flying 21

高位階級・・・しかも天使領地のものたちは、規則を重々に重んじるばかりに、必要以上に契約に敏感なものがいる。
「最近・・・精霊たちが騒いでいる・・・」
「ああ・・・荒い精霊たちだ」
「これは・・・『魔』の性質の精霊たちですわね」
高位階級たちの集会。
なかでも、天位階級に近いとされている、積年のものたちの集会だ。
「・・・こちら(天使領地)の精霊たちではないな・・・」
「まさか・・・神に反発するものが天使に・・・!?」
「いや、それはあるまい。それは自らの生命にかかわること」
天使は、神に祈りを捧げることで自らを保つ。
ので、神に反するということは自らを否定すると言うことなのだ。
「だとすると・・・向こうとこちらを行き来するものがいるということか・・・」
「いや、堕天使のやつらに脅されているのやもしれん」
「いずれにしても、調べる必要は十分ありますね・・・」
「そうだな・・・。風見師を呼び、精霊たちの元を調べよ」
『はっ!』
全員が起立し、会議は終了した。

サーナは高位階級の風見師だ。
秩序を重んじ、神の指令を第一に考える典型的な信者だ。
風見師とは、精霊の流れを図るもの。
天性の精霊への敏感さと、熟練した『読み』を駆使し、精霊を見るもの。
ちなみにヤマトもかなり精霊には敏感だ。
水球とよばれる宝珠を媒介に、精霊の根本をたどる。
気の流れを見、中心を探る。
「こちらか・・・」
わずかに若葉色の残る翼を広げ、空を翔ける。

サーナがたどり着いたトコロ。
それは空の頂上。浮石のあるところだった。
「やはりここからか・・・」
堕天使領地との境目はここのみ。
サーナは髪をかきあげ、さらに位置を特定する。
と、境目が波紋に揺れる。
「!?」
サーナは驚き、近くの浮石の身を潜める。
『風の境目』から出てきた者。
もちろん、太一である。
しかしサーナは太一の名を知らない。
ので、水と風の合成法術で水鏡を作り、そこに太一の顔を記録させる。
太一はレジストを解き、少し『風の境目』を見てから、家へと帰っていった。
サーナは水鏡を戻し、神殿へと帰っていった。

「・・・この者が、『風の境目』より出てきました」
太一を映した水鏡を高位階級たちに見せる。
「このものは・・・」
「確か・・・太一・・・とかいったかの・・・」
「知っておいでですか?」
「ああ・・・確かヒカリの家族のものだ」
ヒカリは高位階級の中でも一目置かれている。
幼いながらものすごい法力を秘めているからだ。
「しかし・・・何故このものがあちら側に・・・」
「さてな・・・。私も前に一度会ったことがあるがいい少年だったぞ」
た一人の高位階級者がたっぷりとした白髭を撫で、フードの下で懐かしむ。
「だとすると・・・やはり脅されて・・・」
「その可能性が高いですわね・・・」
ふむ・・・と重苦しい沈黙が落ちる。
「どちらにしろ、衝突は避けられまい」
内通者にせよ、脅迫にせよ、契約を犯してしまった。
それは、向こうとこちらの力関係の崩れに繋がる。
「・・・どうしますか・・・?」
金髪の気品漂う女性が、指示を待つ。
「良い機会じゃ。堕天使たちと会ってみようではないか」
賛否両方のため息が漏れる。
「このものはいかがいたしますか?」
サーナは水鏡を消し、高位階級たちに問う。
「今はまだいい。それに、こちらの情報も漏れているだろうが、向こうのことも知っておるだろうしな」
「最終手段、というわけですか」
「そうなるかの・・・」
ふふ・・・と口の中で笑い、年長の高位階級者はその場から去った。
しかし、納得の行かないのはサーナ。
(このものが内通者に決まっている・・・。
あの、帰ってきたときの寂しそうな満たされたような表情。
脅迫に会っているものがあんな表情をするものか・・・)
サーナは、一例し部屋を出ると、ヒカリの部屋へと向かう。
コンコン。
ノックをしてしばらくすると、ヒカリがドアの向こうから顔を出した。
「サーナさん・・・どうしましたか?」
ヒカリはまだ未熟。こんな風に会うことは実は高位階級者同士でもあまりない。
「ヒカリ、お前に『太一』という家族はおるか?」
サーナの口から自らの兄の名が出て、ヒカリは一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに兄を自慢したがる妹の顔になった。
「はい。私の兄です。・・・でも・・・何故ですか?」
ヒカリは突如した兄の名に首を傾げる。
サーナはヒカリに少しきつめの視線を送り、なんでもない、と言ってヒカリの前から姿を消した。
ドアを静かに閉めたヒカリ。
「・・・おにいちゃん・・・?」
『嫌な予感』がする。
ヒカリは床に膝をつき、神に祈りを捧げた。
「・・・・・・神さま・・・」



☆NEXT☆


コメント

オリキャラパート2・・・。
ホントにマイ設定になってきたなぁ・・・(今更)
後に彼女がとんでも無いことやらかしてくれます。