界にいつも見ないものが入りこんできた。
浮石だ。
「やっば!」
浮石は空の到達点の証。
つまり、『風の境目』へ近付いた証拠。
天使領地と堕天使領地は『風の境目』を天上としている。
要するに、天使領地と堕天使領地は互いにさかさま同士ということだ。
「やばいなぁ・・・ずいぶん飛んできちまった・・・」
とりあえず浮石に足を下ろして小休止をとる。
風の境目はすでに目前。
すりガラスをはったような一枚向こうには自分たちと変わらない『蒼』が広がっている。
「俺もあいつの事言えないな・・・」
ヤマトは呟いて苦笑を漏らす。
「でも・・・ここまで来たんならあいつに会いたいよな・・・」
なんて、居るわけないのに。
「はぁ・・・見つかる前に帰るか・・・」
ヤマトは溜息をついてもう一度空を見上げた。
・・・・・・・・・・・・そこには・・・・・・。

今日も太一は学校を終え、光子郎たちにちょっと勉強に付き合ってもらってから『風の境目』を目指す。
浮石に乗りながら見る青空は格別で、太一のお気に入りの場所だ。
「きょおっはどーんなそーらっかなー♪」
自作の歌を唄ってご機嫌な太一。
太一はちょっとオンチな方だが、『天聖歌』を唄って空に誉められたので気分がいいのだ。
浮石をピョンピョンと軽く飛びながら渡る。
天気は良好。筋雲が空に映えて気持ちいい。
「へへ・・・」
風を全身に受け、ますますゴキゲンな太一。
「今日は絶対いいことがある!!」
確信の無い自信だが、太一は『信じる』。
「神様、神様。どうかあいつに会わせてください」
目を閉じて、一番『風の境目』へ近い浮石へと飛ぶ。
目を、少しずつ開く。
・・・・・・・・・・・・そこには・・・・・・。

『風の境目』を間にはさみ、二人の視線が重なった。
まず放心から解けたのは太一。
開いた口がみるみる笑みへと変わっていく。
「会えた!!」
風が声を邪魔するが、なんとか向こうへと聞こえたらしい。
「なんでここに居るんだよ!?」
向こうの驚きの入った声がなんとか聞こえた。
太一は嬉しくなって反論をする。
「お前こそ!な〜んでこんなとこに居るんだよ!」
笑み付きの嫌味は、見事に向こうの言葉を封じらせた。
「オレは!!」
太一が言葉を続ける。
「お前に会いたかったから!!」
またしても、ヤマトが動きを止める。
こっちから見ても顔が赤いことがわかる。
太一は向こうの言葉を待つ。
ヤマトは観念したように。
「俺も!会いたかったから!!」
ヤマトの答えに太一はニッコリとした。
やっぱり、今日はいい日だ・・・。



☆NEXT☆


コメント

うふふ・・・。ようやく話しが進んできました・・・(ヲイ)
ちなみに今後の見通しはたててません(死んでこい)