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flying 45 「っふ・・・っ!」 セアは短い息と共にアレクタリスを振る。 ッキュン!と、例え難い高い音を立てながら、衝撃派はロウに向かって行く。 「く・・・っ」 ロウは出来るだけ横に広く結界を広げる。 このままでは自分よりも後ろにいる太一たちに被害がでてしまうからだ。 しかし、それは受け止める力を弱めてしまうことにも繋がる。 っどぉおおんっ!!! 「きゃあああっ!」 ものすごい爆音と共に、強烈な爆風が吹いてきた。 吹き飛ばされそうな身体と、光子郎とミミの身体をなんとかその場に繋ぎとめ、ロウたちの方を振り向く。 「ロウ様・・・っ」 ロウはその場に足をつき、頭から血を流している。 「ヒカリちゃんたち、光子郎くんとミミちゃんを頼むわねっ」 空はたっとロウの元へと駆け寄っていく。 「ロウ様・・・」 もうあまり残ってはいない法力だが、それでもロウに向かって回復法術をかける。 しかし、ソレに気付いたロウがやんわりとやめさせる。 「おぬしも疲れているのじゃろう?その力は友達のためにかけておやり」 しかし・・・っ」 納得のいかない空は、ロウの服の裾をきゅっとつかむ。 「・・・おぬしらは優しいな・・・」 今にも泣き出しそうな、そんな表情でロウは微笑んだ。 「だがな、優しいばかりではいけないときもあるんじゃよ・・・」 ロウはゆっくりとした動作で立ち上がる。 全面には、冷たい笑みを浮かべているセアの姿。 その瞳には狂気が映り、もはや正気には思えなかった。 「さすがにこの姿のアレクタリス・・・神に近い力には天位階級にも敵わないみたいですわね」 クスクスと笑う。 空にはその姿が恐ろしくてしょうがなかった。 「っはぁ!!」 再びセアがアレクタリスを振る。 『ホーリー・ランス!!』 以外にもそれを受け止めたのは、後方から放たれた魔術だった。 しかも増幅魔方陣をかけているようで、さらに威力が上がっている。 しかし、それでもアレクタリスの衝撃波を相殺出来なかった。 どんっという音と共にロウの元へ衝突する。 が、それはロウの結界に防がれ、なんとか直撃を免れる。 「ミミちゃんっ!?」 後ろには、光子郎たちが立っている。 光子郎とミミはイマイチつらそうだが、それでもしっかりとセアを睨んでいた。 「セア・・・っ」 ミミが怒りと共に呟いた言葉も、セアはふっと嘲笑で流す。 「天使の天位階級者よ・・・」 すっとロウたちに並んだのは、トーラとカイン。 「お前ら天使を許したわけではない。・・・が、今はさっきの話を信じてやる・・・」 それだけ小さな声で言うと、さらにセアに近付いていく。 カインはロウに向かってふっと笑みを漏らした。 照れているんです。 そんな風な言葉を呟くような感じだった。 「セア」 トーラはセアを睨む。 「あらあらトーラ様にカイン様。あなた方で私に敵うとでも思っていますの?」 「ほざけ。剣に飲み込まれるような弱いヤツに負けるとでも思っているのか」 挑発しているようなトーラの言葉にセアの笑みが引っ込み、眉間に皺が寄った。 「お前のような堕天使の恥さらしはこのトーラとカインが葬り去ってやるわ!」 トーラが勢いよく大地を蹴る。 「ほざけっ」 セアは真正面から向かってくるトーラに向かってアレクタリスを構える。 と、トーラの姿が視界から消える。 「上かっ!?」 「残念」 確かにトーラは上に跳んでいた。 が、セアは見逃していた。 カインがトーラのすぐ後ろから来ていることを。 カインの手にはすでに詠唱を終えた魔術がある。 「ブラッディ・ハウリング・・・っ!?」 カインは魔術をセアにまともに当てた。 が、魔術はセアに当たる数センチ手前で何故か軌道を換え、放ったカインに還って来た。 「っ!カインっ!!」 トーラは一瞬そちらに意識を取られてしまう。 はっとした時には遅かった。 セアが剣の切っ先をこちらに向け、串刺しにしようとしているのだ。 だが、そこでトーラの視界は回転した。 「大丈夫ですか?」 地面に着地したと同時にふってきたのはタケルの声。 「おまえ・・・っ!?」 「今カイン様もヒカリちゃんが手当てしています」 タケルから視線を離し、カインの方を見てみると、丈とヒカリが傍に居た。 どうやら丈がセアの前からカインを連れ出し、ヒカリが手当てしているようだ。 しばらくすると、カインが目を覚まし、立ち上がった。 「大丈夫みたいですね」 トーラがホッとした時、タケルのそんな声が聞こえた。 