flying 28

ふう、と空が息を吐いて両手をプラプラと振る。
あまりに威力が大きくて、手が痺れてしまったのだ。
「空くん、大丈夫かい?」
丈が心配そうに空の手をとり、様子を見る。
いきなり取られた行動に、空は反応が遅れてから顔を紅らめた。
丈はそんな空の変化に気付くことなく、怪我が無いのを確かめると、よかったといってカインたちに向き直った。
トーラとカインは別に驚く様子も見せず、太一たちを見る・・・否、睨んでいた。
緊迫した空気の中、先に口を開いたのはトーラだった。
「戻れ」
静かな声。
しかし、その声は不思議なほど太一たちに大きく響いた。
ヤマトたちは目で合図をし、『風の境目』へと歩いていった。
「ヤマト!!」
その行動に、太一が思わず大声をあげる。
ヤマトは足をとめ、ゆっくりと太一の方を振り返った。
「大丈夫。また、戻ってくるから」
「ヤマト・・・」
「言霊。『信じる気持ちが力になる』んだろ?」
言霊。
太一が教えてくれた、祈りのような言葉。
「うん・・・。また・・・」
ヤマトは淡く微笑み、『風の境目』へと飛び込んでいく。
続くように、丈、タケル。
ミミはグズグズとシャックリをあげて泣いていたが、やがて光子郎の服を離し、『風の境目』へと飛び込んでいった。
あとには、残された太一たちが心配そうに様子を見守っていた。

『風の境目』を抜け、眼を開けると、すぐ傍にカインの姿があった。
言葉を発する直前、右方に衝撃が走った。
「・・・ぐっ・・・!!」
痛みに、思いっきり殴られたのだとわかる。
ヤマト!とやけに遠くから丈の声が聞こえた。
ミミが近くに駆け寄ってくれ、肩を貸してくれる。
トーラとカインの方を見ると、二人は相変わらず冷たい目でこちらを見ていた。
「お前らのやっていることは死刑に値する。
が、同時に向こうの手の内を知るものでもある。
お前らが天使領地侵略に手を貸すというなら罪を解いてやろう」
「な・・・っ!?」
天使領地侵略。
その言葉にヤマトたちは絶句する。
「天使領地侵略って・・・!なにを!?」
「その言葉の通りだ。我々は向こうの手の糸口を知った。
もちろんそれは向こうもだろう。しかし攻撃は防御に勝る。
力で押せば我らに勝機は見出せるだろう」
そこで初めてカインが笑う。
なんとも背筋に悪寒の走る笑みに、ヤマトの服をミミの震える手がぎゅっと握った。
「さぁ、言え!やつらの能力、法力の力の秘密を!!」
カインが4人に詰め寄ってくる。
「・・・くっ」
ヤマトのところに、丈とタケルも近寄ってきた。
「ヤマト・・・ここはいったん回避しよう。
いくらミミくんが居るとはいえ、高位階級の者を殺すのはヤバイ」
小さな声に、ヤマトはああ、と頷く。
タケルとミミも、うん。と頷く。
ヤマトはミミの手をゆっくりとどかし、トーラとカインを睨みつけた。
「悪いが俺たちは友達を裏切る気はさらさらない」
「・・・ほぉ・・・?」
2人の瞳がすぅっと細くなる。
「だが、はいそうですとあっさり殺されるほど俺たちだってバカじゃない」
その間に丈がなにやらブツブツと唱える。
それを見たトーラたちも攻撃態勢をとる。
「それは私たちと殺りあうということか?」
「まさか」
嘲笑するようにヤマトが微笑む。
「逃げるんだよ!」
「ファイアー・ボール!!」
ヤマトと丈の声が重なる。
「バカが!そんな低級魔法が私たちに通じるはずが・・・!」
「イラプション!!」
その後ろからさらに魔法が重なる。
「なに!?」
その後ろから、ミミが詠唱なしのイラプションを唱えたのだ。
すぐ傍に火炎がせまる。
「・・・っ!メイルストローム!!」
トーラが水魔法を唱える。
その後ろで、詠唱ありの魔法をカインがすばやく唱え、さらに迫り来る炎を消した。
蒸気が去っていった後。
そこにはヤマトたちの姿は無かった。
「くそっ」
カインが思わずグチをこぼす。
「いいさ。口を割らないことはこっちも予想済みさ」
トーラが湿気を吸った髪を撫でながら、ついさっきまでヤマトたちがいた場所をにらんでいる。
「ジア様がおっしゃられていたように、天使領土侵略は予定通り進行だ」
「あのものたちはいかがなされますか?」
「刺客を放て。いくら天位階級であろうとも、疲労に身体はついていかん。
じわじわといたぶり、追い詰めながら殺してゆけ」
「はっ」
ばさっと強い風が吹く。
トーラの頬に、冷たい笑みが刻まれる。
「さぁ、ゲームの時間だ」



☆NEXT☆


コメント

お久しぶりの更新です・・・(汗)
またなんかいろいろオリキャラたちが・・・!(滝汗)