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薔薇を部屋いっぱいに飾っても骸の心を動かせないことはよく知っている。 だから部屋いっぱいのチョコを用意してみた。 「くふふふふ…」 とろんとした瞳、高揚した頬。 口端についたチョコを舐め取る舌は艶やかな紅。 ウィスキーボトルを模ったチョコをまた一つ口に放り込み、くふふと笑う。 「まさか骸くんがウィスキーボンボンで酔っ払うなんて思わなかったよ」 恐ろしい勢いでチョコを消費していく骸にさすがに呆れる。 チョコが大好物だというのは知っていたが、まさかここまでとは。 「くふふ、何を言っているのでしょう貴方は。僕は酔ってなどいませんよ」 どこが。 苦笑している間に、また骸が別のチョコに手を伸ばす。 コーヒーをもう一杯いれてやろうとサーバーに手を伸ばすと、うっとつまった声が聞こえた。 「骸くん?!」 今まで幸せそうにチョコを食べていた骸が、口を押さえて目を見開いている。 う、うぐ、とえずく骸の口元にティッシュをあてがい、吐き出させる。 「う、ごほ…」 「骸くん、大丈夫?!」 まさか毒でも入っていたのか。 焦る白蘭を、キッと骸が睨む。 「ちょっと、なんですかそれ!!」 「え、何って…チョコだよ?」 「嘘言いなさい!からいチョコが存在するもんですか!!」 「…からい…?…あ、これ唐辛子チョコだよ」 「認めません僕は!!」 怒る骸の目には涙が浮かんでいる。 「…骸くん、からいの嫌いなの?」 「好んで食べるもんですか。あんな刺激物」 はん!と鼻を鳴らし、甘いチョコを口に放り込む。 「……」 「どうしたの?」 だが骸は眉間に皺を寄せるばかり。 「…口の中がまだピリピリします」 「あー…お水持ってこよっか?」 「いいです」 言って、白蘭を引き寄せた。 「バツとして貴方に口直しになってもらいます」 「むく、ンッ」 口をふさがれ、すぐに舌が侵入してくる。 甘い甘いチョコの向こうに、少しだけピリピリとした刺激が伝わる。 鼻に抜ける骸の声はチョコよりも甘い。 思わぬプレゼントを、白蘭は思い切り堪能するのだった。 |
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