flying 15

こうしてミミも含めて太一が来るたびに4人で遊ぶようになった。
「あ・・・オレそろそろ帰んないと・・・」
日の沈み具合を見て、太一は椅子から立ち上がった。
「え〜っ太一さんもう帰っちゃうの〜?」
ミミは不満そうにブゥブゥ言う。
「勘弁してよミミちゃん。オレもヤマトたちも学校あるしさ」
ミミちゃんも帰らないとだろ?
毎回のコトながら、こうやってミミに引きとめられると心が揺れる。
太一だってもっとみんなと・・・ヤマトと一緒に居たいから。
それでもやっぱり家族が心配するし、明日のことも考えると帰らないといけない。
「む〜・・・また明日も来てくれるでしょ?」
「あ〜・・・悪いけど、しばらくは来れないや・・・」
「なんでー!?」
ミミが憤慨して椅子から立ち上がり、太一に掴みかかる。
「も、もうすぐ進級試験があるんだよ!」
そう。忘れていたが、もうすぐ大切な進級試験。
いくらヤマトたちと一緒に居たいからってそれに流されていたらヤバい。
太一には高位階級になるという目標がある。
試験に落ちているようでは、まずい。
「う〜〜〜っ!」
外部からのお客・・・ならぬ、本来は侵入者だが、ミミは大層太一がお気に入りらしい。
「ほら、ミミくん。太一にだって太一の事情があるんだから。引きとめちゃダメだよ」
なんとか丈に説得されて、ミミは引きとめた。
「じゃあ、オレ帰るな」
ミミは椅子に座ったまま動かないので、ヤマトと丈が太一を見送りに行った。
「ほら、太一」
ヤマトが太一に、白地になにやら橙色の文様のはいっているマントを渡した。
それは、太一が堕天使領地に天使と気付かれないようにかぶってくるものだ。
「あ〜忘れるトコだった」
あははは〜と太一は呑気に笑っている。
「笑ってる場合か。見つかっても俺は知らないからな!」
「とかなんとか言って〜。絶対ヤマトって助けてくれるタイプだよな〜♪」
「!!!」
どうやら太一の考えが的中したらしく、ヤマトの顔が紅くなった。
「わ〜ヤマトってばかっわい〜♪」
「バッ!!茶化すな!」
ヤマトが怒鳴ると、太一がまた笑った。
丈は微笑ましそうにその光景を見ていた。
「じゃ、今度来る時はいつになるかわかんないけど・・・また来るからな!」
「ああ。太一も試験がんばってな」
太一は見えなくなるまで手を振って、例の岩場までかけていった。
ヤマトと丈もその様子を見送って、家の中に入っていった。
ところが。
「・・・あれ?ヤマト・・・ミミくん知ってるかい?」
「?ミミちゃんなら居間の方にいるだろう?」
「それが・・・居ないんだよ・・・」
「じゃあ、帰ったんじゃないのか?」
「いつも帰りたくないって駄々こねるのに?」
二人に沈黙がおちる。
「太一についていったんだ!!」
ヤマトと丈は太一の後を追う。
が、時間が立ち過ぎていることと、太一の足が速いのとで、追いつけはしなかった。
「・・・ミミくん・・・」
なんてことを・・・と、二人は立ち尽くす。
胃がますます痛くなる瞬間だった。

太一の場合、堕天使領地に入るのは難しいが帰るのは楽だった。
そのまま『風の境目』を通り、もと来た場所へ帰るだけだから。
しかし、ミミは堕天使だ。
いくら天位階級と言っても堕天使は堕天使。
いくら努力したって『力』の性質がまったく正反対だから使えるわけがない。
「ん〜でも・・・なんとかなるわよねーv」
もとが能天気というか楽観的なので、ミミは多少ためらいつつも『風の境目』へと入っていった。
「太一さんは風が暴れたっていうし・・・油断しなければ大丈夫よね!」
ミミの身体が天使領地へと入っていった。
途端。
「・・・えっ!?」
まったく、風が動かなくなった。
というか翼が動かない。ものすごい圧力がかけられているみたいだ。
翼を動かせなければ、落ちる。
ミミの身体は重力に従って下へと高速に下がっていく。
「いっやー―――――っっ!!!」
ミミは叫びまくる。
互いに自分の領地側じゃない方へ行くと、力が使えなくなると丈が言っていたのを思い出す。
頼る術が二つも失われ、ミミはもう泣き叫ぶしか出来ない。
「イヤー―!!誰かー!!」
死ぬ。
そんな言葉が頭によぎる。
あと、地面まで数十メートル。
「―――――――――――!!!」
「フロート!」
ぎゅっと衝撃を覚悟した途端、聞きなれない声と共に身体がフワリと浮いた。
「・・・!?」
ミミがいきなりのコトに驚いていると、闇の中から誰かの姿が見えた。
「・・・大丈夫ですか?」
白い翼が夜目でもわかる。
ミミはその薄い、ホントに薄い紫色の翼に魅入っていた。
「・・・あの?」
声をかけられて。ミミはハッと相手を見た。
「う・・・」
「う?」
「うわぁあああぁあああんっっっっっっっ!!!」
一気に緊張が解けたのか、ミミは大声で泣き喚き始めた。
「えっ!?ちょ・・・っ」
天使・・・光子郎はいきなり抱きつかれてオロオロ。
そして、抱き疲れた時に、その背にはえている翼の色をみた。
「―――!?キミは、だてん・・・し?」
ばっと引き離すと、ミミは脱力して寝ていた。
「ぇえっ!?ちょ!ここで寝ちゃダメですよ!!ちょっと・・・!」
しかしミミは起きない。
光子郎はどうする事も出来ず、しょうがなく自分の家に運ぶことにした。
「・・・はぁ・・・どうしよう・・・」
胃痛持ちが、もう一人増える様子だ。



☆NEXT☆


コメント

急展開。過ぎじゃ!!アホかこの女は!!!
やっぱり不調の時はダメですな・・・しかし更新はさぼれない・・・。
何故か。
絶対。サボり癖がでるから。