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flying 46 殺伐とした大地に風が吹き荒れる。 風に流され、モヤも吹き飛ばされていく。 しかし、そこには・・・。 「セアが居ない・・・」 アレクタリスと共にモヤにかかってしまったセアが居ないのだ。 モヤが晴れきると同時に、アレクタリスが地面に落ちた。 うまい具合に刀身が下を向き、ザクっと音を立ててアレクタリスが地面へと突き刺さる。 「セアはどこ?」 ミミがフラリと近付こうとする。 「行ってはならんっ!!みな、こちらに来るんじゃっ!!」 いきなりのことに戸惑いながらも、皆がロウの元に集まったと同時に、アレクタリスから今度は黒いモヤが一気に噴き出した。 「なっ!なにっ!?」 こちらに届く前にロウが皆全体に結界を張る。 「アレクタリスの力が流出してしまっているのじゃ・・・っ」 苦しげにロウが呟く。 「あの・・・黒いモヤが・・・っ!?」 驚愕に空は眼を見開く。 「アレが・・・精王剣アレクタリスなんですか!?」 黒いモヤは鋭い勢いで四方八方に噴いている。 衝撃で、大地が揺れ動くのがよくわかった。 「アレクタリスは所持するものの力を吸い取り、自らの力を貸すのだ。 そして所持者の力が負の感情にあると、ああして黒い気を放つようになってしまうのじゃ・・・。 所持者の力がつきた後、アレクタリスが吸い取るものは・・・」 生命じゃ。 空は喉を鳴らしてツバを飲み込む。 「そして、吸い取るだけ吸い取ると、次に待っているのは暴走じゃ」 「そ、んな・・・っ」 空は数歩後退して口元を抑える。 「私は・・・」 それに一番ショックを受けたのはサーナだった。 そう。アレクタリスを持ち出したのは、他でもないサーナだったら。 「サーナさま・・・」 空がサーナに近付こうとした時、ピシィっと嫌な音が響いた。 「サーナ、空、光子郎、ヒカリ・・・っ」 ロウが苦しそうに空たちを呼ぶ。 結界には、幾筋ものヒビが入っている。 「いいか・・・この結界はもう壊れる・・・っ。おぬしらで、出来るだけ強力な結界を築いてくれ・・・っ」 見れば、ロウの手の平からボダボダと血が流れている。 「ロウさ・・・っ」 空は近付こうとしたが、ぐっとその身をその場に保ち、4人で陣形を組む。 「空さん、やりましょう・・・」 ロウの張った結界はもう持たない。 出来るだけの時間の中で一番強い魔方陣を描き、中に入る。 『手を取り合いし汝等は宇宙を取り巻くもの。 すべての奇跡を具現し、我らが前に力の集大成を表せ! 汝等、属性を司る精霊たちよ!! 集え! エレメンタル・クラウド!!』 結界が張られてたのを確認し、ロウは自分の結界を解く。 それでも、すぐに先程のように衝撃波が地面から襲ってくる。 「なんて強大な力・・・っ」 ヒカリが苦しげに呟く。 この結界もいつまで持つかわからない。 「どうすれば・・・っ」 「・・・のう天使の天位階級者よ・・・」 ロウに近付いてきたのは、トーラだった。 「先程、アレクタリスは力を喰うと言ったな?」 トーラの言葉にロウは小さく無言で頷く。 「では、我の力をアレクタリスに喰わせてやれば暴走は止まるのだろう?」 トーラはロウに皮肉にも見える笑みを浮かべた。 「我は、少なくとも力で制しようとはしていないからな」 「トーラ様っ!」 タケルが近付いてくる。 トーラはそれを眼で制し、結界から出て行こうとする。 「やめろ!結界の外は例えるなら強酸の世界じゃ!!いくら魔法に対抗があるといってもすぐにセアのようになってしまう!!」 「それでも」 トーラは振り返る。 「私は罪滅ぼしがしたい」 その言葉にサーナがヒクリと反応した。 「サーナ」 トーラが始めてサーナを呼んだ。 「私もお前も間違っていなかった。