flying 20

マントで全身を隠し、太一は堕天使領地へと降り立った。
「ヤマトたち、元気かな〜?」
うきうきとしながら、当然のように太一は丈の家へと歩を進めた。
しばらく行っていなかった友達の家。
「ちわー!!じょー?ヤーマトー?居るか〜?」
丈の家は基本的に鍵がかかっていない。
丈曰く、自分はすぐに鍵を無くしてしまうかららしい。
まぁ丈の家には古臭い書物と、生活に最低必要なものしかないので、物取りも入ってもイミがないのだが・・・。
「・・・太一・・・?」
階段を上った部屋から小さな丈の声が聞こえた。
話し声もするところをみると、どうやらヤマトも一緒らしい。
そんなに会わなかったワケではない。
でも、なんだろ・・・『ヤマト』と、会えると思うとすごく嬉しい。
太一は浮かれた気分で階段を上る。
「やっまと〜?じょ〜?」
きぃ、とドアが擦れて悲鳴をあげる。
中には、予想通りヤマトと丈。それから、ミミも居た。
「ちわ☆ひっさしぶり〜♪」
太一は部屋の中に入る。
だが、いつもは喜んでくれるはずのミミもぷぅっと頬を膨らませて怒っているような感じで、みんなの顔色も浮かない。
「・・・?どうしたんだ・・・?」
もしかして、自分は来てはいけなかったのだろうか?
「原因は僕だよ、太一さん♪」
ドアの裏、要するに太一の後ろから、ヤマトと同じ色の髪・・・いや、金がちょっとくすんだ色の髪をした少年がいた。
「!?」
気配に気付きもしなかった。
少年は、ニコッと人懐っこい笑顔を見せた。
「こんにちは、はじめまして!『太一』さん♪」
「あ・・・れ・・・?オレ、お前に会ったことあるっけ?」
確か自分はあったことは無い。
結構自分は顔は覚えているほうだし、こんなにヤマトにそっくりなら尚更だ。
「ううん。無いよ」
『タケル』も笑顔で否定する。
太一の頭がハテナマークで埋まる頃、ヤマトが助け舟をだした。
「太一、こいつは俺の弟だ・・・」
ちょっと会わなかっただけなのになんかずいぶんヤマトが焦燥してる気がする。
「そっか〜。だからか〜」
タケルと目が合うと、またニッコリと笑った。
太一がつられて笑うと、今度はタケルが口を開いた。
「質問1。太一さんはなんでここにいるの?」
いきなりの質問に太一は間抜けな声で、は?っと言ってしまった。
「質問1。太一さんはなんでここにいるの?」
また、タケルが同じ質問を繰り返す。
ヤマトたちの方を見ると、さりげに目をそらされてしまった。
助け舟を出してやれない、とのことだろう。
しかたなく、太一は自分の考えを出す。
「えっと・・・ヤマトたちに会いに来たから・・・」
「質問2。契約を知っていますか?」
間髪をおかず、タケルが質問する。
「お、おう」
「質問3。知っていて、何故ここにいるのですか?」
太一の顔が、きょとんとなる。
「何故って・・・ヤマトに会いに来たから」
タケルはちょっとドモったが、また、質問を開始する。
「質問4。契約に反したものは『死』または『疎外』をうけることになるのを、知っていますか?」
「?ああ。だから、知ってるって」
堂々巡りの言い合いに、さすがにタケルの表情が崩れてきた。
「太一・・・さん?」
「おう」
「僕の質問の意味、わかってますか?」
「だから、なんでここにいるか、だろ?」
「・・・半分ハズレです。正確には、ここに居たらどうなるかわかりますか、と聞きたいのです」
タケルの質問に、太一はまたキョトンとなる。
「・・・お前が言ってたじゃねーか。死、またはただのモノなっちまうんだろ?」
違うか?とタケルに聞きなおす。
「・・・質問5。僕がもし高位階級たちに言ったら、あなたはどうなりますか?」
「タケル!」
あんまりな言い方に、思わずヤマトが割ってはいる。
「兄さん」
しかし、なにか弱みを握られているのか、タケルのその一言でヤマトは黙ってしまった。
「さぁ、もしそうなったら、あなたはどうしますか?」
タケルがさっきまでの笑みを引っ込めて、真面目な顔で太一に聞く。
しかし、当の太一はキョトンとした顔でタケルを見ている。
「何でそんなこと聞くんだ?」
「いいから、答えてみてください」
「・・・ってゆーかさ、オレがどう答えようと、お前オレを引き渡すような真似しないだろ?」
太一がきっぱりと、言い放つ。
それに絶句したのは、太一以外のそこに居た人たち。特に、タケルだった。
「な・・・んでそんな風に言えるんですか?」
タケルが至極もっともなことを聞くと、太一はンーと考えた。
「タケルってさ、ヤマトに似てんだよ。隠し事が出来ないってワケじゃないんだけど、顔に出る。
ヤマトの場合は分かりやすいな♪タケルは・・・『造った笑顔』になるだろ?」
ニッコリと笑顔で言われた太一の言葉に、絶句。
一番驚いたのは、タケル。
一回。一回会っただけ。
しかも、ホンノ一時。
それだけで、他人の表情の変化を見、確信へと変えてしまう。
「だからー言ったでしょータケルくん!太一さんはぜぇー――ったい!!悪い人じゃないってぇっ!」
ミミがバンバンと机を叩きながらタケルに抗議する。
太一はまだ知らないが、ミミが天使領地へと行った事はタケルにはもうバレていて、太一にあって、こうして質問攻めしてもなんにも言わないという条件で、高位階級たちに黙っているのだ。
タケルも、ふぅ・・・とため息を吐く。
「・・・どうやら、そうみたいですね・・・」
ミミがまだ後ろの方でブゥブゥ言っている。
「では、最後の質問」
「おう!」
「太一さんは、こっち側に来て見て、お兄ちゃんたちと出会って、どう思いましたか?」
今までとは違う感じの質問に、太一はまたニカー☆とした笑顔になった。
「堕天使領地も天使領地も、精霊の性質が違うってだけでなんにも変わらない。
もちろん、ヤマトたちも。
オレは、こっち側も、好きだぜ」
裏の無い、本当の言葉。
タケルは、作り笑いを止めて、苦笑じみた顔を浮かべた。
「僕はタケル。さっきもいったけど、お兄ちゃん・・・ヤマトの弟だよ。
・・・・・・・・・太一さん」
「なんだ?」
「改めて、こちら側へようこそ。僕もあなたを歓迎します」
タケルの本心からの言葉と太一はわかると、今日一番の笑顔を見せた。
「こっちこそ!よろしくな!」



☆NEXT☆


コメント

なんだろ・・・タケ太風味に・・・!
多分次かその次あたりから急展開予想してます。