それでトーラも助けられたことに気付く。 「誰が手を出せといった愚かものめっ!!」 トーラはタケルの手をはたき、ぎっと睨む。 しかし、トーラは逆にタケルに睨み返されてしまう。 「バカいってんじゃない。これはもう高位階級とか、そういう問題じゃない。 僕たちの、全てをかけた戦いなんだ。それくらいあなただってわかっているんだろ?」 力を過信しすぎるな。 タケルはトーラを抜いて前に立つ。 「カイン様、あんなふうになったのに、まだセアに攻撃しようとしたんですよ。 ・・・トーラ様からセアの攻撃を外すために」 ビクリとトーラの身体が強張る。 「何故あの方がそこまであなたを守るのかは知りません。・・・けど・・・」 タケルは振り返り、またトーラを睨む。 「もう少し、あの人の気持ちも考えてあげたらいかがですか?」 タケルはそれだけいい、駆け出した。 トーラはコブシを震わせてそれを見ている。 何も言い返せない自分が、ただ悔しかった。 「汝、星彩なる青と紫を身にまとうもの。 空より降りしは願いのカケラ。 我は呼ぶ。 汝等の強き力をここに呼ぶ。 全ての元素を呼び、ここに集わせ! 六亡星の一角を司るもの、汝の名・『MAXWELL』 ―マクスウェル― よ! メテオ・ソォーム!!」 ミミが唱えたのは元素の精霊・マクスウェルの属性の魔法だ。 『無』から力を呼び寄せ、それを具現するのがマクスウェル。 空から無数の星が降ってくる。 「集え!我が指差すものを・・・爆せ!(はせ)」 星は進路を換え、セアへと向かって行く。 しかしセアは意識を集中させるように目を瞑った。 「あれは・・・っ」 光子郎は脇腹を抑えながら驚愕に眼を見開く。 セアに・・・否、アレクタリスにどんどん精霊が収束していっているのである。 目に見えるくらいのソレは、あまりに綺麗で、あまりに畏怖するもの。 「行けよ精霊!行けよ力の覇者!!」 セアは力いっぱいアレクタリスをふる。 三日月を描いた軌跡は、星々と衝突し、相殺される。 「そ、んな・・・っ」 ミミは荒れる息をつきながら、自分の魔術がやぶられることに驚く。 今まで、一番自分の力が堕天使の中で強いと思っていたのが、破られた衝撃はすさまじい。 「いえ、ミミさん。あなたは運がよかった・・・」 「えっ!?」 ミミは光子郎の方を振り向く。 「さっきの・・・カインさんの魔術を跳ね返したあれ・・・。 あれは、僕たちの使う法術の、カウンタマジックというのに酷似しています。 もし、あれに跳ね返されていたら・・・」 ミミはコクっと喉を鳴らす。 「でも、出来なかったのは多分魔術があれに吸収しきれなかったんでしょう」 「じゃあもっと強力なのをやれば!」 ミミの提案に、光子郎は首を振る。 「なんで!?威力が大きかったら跳ね返されはしないんでしょ!?」 光子郎の服をつかむ手を外し、光子郎はその華奢な手を握り返す。 「・・・まだ戦うことにためらいのあるあなたに、全力の力で放てるとは思えません・・・」 ビクリとミミの身体が硬直する。 それから、ポロポロと音が聞こえてきそうなくらいに大きな涙が零れ落ちる。 「〜〜〜〜〜〜っ!!」 声にならない声を上げて、ミミは光子郎の胸に顔を埋める。 「あははははっ!!これでもう手は八方塞がりねぇ!?どうするの?どうするの??」 耳障りな声で、セアが笑う。 「さ、次はしっかりと始末して差し上げますわ」 セアは数歩空たちに迫る。 「サヨウナラ・・・」 セアがアレクタリスを振り上げる。 「光子郎くん!ヒカリちゃん!出来るだけ大きな結界を・・・」 「まって!」 ヒカリが空の言葉を制する。 「・・・アレクタリスの様子がおかしい・・・」 そう。アレクタリスからなにか、モヤのようなものが出ているのだ。 それはだんだんとセアを包んでいく。 「何っ!?なんなのよコレ!?」 セアはそれを振り払おうとするが、まったくモヤのようなものは晴れようとはしない。 それどころかどんどんと濃くなっていく。 「・・・アレクタリスが力を欲しているのだ・・・っ」 ロウが苦しげに呟く。 「早く!アレクタリスを離さぬか!飲み込まれてしまうぞ!!」 「イヤよ・・・そういってアレクタリスを奪うんでしょ・・・これはアタシのものなんだからぁぁああー―――っっ!!!」 セアはドンドン姿をモヤに飲み込まれてしまう。 そして、空たちからはその姿が完全に見えなくなってしまった・・・。 コメント ひ、久々の更新・・・(ガクリ) ホントにいつになったら終わるんでしょ(泣) そして読み返してみると矛盾点がちらほら・・・(苦) |