flying 1

天使は、『白』に近い翼をもっている。
先にも述べたように、純白に近ければ近いほど階級も上がり、法力も強くなっていく。
『白さ』は努力して白くする術(すべ)もあるし、元の素質から白に近いものもいる。
現に太一の妹のヒカリは、11歳にして高位階級の座にいる。
しかし、高位階級より生活が隔離されてしまうので、太一とヒカリは大きな行事のとき以外は会う事を許されていない。
太一は3年前に神殿に行ってしまったヒカリの事を毎日祈った。
祈りは、法力・・・神の奇跡の源だから。
ヒカリが毎日元気で幸せな毎日を送ってくれるようにと、毎日毎日祈った。

太一の翼の色は、薄い橙の入った白。
夕暮れのような、朝焼けのような、そんな綺麗な色。
太一は空をぐんぐん上って遊ぶのが大好きだった。
「おー!綺麗な風景ー!」
浮石に足をつけ、足元以外の大空に目をやった。
ここまで高く飛んできたのは初めて。
天使だけではない、精霊妖精たちにも見られる長い特徴的な耳を澄ませ、風の音を聞く。
「なんだろ・・・下では見られない、不思議な音色だ・・・」
高かったり低かったり、その高低も歌い方もどの風もまばら。
まるで嵐の時のように、風が散らばっている。
「風の境目だからよ」
「!!!!」
突然後ろから聞こえた声に、太一は驚いてバッと後ろを振り返る。
「・・・なんだ・・・空か・・・」
脅かすなよ〜〜〜っ。
と、太一は脱力してその場に座りこんだ。
そこに仁王立ちで立っていたのは、太一の幼馴染の空だった。
「なんだじゃないでしょ?ココに来るのは禁じられてるはずよ?早く下に戻らないと・・・」
空はそういって薄い紅色の翼を広げた。
「ん〜〜〜〜っ」
「太一・・・」
渋る太一に睨みをきかせると、太一はまだ渋々、といった感じで立ちあがった。
バサァッという音と共に綺麗な4つの翼が空に映える。
「なぁ空・・・」
太一は髪が目に入ったり、飛ぶ邪魔にならないようにヘアバンドをつけながら空を呼ぶ。
「なに?」
「さっき言ってた『風の境目』ってなんだ?」
「太一・・・学校で勉強したでしょ・・・?」
「ぅえっ!?そ、そーだっけぇ・・・」
またサボってたわね・・・空は呆れながらも説明をしてやる。
「風の境目って言うのは、言葉通り、『風』と『風』の境目のコトよ。
こっち・・・天使側の法力の風の力と、向こう・・・堕天使側の魔力の風が押し合いながら出来てるものよ。
だから、あの『風の境目』は、私達の領地の証でもあるの。
・・・わかった・・・?」
「・・・・・・・・・・・・多分・・・」
怪しいわね・・・。空は太一をジィ〜っと睨んだが、太一はあえて気付かない振りをした。
「堕天使、かぁ・・・」
「そ。神の恵みを拒み、血に汚れた卑しき天使のなれの果てよ」
天使の子供たちは生まれた時から、堕天使との敵対心を教えられてきた。
それは、太一も同じ。・・・でも・・・。
「会って見たいな・・・」
ポツリと、自分でもわからないうちに漏らしていたその言葉は、前の方を飛んでいた空に聞こえるはずも無かった。
確かに、堕天使は神の言いつけを守らず、血に飢え、惨劇を繰り返していった
でも、それにだってなんらかの理由があるはずだ。
確かめたい。
自分のこの目で、この耳で聞くまでは、そう言う事は信じたくない。
それが、太一の信念だから。
明日、もう一度行って見よ・・・。
今度はもっと慎重に・・・。
空に見つかったら、それこそ高位階級のヤツに見つかるより恐いから・・・。

夜明け・・・。
雲に夜の蒼と朝の紅が交じり合う時間に、太一は家を抜け出した。
冒険をするようでワクワクする。
未知のコトに飛びこむとき、なんでこんなに心がワクワクするんだろう?
太一は忍び足で、顔にニヤニヤと嬉しさに笑みを作っていた。
「れっつ・ごー☆」
太一は数歩、ステップを踏むように飛び跳ねると、翼を広げて、勢いよく空に飛び立った。
それが、すべての安定を崩すハジマリ。
封が、切られたのだ―――。



☆NEXT☆


コメント

なんか短くてすみません(汗)
多分こんなペースでやってきます。どうぞ付き合ってくださいませ☆