|
キミに、伝えたい言葉。 昔からあまり人と接しなかったせいか、どうも話すということが苦手だ。 今も、レイを怒らせてしまい、出て行かれてしまった。 紅く染まった左頬を押さえながら、レイを探す。 「レイ・・・」 やっと見つけた、守りたい、一緒に居たい相手。 好きで好きで、これ以上大切なものなんてないのに。 するりとすり抜けてしまう、水のような、猫のような存在。 さすがのカイも、まだまだ残暑の残る中を全速力で走ったので肩で息をついている。 せっかく、日本に一緒に来れたのに。 カイは、土手の坂道に腰を乱暴に落とした。 前かがみになり、呼吸を落ち着かせる。 「レイ・・・」 何度も何度も、その名を繰り返す。 目を閉じて、静かにしていると、なにやら腰にすりついてくるものがある。 疑問に思い、ふとそちらを見てみると、小さな白い仔猫がさかんにカイに擦り寄っている。 「・・・・・・」 構う気にもなれず、カイは手でしっしと仔猫を遠ざけようとする。 が、仔猫は逆にその手にも身を寄せてきた。 カイはふう、と息を吐き、仔猫の毛を撫でた。 長毛種ではないが、フサフサとした毛並みは肌にとても心地よかった。 仔猫もおとなしく撫でられている。 「・・・なんでだろうな・・・」 誰に言うでもなく、カイは呟く。 ふと、仔猫の方を見て、いつもは眉間に寄せている皺をとる。 「綺麗な金色の目だな・・・。あいつにそっくりだ」 感情が高ぶると、猫のように細くなる目。 それは、彼が白虎族であるという証。 カイは、ふと眼を曇らせる。 「・・・大切にしたいのにな・・・」 これ以上欲しいものは何も無くて。 一回、BBAチームを離れられたときは、外面は普通を装っていたけど、ホントは、本当はその場に倒れるくらいの衝撃を受けて・・・。 「もう、お前を失いたくないのに・・・!」 仔猫を撫でる手をやめて、膝に顔をうめる。 「レイ・・・」 伝えたい言葉なんて、一生かけても言い足りなくて。 でも、頭で何をいうかわかっていても、いざ相手を目の前にすると、まるで始めてあったときのように心臓が爆発しそうに高鳴る。 「・・・なさけない・・・!」 カイは眼を閉じていたのでわからなかったが、今までカイに擦り寄っていた仔猫は、何かを見つけたように、上の方へかけていった。 仔猫は夕日に照らされている人間に近づいていき、またさっきのように擦り寄っていた。 白い上着に、スリットから見える青いたっぷりとしたズボン。 黒く豊かな長い髪を後ろでひとつにまとめている。 足元に擦り寄ってくる仔猫を両腕に抱え、カイに静かに近寄っていく。 カイは、まだ気がつかない。 「レイ・・・」 また、その名を呟く。 近づいてくる人物の歩みが寸前で止まった。 「俺から・・・離れないでくれ・・・」 独り言で呟いたはずのその言葉。 が、それに答えが返ってきた。 今、一番聞きたくて、一番焦がれていた声。 「なら、なんであんなこと言うんだよ」 バっとカイが後ろを見る。 「レ、レイ・・・」 いつから!?と聞くと、レイは猫を片方の腕に持ち替え、残った方の腕を呆れたように腰に手を当てた。 「なんだ、気付いてなかったのか」 こんなでっかい態度をとってカイの怒りをかわないのもレイだけであろう。 レイは仔猫を腕から離し、さらにカイに近づく。 その表情に憂いが見え隠れする。 「お前は何も言ってくれない。オレはただ、お前から一言欲しいだけなのに・・・。 なのにお前は、『別にいいだろ』とか、そんなんばっかだ」 レイの顔が、悲しみに揺れる。 カイはその表情を見た途端、いたたまれなくなって、半分無意識の内にレイを抱きしめていた。 「すまない・・・」 いくら頭が良くても、心の中で考えられても、口に出すのは想像以上に難しくて・・・結果、一番傷つけなくない相手を傷つけてしまった。 「すまない・・・・・・」 ぎゅっとレイを強く抱く。 腕の中で、レイがはぁ、とため息をつくのがわかった。 「いいよ・・・。オレも悪かったし・・・」 カイは、レイを抱く腕を緩め、真正面から見つめる。 「でも・・・もう少しだけでいいから、オレに言葉をくれよ・・・」 切実なのは、誰もが一緒で。 カイはしばらくじっと黙っていが、レイの耳に口を寄せると、小さな小さな、ホントに小さな声でレイにそっと呟いた。 多分、その後見せたレイの表情を、カイは絶対忘れない。 例えが浮かばないほどの幸せに満ちたレイの顔。 それは、カイと仔猫だけが見た、一番の笑顔。 奇跡も偶然もこの世にはなくて。 あるのは、運命と必然だけ。 言葉に出来ないことは、絶対態度で示すから。 今は少しだけ、時間をちょうだい? コメント えっと・・・なんというか・・・駄文としか言えない・・・(汗) 不器用なカイが、必死にレイに想いを伝える姿を書きたかったのです・・・。 |