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flying 16 「んむ・・・」 日の光が目を差し、ミミは瞳を開けた。 「・・・・・・?」 寝起きの頭ではなにも考えられないらしく、ミミはキョロキョロと周りを見て、いつもの自分の部屋と違う事に気付く。 と、そこに光子郎が部屋に入ってきた。 「あ、起きましたか」 おはようございます、と光子郎が笑顔で挨拶する。 「・・・はよ〜・・・」 ミミはまだ目が覚めないらしく、大きなあくびをしている。 と、あくびの途中でどうやら脳が活動してきたらしい。 ばっとミミは光子郎を見、部屋をもう一度キョロキョロと見た。 「ここどこ!?あなたダレ!?」 至極もっともな質問に光子郎はクスリと笑う。 「ここは天使領土の僕・・・光子郎の家。 『はじめまして』堕天使領土の侵入者さん」 そこにはもちろん嫌味もこめられている。 その言葉にミミはむっとする。 「侵入者じゃないわよ!ちょっと遊びに来ただけじゃない!」 ミミは負けず光子郎に掴みかかる。 「条例によると、互いが互いの領土を侵した場合、その者を侵入者とみなすと書いてありますが?」 知識なら多分光子郎の方が上であろう。 ミミは常識的なそういうことが苦手で、いつも勉強から逃げていたから。 「じゃあ・・・なに?あなたは私を天使領地のお偉いさんに差し出すの?」 「質問に対する答え次第ではそうします」 とりあえず光子郎は持ってきたパンとスープとミルクをミミに差し出した。 ミミがちらっと光子郎の方を見ると、どうぞ、と促されたので、空腹も手伝ってミミは素直に口を付け始めた。 なにせ昨日以来ご飯を口にしていなかったから。 「ふーん・・・ご飯の味はあんまり向こうと代わらないのね・・・」 不思議そうにいいながらミミはさらにご飯を食べていく。 「では、質問させていただきます」 光子郎の目が意味深に光る。 「何故あなたはこちらに来たんですか?」 「ちょっとね。ある人の後を追って」 「ある人とは?」 「言わない。言っちゃったら多分その人困るから」 ミミはサラリと光子郎の質問に答える。 「どうしても?」 「うん」 律儀にミミは首を縦に振る。 「・・・言わないとあなたを高位階級たちに引き渡すと言っても?」 光子郎の言葉にミミはピタリと口を動かすのをやめる。 そして、今まで外していた視線を光子郎にヒタリとうつす。 「引き渡したいなら引き渡せばいいわ。 どんなに酷い事されたって私は絶対言わない!」 ミミの真剣な言葉に、光子郎は一瞬言葉を詰まらせた。 「でも・・・私だってただで引き渡される気なんてないわ。 あなたには助けてもらったけど、どうしてもっていうなら、あなたを倒す!」 ミミの殺意ともとれる気配に、光子郎はゾクリとした。 恐ろしい程の沈黙は、光子郎の息を漏らすような笑い声で破られた。 「安心してください。あなたを引き渡すようなことはしませんよ。 夕闇にまぎれて返しますから、今はこの部屋で養生してください」 いきなり変わった光子郎の態度に、ミミはキョトンとする。 光子郎はミミの食べ終わった椀を片付けながら、ドアを開ける前に思い出したように振り返った。 「それから、あなた方の力という魔術。 こちら・・・天使領土では使えないと思いますよ?」 嘘だと思うなら試して見てください。 そういうと、光子郎はドアの向こうへ消えていった。 ポカンと見ていたミミは、はっと我に帰ると、さっそく光子郎に言われた通り試してみる。 「汝、涼やかなる緑を身にまとうもの。 流れるような風を自在に操り、切り裂く刃となれ! 六亡星の一角を司るもの、汝の名『SYLPH』 ―シルフ― よ! ウィンド・カッター!」 一瞬、ミミの周りに風の精霊が収束したが、すぐに四散してしまった。 「な、なぁんでぇっ!?」 ミミは混乱するばかり。 後で光子郎に聞いたところ、こちらと向こうでは精霊の属性(エレメントスクウェア)が違うと判明。 なんか光子郎の思い通りになりっぱなしで悔しいミミであった。 「太一!太一!!」 眠い目を擦って、太一は家のドアを開ける。 「はいはいどちらさま・・・って空か・・・」 なんだ、と太一は溜息をつき、あくびをする。 そんな太一の態度に空はカチン。 太一の片頬をぎゅーっと引っ張り、目を覚まさせる。 「いーたたたたたたたたっっ!!!!」 容赦のない空の攻撃に太一はただもがくばかり。 「太一!あんたわかってんの!?もうすぐ進級試験!!! おちたらアンタ、高位階級どころか光子郎くんと同い年になっちゃうのよ!?」 わかってんの!?と空がさらに力をかける。 太一はすでに涙目。 「わひゃった!わひゃったから、ひゃーなーせー!!」 空は溜息をつき、もう一度ぎゅっと強く握ってから太一の頬を解放してやった。 しばらくしてからあかーくなり、ジンジンと痛む。 「いったー・・・お前ホントに女か?」 「なんですってっ!?」 空に睨まれ、太一はビビる。 昔からホントにこの少女には敵わない。 ここまで来ると、もうなんというか条件反射に近い。 「とにかく!今日は一日中勉強よ! あんたこの数週間でどれだけ実力下がったか知ってる!? 何してるか知らないけどね、こんな事続いたらほんっっっとに!!!進級試験落ちるわよ!」 「わ、わかってるよ!」 「―――わかってるなら・・・」 空の目がさらに鋭くなる。 「とっとと勉強しなさい」 有無を言わせぬ視線に、太一はホントに恐怖を覚え、素直に頷いた。 コメント 光子郎とミミの会話。 なんというか・・・呪文を考えるのは楽しいですな!(笑) |