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flying 47 強烈な光が視界を真っ白に埋める。 「・・・・・・っ!」 アレクタリスからはまだ黒い気が出ている。 いくら太一が四翼の天使と言っても相手は神具。 力の押し合いが続く。 「精霊たちよ!神具に収まりし大精霊たちよ! 汝等の力、再び剣に収束させよ! 光よ!闇よ!火よ!水よ!風よ!地よ!無よ!時よ!! 四翼の天使の名の元に! 我、汝等の支柱とならん!」 太一がアレクタリスを空高く掲げる。 中央部の空洞にさらに光が集まる。 空の叫び声が耳に届く。 光が音を吸い取っているわけでもないのに、やけに遠く感じた。 次の瞬間、ガラスが砕けるような音と共に光が弾けた。 太一はゆっくりと瞳を開ける。 光が目に焼きついて、チカチカしたが、すぐに元に戻った。 アレクタリスに目を移す。 先程まであれほど負の気を放っていたアレクタリスが、清浄な気を放っている。 太一は安心してアレクタリスを地に降ろした。 「ヤマト・・・やったよ・・・」 天を仰ぐ。 そのまま、瞳を閉じる。 目の端には、涙が少し浮かんでいた。 「ぅ・・・」 強い光に目を妬かれ、トーラは目を擦る。 「トーラ・・・」 カインに名前を呼ばれ、トーラは眼を開く。 カインは柔らかく微笑んで、トーラの頬を手で撫でる。 「髪、短くしたんだね・・・」 「・・・カイン・・・?」 トーラは小さな掠れた声でカインを呼ぶ。 「目つき、ちょっときつくなった?ああ、でもやっぱり可愛いよ」 眼淵に浮かんだ涙を指で拭われる。 「眼・・・」 カインは静かに、それでも嬉しさを隠せない表情で微笑む。 「空って青いね。久しぶりに見たよ・・・っ」 トーラはカインに思いっきり抱きついた。 「あれ?怪我が・・・」 空たちも、自分の身体の変化に気付く。 先程あれほど傷付いた肌が、全て塞がっているのだ。 それどころか、服や法力、魔力さえも回復している。 「これって??」 空たちは不思議そうにお互いを見る。 「・・・ロウ様?」 空がロウを見ると、ロウは驚きに言葉を失っていた。 それから瞳を閉じて、穏やかな笑顔を浮かべた。 「アレクタリスと、四翼の天使の力じゃよ・・・」 邪悪な力は、それと共に神聖な力でもある。 力の出し方に寄っては、それはどうにでも変わる。 太一は、太一の素直な心と真っ白な心でアレクタリスに真正面から向き合った。 アレクタリスはその太一の純粋な心を具現したのだ。 「太一の・・・願い・・・?」 空は太一を見る。 背を向けている太一がどんな表情をしているかはわからない。 でも。 「大丈夫よね・・・」 キミは弱くて強いから。 空は地を見る。 下を向きながら、歩いても行ける。 そんな風に思えた。 「太一・・・」 アレクタリスを持って太一がこちらに向かってくる。 ロウは太一を呼ぶ。 先程と違い、今度はちゃんと反応が返ってきた。 「ロウ様・・・」 まだ、前のような、眩しい笑顔には程遠いが、太一は笑みを浮かべるようになった。 「太一・・・わしは前々からずっと考えていたんじゃ・・・」 ロウの突然の言葉に、太一は首をかしげる。 「『風の境目』を無くし、天使と堕天使の共存を・・・」 ザワっとその場のものが騒ぐ。 「そ、そんなこと、出来るの!?」 ミミが光子郎と共にロウに近付く。 「四翼の天使の強大な力・・・しかも法力と魔力の両方を持つ太一なら、出来る。 ・・・あれは法力と魔力の創り出している壁だからの。 アレクタリスを使えば、中和し、解けるであろう」 ロウはミミを振り返る。 「堕天使の天位階級者よ・・・」 いきなり話を振られて、ミミは戸惑う。 「堕天使たちの代表として、受け入れてくれるかの・・・?」 「それって・・・光子郎くんたちと一緒に居れるってこと・・・?」 コクリとロウが頷く。 「そのための道は、長く険しい。・・・それでも、承諾してくれるか?」 「もちろん!ミミ、頑張るよ!」 でも。とミミは続ける。 「太一さんだけにツライ思いさせらんないよ。 ミミも手伝う!それが条件!」 「『達』ですよ、ミミさん」 光子郎が後ろから付け足す。 誰よりもその言葉が一番嬉しかったのはロウだった。 どんぞこまで堕ちていた希望が、再び浮上した。 その現実が嬉しかった。 太一も驚いたように眼を見開いたが、すぐに笑顔になる。 「うん。がんばろうな!」 太一は横たわるヤマトの方に視線をやる。 ―――ヤマト、お前が必死に護ってくれたから、頑張れるよ・・・。 コメント 太一復活〜☆ 太一が早く元気になるといいな。というメール等貰ったので、ようやくこういう展開になれてよかったですv |