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flying 2 堕ちた天使。それが堕天使だ。 神にも属さず、魔にも属さず、どこにもよりどころを作れない漆黒の天使。 仮にも天使の分際で、『魔』力を操り、血肉を見るのを楽しむ破壊の天使。 ・・・確か、教科書にはそんな風に書かれていた。 あんまりにもドコソコに書かれていたので、さすがの太一も覚えてしまったのだ。 「『堕ちた天使』、ねぇ・・・」 太一は翼をはためかせ、どんどん上昇していく。 少し急ぎすぎたのか、耳鳴りを起こしてしまう。 それを乗り越して、太一はさらに上昇して、やっと『風の境目』を見つけた。 はぁ、と息を整えてから、太一は一気に飛びあがった。 「――――――!?」 途端、天地が逆転したような感覚に襲われて、身体がバランスを失う。 「やばっ・・・!」 いきなりの自分の不覚を呪うが、そんなのもう役には立たない。 昨日の、高い音や低い音の不可思議な風が太一に絡みつく。 「そうだ!法力・・・!」 太一は精神を集中させると、胸元に十字と六亡星を描く。 「我、神の名の元に汝を操るもの。 汝、風を司るもの、 『SYLPH』 ―シルフ― よ・・・。 我に変幻自在の風の纏(まとい)を与えたまえ・・・。 ―――――――――エアリアル!」 太一の周りに薄い緑色の障壁が生まれる。 ・・・が、次の瞬間、ガラスが割れるような澄んだ音と共に、太一の気付いた障壁が崩された。 「――――っ!!」 混乱した頭には、次にどうしたらいいかなんて思いつかない。 太一はグルグルと回りながらだんだんと意識を失っていった・・・・・・。 「ヤマト!」 後ろから聞き慣れた声を耳にして、ヤマトは歩みを止めた。 「丈・・・」 「やぁ、ヤマト。今日はもう帰りかい?」 「ああ。今日はタケルのトコに寄ってくから」 ヤマトに丈・・・彼らは堕天使だ。 ヤマトは濃紺の翼に、丈は濃い灰色の翼を持っている。 「そっか〜・・・久々に会えるんだね・・・」 「ああ。向こうとうまく暇が重なんなくてさ・・・楽しみだよ」 「そっか。じゃあ僕はこれで失礼しようかな」 「今日もまた図書館に行くのか?」 「ああ。面白い本を見つけてね・・・解析に夢中でさ・・・」 「俺にはよくわからんが・・・まぁがんばってくれ」 「ありがと。じゃあ」 「ああ。またな」 丈はそのまま走って行ってしまった。 ヤマトはそれを見送ってから、自分も目的の場所へと向かう。 「・・・ん?なんだろ・・・・・・」 いつもと風の流れが違う。 いつもみたいな舞い踊るような風じゃなくて、なにか異質なものを拒むような風。 ヤマトは気を集中させて場所を風に聞く。 「・・・こっちだ・・・」 ヤマトは翼を広げて飛び立った。 「・・・ずいぶん遠くまで来たけど・・・」 特に変わったものは見られない。 だが、風は相変わらず荒れていて・・・。 ヤマトは周囲に目を配らせる。 と、空から『なにか』がすごい速さで飛んで・・・いや、落ちて来る。 「――――!?」 ヤマトは地を蹴って『ソレ』に向かって飛ぶ。 ――――ドンッ! 「・・・ったたたたた・・・・・・」 なんとか『ソレ』に追いつたが、勢い余って岩に衝突してしまった。 ヤマトはなんとか『ソレ』を庇ったが、自分が痛い目を見る事になってしまった。 なんとか痛みが引いて、自分の抱えているものを見る・・・。 「・・・・・・・・・」 ヤマトは唖然とした。 『ソレ』は絶対この領域にはいないもの。 自分たち堕天使の対極に位置する種族。 