sweet berry

「…どーしよー…」
ミミは困り果てていた。…というのも今ミミがいる場所は落とし穴の中。敵デジ モンの掘った穴にハマって身動きが取れないのだ。
「あぁんな古風な手にひっかかっちゃうなんてぇっ!」
ミミは狭い穴の中でじたばたと暴れた。パルモンは…いない。ここに来て落ちて しまったワケ。
それは光子郎と喧嘩をしてしまい、いきなりキャンプを飛び出してき てしまったのだ。
「喧嘩なんてしなければよかった……ううんっ!あれは光子郎君が悪いんだ もん!!絶対謝んないんだからぁっ!」

パコパコパコ…。
光子郎のキーボードを打つ音が規則正しく聞こえていた。
「あれ、光子郎君、何してるの?」
特に仲間を手伝うこともなく、暇を待て余していたミミは木の根に腰をおろしパソコ ンに熱中している光子郎を見つけた。
「ああ、ミミさん。今、デジタルワールドの解析をしてるんですよ」
「ふーん?解析ってどんな風に?」
「僕達の世界と時間の進み方が違う事、デジモン達の仕組み、また、この世界の成り 立ちなどです」
そんなこと言われたってミミには何にもわかんない。
「どうやって?」
「ですから、わからないから調べてるんですよ」
「だから、どういう風にって聞いてるの!」
ねーねーとしつこく聞くミミに光子郎は最初は耐えていたが、そのうち我慢の限界が きた。
「もお!ミミさん少し黙っててください!全然進まないじゃないですかぁっ!」
光子郎は思わず癇癪をおこして怒鳴ってしまった。
「あ…」
しまったと思ったときにはもう遅かった。ミミはジワーっと目に涙をためて、
「なによっ!光子郎くんのばかぁっ!!」
と叫んでくるっと体を反転させて走っていてしまった。
「あっ!ミミさん!!」

てててっとミミは森の中を走っていった。
「なによなによなによっ!ちょっとくらい相手してくれたっていいじゃない!それを あんなに怒鳴るなんて!」
ミミはグチグチ文句をたれながら器用に走っていった。
「ばかぁっ!光子郎君の…きゃぁっ!!」
いきなりミミの足元が沈んだ。いけない!と頭で思ってても体は重力にしたがってお ちるばかり。
「きゃぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!…いったいっっ!!」
どしんっ!という音とともにミミの体が落ちるのをやめた。
「いたーいぃ。なによこれ…ん?」
上から聞こえてくる声にミミが気付くと、デジモンが
「やーい、やーい!」
と走りながら逃げていくのが見えた。
「あっちょっとまちなさいよっ!!」
しかし待つはずもなく、声はやがて聞こえなくなった。穴の深さはミミよりちょっと 深いくらい。
しかし、ひ弱なミミに自分の体を支えるだけの力はなく、ただただ困り 果てるだけだった。
…そして今に至る。

