flying 4

「このように、法力は精霊たちとの密接な関係を持っております。
精霊たちの力と神の加護を持ち合わせて発動するもの。それが法力です」
法指導の授業。太一はこれが一番好きだった。
法力を強くすれば高位階級になれる。
高位階級以上は神殿での勤めがあるので、ヒカリにも会えるのだ。
自由は失ってしまうが・・・ヒカリとのコトを思えば安いものだ。
ヒカリは、ずっとあの中で『勤めて』いるのだから。
「精霊たちは六亡星の中で、聖三角形の中で、火、地、光を表し、逆三角形の中で、水、風、闇を表しています。
また、それぞれ対極に位置するところに、自分の属性と反対の属性、例えば火なら対極の水を位置します。
周りを囲む円は無を表しており、この世界の成り立ちが、この魔方陣の中に縮小されております。
しかし、これは四大元素精霊と、すべての大元、光と闇と無との構成図なので、もちろん他の精霊たちもいます。一般的とされているのは・・・」
先生の説明の途中で終了のベルが鳴る。
「・・・じゃあ、今日はこれまで。
みんな、予習復習しっかりしとけよ〜」
は〜い、と生徒は返事をして、先生が出ていくのを見送ると、帰り支度を始めた。
太一も例に漏れず支度をしていると、ドア側のクラスメイトに呼ばれた。
「なにー?」
「お客さーん。ほら、あそこだ」
生徒は訪問者に太一の場所を教えると、一礼してから太一に向き直った。
「よ〜光子郎!どした〜?」
「今日はなんにもないので、一緒に帰ろうと思いまして・・・」
「光子郎が!?めっずらし〜こともあるもんだ・・・。雪でも降るんじゃねぇ?」
「太一さん・・・それは失礼というものです・・・」
光子郎は苦笑しながら太一を睨む真似をした。
光子郎はもっとも高位階級に近いとされている、太一の年の一つ下の少年だ。
光子郎は、薄い紫色の翼を持ち、『知りたがる』ことで有名で、もっぱら図書館か自室にこもっている。
「あら。光子郎くん」
「あ、空さん。どうもこんにちは」
光子郎はペコリと空にお辞儀を返す。
「一緒に帰るの?私も一緒に行ってもいいかしら?」
「オレは別にいいぜ?」
「僕も全然かまいませんよ」
「じゃ、入れてもらうわ」
太一と空は急いで支度を終らせて、光子郎の元へと駆け寄った。
「なぁ。二人ともこの後暇か?」
「ええ。僕は今日はゆっくりしようと思って・・・」
「私も暇よ。お母さんいないし」
「じゃあさ、じゃあさ!法指導手伝ってくれない!?」
太一は二人の目の前に来て、両手を合わせて頼み込む。
「それはいいけど、太一・・・。たまには他の勉強もしなさいよ」
この前の成績、法指導以外全然ダメじゃない・・・。
空のジト目に太一はあはははは〜っと乾いた笑みを浮かべ、それでも頼む!と頭を下げる。
「しょうがないわね〜・・・。いいわ!付き合ってあげる!」
「マジで!?」
「その代わり、なんかおごってよね・・・?」
空のニッコリとした笑顔の中に、断ったらどうなるかわからない恐怖を見つけ、太一は渋々頷いた。