自分たちとは、正反対の翼の色をもつもの。 すなわち、天使・・・。 ヤマトは静かに混乱した。 ―――なんで天使がこんなとこに!? しかし、あまりの驚きに動けず、硬直してしまい、自分の助けた天使を凝視してしまう。 「・・・ん・・・」 ヤマトが固まっていると、天使・・・太一が目を覚ました。 「!?」 ヤマトはまた驚くが、どうする事も出来ずにそのまま固まったままだった。 「・・・・・・あれ・・・?」 周囲の様子の違う事に太一はキョロキョロと周りをみる。 ふと、上を見上げると、ヤマトと目が合った。 ・・・二人の間に、沈黙がおちる。 「・・・え〜〜〜っと・・・・・・」 太一は自分の置かれている状況を把握しようと考える。 そうだ。『風の境目』に乗りこんで、法力使おうとしたらなんか知らないけど壊されちゃって・・・。 で、落ちてきたんだ・・・。 ・・・・・・・・・・・・と、言う事は・・・。 「・・・なぁ・・・」 「あ!?・・・ああ・・・」 突然話しかけられ、ヤマトは驚きながら相手に耳を傾ける。 「ここってもしかして・・・堕天使の領地・・・?」 「・・・ああ・・・」 ・・・また、沈黙・・・。 「・・・え〜〜〜っと、助けてくれてサンキュ! ・・・・・・じゃあオレはこれで・・・」 「あ、ああ・・・。気をつけて・・・」 太一はにっこりと笑顔を浮かべて何事も無かったかのように飛び立とうとする。 「―――って、ちょっと待て!!」 ヤマトは流されそうになったが、太一が飛び立とうとする前に腕を掴んだ。 「お前天使だろ!?その羽・・・!なんで天使がこっちにいるんだよ!?」 「え〜〜〜っと、それがちょ〜〜っと手違いが起こっちゃって・・・」 テヘ☆っと太一はあくまでぶりっ子をするが、ヤマトはそんな事かまってる余裕もないくらい混乱して、怒っていた。 「手違いって・・・お前、わかってんのか!?これはりっぱな領地侵害だ。 契約に違反しているんだぞ!?」 契約・・・それは、天使と堕天使が分けた、この地の契約。 互いに互いの領地を侵した。 これは重犯罪に分けられており、謹慎、死刑。最悪の場合、どこにも属さない、ただの『もの』にされてしまう。 「・・・だ、だから、悪かったって・・・」 太一はイマイチ今の自分の立場を理解しておらず、必死に謝り倒している。 ・・・これに折れたのは、ヤマト。 「もういい・・・幸い、まだこっちにヤツラ、気付いていないみたいだし・・・。 今回は見逃してやる。ただし、もうこっちには近付くなよ!!」 ヤマトはそういって掴んでいた手を離してやる。 「マジで!?サンキュ〜♪お前、良いヤツだな♪」 太一はそういって早々に翼を広げた。 「いいやつってお前・・・」 ヤマトは少々呆れながら、それでも苦笑を漏らした。 「じゃ、またな♪」 「ああ、また・・・っておい!!」 「あはは!冗談冗談♪。じゃ、さいなら〜」 太一はそういってグングン空に吸いこまれていった。 しばらくすると、風がいつもの通りに戻り、ヤマトははぁ〜っと大きな溜息をついた。 なんだったんだ、あいつは・・・。 ヤマトは大きな疲労に頭を悩ませた。 「また・・・ねぇ・・・。そういえば、あいつの名前、聞かなかったっけ・・・」 まぁ、もう2度と会わないと思うけど。 ヤマトはうーんっ!と伸びをして、弟との待ち合わせの場所へと急いだ。 コメント ヤマトとの出会い☆ 絶対支離滅裂になるので覚悟しててください・・・(死) ちなみに元ネタ(術の名前や精霊の名前)は、分かる人にはわかってしまう・・・(死) |