ミミが叫ぶと、辺りに反響してクワンクワンと響き渡った。
「〜〜〜うぅ〜〜っ」
いくら叫んだって一人は一人。答えてくれるものはいない。
「パルモォ〜ン…助けにきてよぉう…」
ミミは顔を伏せて泣き出した。
「…っく…えっえっ…光子郎くん…」
ついに堪えきれずミミは大粒の涙をこぼしながら泣き始めてしまった。
「…ミミさん?」
名前を呼ばれてミミはバっと上を見た。…そこには…。
「……こーしろーくぅん…」
ミミの大きな目にまたジワっと涙がうかんだ。光子郎はその様子を見てあせってし まった。
「なっ泣かないでくださいよっ。今助けますから」
光子郎はそう言うと回りに何か引き上げられそうなものはないかときょろきょろ見渡 した。
「あっ」
ちょっと向こうの木に丁度いい蔦があった。引き上げられるだけの強度があるかどう か確かめてから手短な木にしっかりと結びつけた。
「ミミさぁ〜ん。この蔦につかまってくださーいっ」
「わかったわー」
ミミは素直に蔦につかまった。
「いいわよー」
「じゃあいきますよ!」
せーのっの合図で光子郎は思いっきり蔦をひっぱり、ミミも精一杯の力で登り始め た。
「んーしょっ!…とっ!!」
「キャッ!」
「うっわ!」
ミミは勢いで光子郎に抱きつくように落とし穴から出てきた。
「ったたたた…ミミさん、大丈夫ですか…って」
光子郎は再び焦ってしまった。ミミがボロボロと涙をこぼしいているのだ。
「どっどうしたんですか?怖かったんですか?」
(それもそうだけど)
「ちっがう!」
ミミは嗚咽をあげながら光子郎をぎっと睨んだ。
「こっしろーくん、怒って、ないの?」
「え…と?」
「ほら!ったしが、邪魔しちゃった、こ…っと!」
ひっく、ひっくとしゃっくりをあげながらしゃべるので言葉が途切れ途切れになって しまった。
「ああ、あれですか」
「おっこって、ないの?」
ミミの問いに光子郎は笑顔でええ、と頷いた。
「あれはどなちゃった僕も悪いんですし…僕の方こそすみませんでした」
でも、と光子郎は続けた。
「人にも時と場合というのがあるんです。そのことをミミさんも考えてくださいね」
にこっと光子郎は笑うと、すっと立ち上がってミミに手を差し伸べた。
「さっ帰りましょうか」
光子郎の優しい言葉にとまっていた涙がまた関を切って流れ出した。
「っ!」
次の瞬間、ミミは光子郎にぎゅっと抱きついていた。
「みっミミさんっ!?」
「わーんっ!ごめんねぇっ光子郎くん!ごめんねぇっ!!あーんっ!怖かったよーっ !!」
ミミは大声をあげて泣き出した。緊張の糸が切れてしまったのだろう。ミミは小さな 子供の様に泣いていた。
どうしていいいかわからない光子郎はおろおろしながらも、 ミミの背を優しくさすってやった。

ぐすっとミミは鼻を啜った。
「落ち着きました?」
「…うん」
光子郎はミミが落ち着くまでずっと背をさすってやっていた。
でも、身長がミミさんの方が高いので、なんだかはたから見るとこっちが泣いてるのを慰めてもらってるよ うに見えるなぁ…と光子郎は心の中で思った。
(ああ…こんな時、身長が高ければなぁと思いますよ)
せめて好きなコを慰めてるときくらいは…と光子郎はトホホな気分だった。
「ねぇ光子郎君…」
「はい、なんでしょう?」
「私ね、優しい人が好きなの」
「は……」
光子郎は答えに困ってしまった。好きなコの好きなタイプを聞いて何が嬉しいだろう か。
「あ…そうですか…」
ミミはカチンときた。
「んーーーもうっ!!なんでわかってくれないの!?」
「はっ!?なっ何がですか?」
こういうことにとことん鈍い光子郎は何故ミミが怒っているのかがわからない。
「だーかーらー」
こういうこと!とミミは光子郎の左頬にちょん、とキスをした。
「みっミミさん!?なにを…っ!?」
光子郎は真っ赤になってしまった。そんな光子郎にミミは恥ずかしいを通り越して呆 れてしまった。
「…まだわかってくれないの…?」
「???」
はふっとミミは溜息をついた。それから光子郎に耳打ちした。
「私の好きな人は…光子郎君なの」
えっと光子郎が前を見ると、ミミがニッコリ微笑んでいた。
「助けてくれてありがとっ!」
ミミはそういうと、光子郎の首っ玉にしがみついたのだった。



☆END☆


コメント

デジ小説第1作目です。これを書いたのは去年の夏頃ですね。
かなり好評だったので嬉しかったですvちなみに今はもう配布してません。
しかし一番最初がノーマル…(汗)