・・・お前とは一度本気で話し合ってみたかったよ」 「・・・ぁ・・・っ」 サーナは振り返ろうとする。 が、それだと精神が乱れてしまい、結界が壊れてしまう。 結局サーナはトーラから眼を離し、再び術に集中する。 トーラはひとつ大きな深呼吸をして、結界から出ようとする。 「!?」 その時、後ろから肩を引かれた。 カインだった。 「トーラは行っちゃ駄目だ。大丈夫。俺が行くから」 トーラを結界の殻に近いところから引き離し、代わりに自分が近付く。 「言ったでしょ?トーラは僕が護るって」 「イヤだ!!カイン、頼むからやめてくれっ!!・・・もう・・・もうっあのときのようなこと、しないでくれ・・・っ!」 トーラはカインにしがみつく。 「・・・トーラ・・・」 カインはトーラは優しく引き離し、額と額をくっつけた。 「何度も言ってるだろ?僕の眼が見えなくなったのはトーラのせいじゃないって」 「私のせいじゃないかっ」 癇癪を起こした子供のように、トーラはカインから頭を振り払った。 「弱いんじゃないってわからせてやりたくて・・・無理して魔物に挑んで・・・結局かばったカインの光を奪ってしまった! それのどこの私のせいじゃないって言うんだっ!!」 トーラの眼には涙の粒が浮かんでいる。 「アレは事故だったんだ。キミのせいじゃない。 それに、僕が護りたいから護ったんだ。後悔はしてないよ」 カインは両手をトーラの頬で支え、涙を拭ってやった。 「護ってやるなんてえらそうなこと言って、結局あんまり護ってあげられなかったね・・・ごめんね・・・」 ―――――ごめんね・・・。 その言葉に、太一の肩が揺れる。 それだけ言うと、カインはトーラから離れ、結界の殻の方に向かっていった。 「大好きだよ。・・・ずっとずっと、愛しているから」 ―――――あいしてる。 あの、言葉がよみがえる。 「カインっ」 再びカインに近付こうとしたトーラを、丈はなんとか押さえつける。 「離せ!カインを・・・カインがぁっ!!」 「あなたまで結界の外に出てしまってどうするんですか!?」 それでもトーラは暴れて丈の手を逃れようとする。 「カイン様!戻ってくださいっ!!」 タケルたちが必死に呼びかける。 カインはそれでも歩みを止めない。 手の平を結界外へ出してみる。 ジュっと音と共に、肉が焼けた。 顔を引き締め、覚悟を決める。 助走をつけ、結界外へと一気に出る。 その時・・・。 「た、いち・・・」 太一が空たちの結界をさらに大きくし、強力な結界を張った。 ヤマトの身体をそっと地面に横たえ、カインたちの方へ近付いていく。 「空、光子郎、ヒカリ、サーナ様、結界張ったから、法術やめていいよ・・・」 フラリフラリとまだ頼りない足元。 それでも、瞳に光が戻りかけていた。 太一はカインの方へと歩み寄る。 一瞬と言えど結界外に出て、アレクタリスの負の気を浴びてしまったため、全身が焼けてしまい、うずくまっていた。 「・・・あなたは強いね・・・」 柔らかく微笑むと、カインに回復の術を簡単にかけ、さらに足を進める。 向かうは、結界の殻。 そして、その先にあるもの。 ・・・アレクタリス。 「・・・ヤマトが護ってくれた命だもんな・・・」 結界を抜ける。 「・・・死ぬわけには・・・・・・もう、誰かを死なせるわけには、いかねぇよな・・・」 ヒタリと、アレクタリスの前で止まる。 軽い金属音と共に、太一はアレクタリスをつかむ。 バヂバヂバヂッ!!と、嫌な音が皆の耳に届く。 黒と白色が混ざり合い、雷のように反発しあっている。 「・・・・・・っ!!!」 太一は両手でアレクタリスを持つ。 白い光が一点・・・アレクタリスの中央部のポッカリと空いた穴を中心に、集まり始めた。 そして、優しく、力強い光が眩くあたりを包み込んだ・・・。 コメント ようやく・・・ようやく終わりの兆しが・・・(泣) あと一息!がむばるぞ☆!! |