flying 34

サーナが翔けていると、下・・・地面の方から炎の衝撃波が飛んで来た。
「・・・っく!」
間一髪、サーナはアレクタリスで炎を弾き飛ばした。
ドンッ!!!という重たい衝撃波の後、トーラとカインが続いてサーナに向かってきた。
「ブリザード!!」
キン!と硬質のものがぶつかり合う音の後、サーナは吹雪に包まれた。
術を放ちあった後、トーラは後退して様子を見る。
寒々しい空気の中から、サーナはアレクタリスを一振りし、冷気を振り払った。
「・・・ほう。やるではないか」
アレクタリスは、紅い輝きを放ちながら、ヒタリとトーラたちに向かれていた。
・・・炎属性の剣か。
そう思い、トーラは今度は火属性魔術を唱え始める。
「させるか!」
サーナはトーラに一直線に向かっていく。
ッギィインッ!!
その剣を受け止めたのは、他でもない、カインだった。
「―――おのれっ!!」
カインの武器は双短剣。
ひとつを避けても、もうひとつの剣がサーナに向かってくる。
キン!キィン!と金属同士がぶつかる。
「汝、華麗なる赤を身にまとうもの。
全ての世界を吹き飛ばす力を持つもの。
汝、紅蓮の盛りよ。
我に汝の力を授けたまえ!!
六亡星の一角を司るもの、汝の名・『EFREET』 ―イフリート― よ!
エクスプロ―ド!!」
放たれた瞬間、カインがサーナから飛び退く。
サーナの周りの空気が、サーナ自身に集中していく。
途端、一気にそれがはじける!
ものすごい爆音と熱風が、辺りを包む。
「・・・フン。雑魚め」
煙を見つめ、トーラは冷笑を浮かべた。
後ろを向きかけた、瞬間。
「誰が、雑魚だって・・・」
首筋にヒヤリとするものがあたる。
アレクタリスだ。
キィン!
すかさずカインがフォローに入る。
「トーラ。平気?」
「・・・ああ・・・っ」
冷や汗を額に浮かべ、トーラは荒く息をつく。
―――バカな。炎属性の武器でアレを受け止めれるとは到底考えられない。
かと言ってあの至近距離、しかも堕天使領土で法術が使えるはずが無い。
何故!?そう考えていると、サーナが勝ち誇ったようにアレクタリスをトーラたちに見せる。
「――――!?馬鹿なっ!!!」
あまりの衝撃にトーラは愕然と声を出してしまう。
「・・・トーラ。あの武器の属性・・・氷・・・?」
そう。あれほど綺麗な紅色の刀身をしていたアレクタリスは、冷たい蒼色の輝きを放っているのだ。
属性変化の特性を持つ剣。
それが精王剣アレクタリス。
「アレク、タリスか・・・!」
苦虫を潰したような表情で、トーラは搾り出すように言った。
「アレクタリス・・・?あの、精王剣の・・・?なんでそれをあいつなんかが・・・」
トーラをかばうように、カインがサーナの前に立つ。
「知らぬ。しかしアレのある限りこちらの攻撃はとことん返されてしまうだろう・・・」
「・・・引く・・・?」
「ならぬ。それはあいつを否神殿へと導いてしまう・・・!」
「でも、じゃあどうするの?」
トーラは迷ってから、カインの前に出た。
「・・・トーラ?」
「カイン。お前が否神殿へ戻り、この事態を報告し、新たなる階級たちを要請してこい」
「出来ない」
すぐに、カインは否定する。
「・・・カイン・・・」
トーラはカインを睨む。
「僕はトーラから離れない。僕は、キミを守る」
トーラはその言葉に傷ついたような表情になる。
「・・・馬鹿者。時と場合を考えろ。今はそんなこと言ってる場合ではない」
「・・・トーラ」
カインの呼び声に、トーラは機敏に反応する。
「キミにとっては、『そんなこと』かもしれないけど、僕にとっては、何よりも大切なことなんだ。・・・それが、否神殿を裏切ることになっても」
トーラは、それから言葉が出せなかった。
ようやく身体が動くようなったのは、風が幾筋も流れた後だった。
「カイン。行け。私のためを思うなら」
「トーラ・・・!」
「行けというておろう!行かぬか!!」
トーラはカインを叱咤すると、サーナに向かっていった。
取り残されたカインは、トーラの言いつけ通り、下・・・否神殿へと向かっていく。
「フン・・・敵わないとわかり、彼氏を逃がしたか?健気なことだ」
アレクタリスと、魔力で創りあげた剣がぶつかる。
「作戦と言ってもらおう。ただぶつかるだけが勇気ではないとのことだ」
魔力と法力のぶつかり合う音が、背を向けたカインに響き渡った。



☆NEXT☆


コメント

オリキャラだけの登場となってしまいました(苦)
次辺りから太一たちに活躍してもらいます!!