flying 33

「汝、厳選なる黄を身にまとうもの。
我らを生かし、未来を見守り行くものよ。
牙を剥き、我らが前の標的を捉えたまえ!
六亡星の一角を司るもの、汝の名・『GNOME』 ―ノーム― よ!
ロック・ブレイク!!」
ミミの放った魔術は、上空で発動してそのまま刺客を押しつぶすように落下していった。
「・・・ふう・・・」
「おつかれさま」
やっと終わると、丈が後ろから声をかけた。
「うん・・・」
振り返ったミミの声には元気が無い。
丈は眉を潜め、ミミをヤマトたちの元へと帰らせた。
あれから、すぐに刺客があわられた。
しかも、断続的に来るので、寝るに寝れない。
ミミも眠さと疲労で疲れきっている。
ミミは確かに天位階級だが、体力的にはそこら辺の女の子と大差ないのだ。
「迂闊だった。向こうは刺客をチームみたいに組ませてこっちを疲れさせる気なんだ」
く、と丈は視線を落とす。
「丈、お前のせいじゃない。これは、俺たちが決めた事だろ?」
ヤマトが励ますように言葉をかけると、丈は力なく笑った。
戦いは、もちろんミミにまかせきりでなく、ヤマトたちも戦っている。
体力はミミよりあるが、魔力は所詮最低階級。
向こうを倒すのに、思った以上に魔力を消費してしまっているのだ。
魔力と体力は密接な繋がりを持っている。
それゆえ、持続力と攻撃力が要求されるのだ。
今のところ、一番疲れていないのはヤマト。
魔力的に言うと、ミミ、丈、ヤマト、タケルの順で強く、
体力的に言うと、ヤマト、タケル、丈、ミミの順であるのだ。
ヤマトが、この中で一番バランスが良いため、疲れも最小限で済むのだ。
「今度は俺とタケルが行く。丈たちは移動をしていてくれ」
「移動って・・・大丈夫なのかい?」
「まかせろ。風を読むのが得意なのは丈も知ってるだろ?」
ヤマトが誇らしげに笑ったので、丈も頷いた。

スキダ。
何故、あのときにあんな言葉が出てきてしまったんだろう。
どうすれば伝えられるだろう。
そんなふうに悩んでいた『言葉』は思いの外、するりと口から出てきた。
心は、意外にも冷静だった。
『――――オレは・・・!』
その後、太一はなんて言ってくれるはずだったのだろう。
ボ〜ッと見張りをしていると、タケルがこちらに気付き、苦笑した。
「・・・お兄ちゃん」
タケルが声をかけると、ヤマトははっとしたようにタケルに向き直った。
「な、なんだ?タケル?」
「・・・太一さんって、いい人だよね」
唐突なその言葉に、ヤマトはタケルに心が見透かされたのかと思う。
タケルは、ニッコリと純粋な笑みを見せる。
「どんなことがあっても、僕たちは兄弟だから。
離れないから、大丈夫だよ」
それだけいうと、タケルはヤマトと反対の方向を向く。
「・・・・・・ああ・・・」
弟の何気ない優しさが、痛いくらいに心にしみた。

神は我々の心臓。
敬うべき存在。
唯一絶対の救いの尊(みこと)。
その神を侮辱することは、死への値。
「・・・お許しください、ロウ様。しかしこれは、私が神に与えられた使命なのです」
サーナは右手で十字をきる。
その左手には、精王剣アレクタリスがしっかりと握られていた。
呪文を唱え、サーナは『風の境目』を通り抜けていった。
・・・センソウノ、カイシ・・・・・・。

リン。
風が鳴ったことを、ヤマトとカインは敏感に察知した。
「・・・トーラ」
「わかった」
トーラとカインは、否神殿を飛びで、空へと地を蹴った。
「馬鹿め。口車に乗ってくるとは」
「トーラ。風が騒いでる。気をつけて」
「・・・わかっておる」
カインは風に敏感だが、風見師ではない。
理由は、失明。
昔、トーラを守るために視力を犠牲にしたのだ。
そのため、風見師にはなれないのだ。
「僕は大丈夫だよ。風が教えてくれるから」
「・・・・・・」
トーラは俯いている。
「・・・何があっても、僕が守るから」
その言葉を最後に、二人は無言になり、空を翔けていった。



☆NEXT☆


コメント

約一週間ぶりの更新☆
がむばってまいります☆