「精霊たちにはそれぞれ長がいて、その長たちを『大精霊』と言います。
精霊を使うにはそれぞれある程度決められた法則と規則と契約に基づいて用いれば、何事も無しに法力は発動します。
しかし、大精霊の力を不用意に力の無いものが使うと、逆に力を吸い取られて、下手をすると命まで取られる心配があります。
だから、僕たちのようなまだ不安定な力を持つものたちは、精霊たちの力を使いながら、この法則を守っております」
「うんうん」
光子郎の説明に太一は真剣に聞き入る。
「じゃあ太一、大元になる精霊たちの名前をあげてみて」
空は問うと同時に、六亡星の描かれた紙を太一に手渡した。
位置も一緒に言って見ろと言っているのだ。
まず太一は一番頂点のトコを指差す。
「ここが、光の精霊・『REM』 ―レム― で、対極が闇の精霊・『SHADOW』 ―シャドウ― 
レムの左の角が風の精霊・『SYLPH』 ―シルフ― 対極が地の精霊・『GNOME』 ―ノーム― 
で、右の角が水の精霊・『UNDINE』 ―ウンディーネ― 対極が火の精霊・『EFREET』 ―イフリート― 
円が無・・・元素とも言うんだろ?の、精霊の『MAXWELL』 ―マクスウェル― だろ?」
太一が自慢気にどーだと胸を張る。
「正解です。・・・では、太一さん。
この六亡星・・・円の外を支配しているのは?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
思わぬ光子郎の質問に太一は身を固まらせた。
「習ったでしょ?」
空にも追い討ちをかけられる。
太一はうんうん悩んだが全然思いつかない。
「・・・・・・お願いします・・・教えてください・・・」
遂に降参。
光子郎はクスリと苦笑してから、ペンで円の外側に斜線を引いていった。
「円の内側はそれぞれマクスウェルの支配化・・・『元』のある・・・つまりは形のあるものたちがそれぞれ司っています。
円の外側は形の無いもの。
それでいてこの世界に必須しているもの。
すなわち、『時』が支配をしています」
「時の精霊・『SEKUNDES』 ―ゼクンドゥス― これが円の外側の精霊よ」
『カタチ』のあるマクスウェルと、『カタチ』のないゼクンドゥス。
この二つは光と闇のさらに上を行く精霊たちで、大精霊はおろか、普通の精霊でさえ操るのに難しいものたちだ。
特にゼクンドゥスは非常に気まぐれな性格で、滅多にその姿を見せず、自分の好む世界に閉じこもっている。
もともと精霊とは、干渉を嫌うものたちなのだ。
「精霊たちと僕たちの言葉はまったく異なります」
「魔法文字(ルーン)っていうんだろ!?」
太一が名誉挽回とばかりに声を張り上げて言う。
光子郎は笑いながら、
「そうです。僕たちの持つ『力』をルーンに換え、その力を持って精霊たちと交渉をするのです。
まぁ言ってしまえば、ギブ&テイクってやつですね」
「私たちの持つ力は、精霊たちにとって食べ物のようなものだからね。
精霊たちに頼みこむとに見合う力を差し出せば、向こうも協力してくれるってワケ」
光子郎と空が順々に言っていく。
「だ〜っ!も〜わっかんね〜!」
太一は根を上げて、ゴロンと寝転がった。
空と光子郎は目を見合わせて、笑う。
「じゃあ、諦める?」
「・・・んなわけねーだろ?」
太一はよっこいしょと、腹筋を使って起き上がった。
「オレは、高位階級になってやるんだから・・・!」
もちろん、空も光子郎も冗談で言ったのだ。
両方、太一の理由を知っているから協力しているのだし。
同じ学校の中に高位階級を狙っているのもはいくらでもいる。
しかし、どれも不純な理由ばかりだ。
高位階級になれば一生それなりに安定した暮らしが得られる。
金も、土地も、力も。
高位階級と最低階級とはそれほどの差があるし、簡単になれるものではないのだ。
それでも、太一は目指す。
権力もいらない。
金もいらない。
妹と、今まで過ごせなかった時間を過ごしたいのだ。
そして、護れるだけの力が欲しいのだ。
そういう理由を知っているからこそ、空も光子郎も協力を惜しまない。
「じゃ、次に行くわよ〜!」
「おう!ドンドン来い!」
太一の気合の入った声と、空の怒鳴り声と光子郎の説明は、日が暮れるまで続いたと言う・・・。



☆NEXT☆


コメント

空と光子郎の魔法講座☆(笑)
何度も言いますが、これは私の世界と考えなんで間に受けちゃだめですよ〜・・・(死)