flying 22

精霊たちの気配の違い。
それに気付いたのは、もちろん天使たちだけではなかった。
「最近、風に我等の精霊たちではない気配を感ずる」
深々と黒いフードを被った男が、低い声で呟く。
「清浄なる聖の気配だ」
「そういえば・・・最近よくミミ様が外にお出かけになられますわ・・・」
ソプラノの綺麗な声で、女が男に話す。
「・・・天使側の気ですね・・・」
顔になにやらタトゥーのようなものを入れたもう一人の女性も話しに加わる。
「・・・・・・」
「いかがいたしますか?」
「そうね。ほおっておくわけにはいかないわ」
ふむ・・・と老いた男が頷く。
「トーラ、カインよ」
『はっ』
「お前らで調査を開始せよ。ミミ様にも影で監視をつけ」
『はっ!』
トーラと呼ばれた先程のタトゥーを入れた女性と、カインと呼ばれた青年は、その場に居る高位階級たちから姿を消し、命じられた場に着いた。

一方、丈、ヤマトサイド。
二人は、前に採取したミミを襲った男の血を調べていた。
最近なにやらゴタゴタして調べることが出来なかったのだ。
「丈。どうだった?」
研究室から出てきた丈に、ヤマトは話し掛ける。
「うん・・・。やっぱり高位階級者が関係しているね」
調べ方・・・それは、『血』を調べること。
大抵暗殺者たちを雇う場合、『血の契約』を行う。
『血の契約』とは、暗殺者の中に自らの魔力を血を通して送り、裏切ったりしないようにするものである。
内容などはそれぞれ報酬、内容などに違うが、大抵は『裏切ると殺す』や『自分のことを知られそうになったら殺す』などのようなものだ。
リスクは確かに高いが、一回仕事が成功すると、半年は遊んで暮らせる莫大な金が入る。
丈は、白い紙に血を一滴乗せ、そこに自らが作った特殊な液を落とし、魔力の色を浮き出させる。
魔力にも法力にも、指紋や網膜のように、自分しか持たない色をもっている。
これを特定するのは難しいが、丈は独自で研究をかさね、判別に成功したのだ。
「結構強い魔力だからね・・・。あとはミミくんに頼んで高位階級たちの羽の色を調べてもらおう」
「まったく・・・バカなやつらだな・・・」
「ホントにね。来るなら最低10人で来ないとミミくんに勝てるわけないじゃないか」
ハハハ、と丈が笑う。
ヤマトは難しそうに指を口に当てる。
「どうしたんだい?」
いつもとちょっと違うヤマトの様子に、丈は首をかしげる。
「・・・風が乱れた・・・」
ヤマトは風で地を読む。
訓練を受けた風見師でも直接肌に風を感じないで風を読むのは難しい。
「・・・また暗殺者かい・・・?」
丈の顔から笑顔が消える。
「いや、そういう気配じゃない。なんというか・・・」
「うん」
「・・・・・・誰かにつく、って感じの、密着したのだ」
「・・・・・・」
二人が考え込んでいたそのとき、こーんにちーはー!という元気なミミの声が聞こえてきた。
「おやおや、お姫様のご来場だ」
丈は苦笑を漏らし、玄関へと歩いていった。
ヤマトは、まだ考えていたが、再び変わった穏やかな風に、あ、と自分も玄関へと少し早めに歩いた。
そこには、ミミと一緒に太一も居た。
「さっきそこで会ったのーv」
えへへ〜とミミは嬉しげに太一の顔を見る。
「・・・よ・・・」
ヤマトは太一に軽い挨拶をする。
太一も、おう!と元気よく返す。
その笑顔を見た途端、ヤマトの顔が少し紅くなった。
鼓動が、早くなる。
「?どした、ヤマト?」
いきなり視線を逸らされ、太一はキョトンとする。
「いや・・・なんでもない・・・」
ヤマトは、消えないのはわかっているが、ゴシゴシと頬を袖で擦った。
「あはは〜ヤマトさん変〜v」
グサっとくるミミの一言に、ヤマトはハハハ・・・と乾いた笑みを浮かべた。
そう、ヤマトは気付けなかった。
太一の持ってきた『聖』の気を放つ風に紛らわされ、先程感じた『妙な気配』に。
遠くの樹の陰から、こちらをじっと見る二人組に・・・。



☆NEXT☆


コメント

どんどん出てくるオリキャラたち・・・。
いつか絶対イラスト載せたいなぁ・・・(切実)
さて、ヤマトくんがだんだん気持ちに気付いてきました。
そろそろタケヒカも載せたいなぁ・・・(そればっか)