|
だいじょうぶ。 モルディブチームとの戦いが終わった後。 左足をかなり激しく挫いてしまったレイは、あとで食事を運んでくれると言うタカオたちの好意に甘え、部屋で待ってることにした。 とはいえ、暇なことには変わりはない。 ドライガーの調整は終わったし、本も読んでしまった。 そういえばタカオは料理をたらふく食うから遅いんだよな、と、レイは後悔した。 いくら白虎族故修行を積んでるとはいえ、山を超えるという激しい運動をした後。 それに大人ぶっていてもレイもまだまだ育ち盛りだ。 自身は平気でもやはり身体が食べ物を欲しがっている。 「そういえば・・・タカオが菓子をいくらか持っていたな・・・」 勝手に食べるのは悪いが、いつも進めてきてくれるから多分大丈夫だろう。 そう踏んだレイは、さっそく起き上がって荷物のところへ行こうとした。 「―――っ!!」 動いた瞬間に足首に激痛が走り、反射的に足首をかばった結果、床へと転んでしまった。 「・・・う・・・」 なんとか受身はとったものの、余計に足に負担をかけてしまい、激しい鈍痛がレイを襲う。 しかも熱をもってしまい、包帯の下の地肌が焼けるようだった。 そのとき、カチャリとドアが静かに開いた。 「―――!?どうした!?」 入ってきたのは、四聖獣のビットのひとつ・朱雀を宿すドランザーのベイブレーダー、カイだった。 両手に持っていた食事を近くのテーブルに置くと、レイの方へと急いだ。 そっと脇と膝の裏側に腕を入れ、いわゆる『お姫様抱っこ』をして、レイを再びベッドへと戻す。 「・・・何をやってるんだ、お前は」 呆れ半分、ホントに心配した気持ち半分でカイはレイに聞く。 「いや・・・腹が減ったからなんか食べようと思って・・・」 カイは洗面所へと行き、桶に氷と水を汲んできた。 それにタオルを浸してしばらく冷たくしておく。 その間にレイの足に巻いてあった包帯を取り、具合を見る。 「・・・ちょっと熱を持ってるな・・・動いたりするからだ」 「すまない・・・」 声色に怒りを見つけたレイは、シュンとしてしまった。 「・・・別に、怒ってるわけじゃない・・・」 カイはポツリと言うと治療に取り掛かった。 タオルをやや水分が残る目に絞り、レイの足首に乗せてやる。 「ありがとう・・・」 いつもは見せない、優しい笑みを浮かべる。 「・・・無理をするな。俺の心臓がどうにかなりそうだ」 「うん」 「・・・今日だって・・・」 「うん?」 「ガケ崩れに巻き込まれたって聞いたときは、心臓が止まるかと思ったぞ・・・」 「うん。すまない」 「別に、ツライなら頼ればいい。俺は・・・」 お前と付き合ってるんだから・・・。 近くにいるレイにも聞こえるかわからない声でカイがボソボソと呟く。 「うん・・・」 レイは嬉しくて、頬を染める。 十分足首を冷やしてやり、新しいシップを貼って、包帯をまいてやる。 「ほら」 「ありがとう」 再びベッドにもたれると、カイが盆に食事を乗せて持ってきてくれた。 「これ・・・」 「なんだ?」 「いや、タカオたちが持ってきてくれると思ったから・・・」 レイが少し驚いたように言うと、カイはああ、と頷いた。 「外でバトルをしている。マックスの新しいドラシエルのテストだと」 「で、カイがわざわざ持ってきてくれたんだ?」 「別に・・・」 「別に?」 「お前のことだから、いい」 自分以上に人と話すことを嫌うカイが、自分とは必死に言葉を紡いでくれる。 『特別』が嬉しくて、自然に顔が綻んでしまう。 「カイがこんなに優しくしてくれるなら、たまには怪我してもいいかも」 「バカを言うな。俺の心臓がいかれちまう」 はぁ、とため息とともに呟かれた言葉にレイは思わず笑ってしまう。 「明日・・・」 「うん」 「明日は、中国チームとの戦いだが・・・」 少し遠慮そうな言葉に、レイも顔をうつむける。 「うん・・・やっぱり、ちょっと不安だ。・・・・・・また、白虎に見捨てられるかもしれないしな・・・」 金色の瞳の中に、深い悲しみを見つけ、カイは自分でも気づかぬうちにレイを静かに抱きしめていた。 「・・・カイ?」 「そんな顔、するな。・・・大丈夫だ」 大丈夫。 何度も何度も、心の中で必死に呟いてきた言葉。 それなのに、カイに一言いってもらっただけでこんなにも心がラクになった。 「カイ・・・」 「なんだ」 「オレがまた悩んでたら、喝入れてくれな」 ぎゅっとレイがカイにしがみつく。 カイはさらに力をこめてレイを抱いてやる。 「・・・俺がついてる」 二人はしばらくそうやって抱き合っていた。 レイが食事をとったのは、タカオたちが戻ってきて、慌てて離れた後だった。 何気ないキミの一言が僕にすごい勇気をくれる。 大丈夫、大丈夫。 心に闇があるのは誰も同じ。 でも僕は大丈夫。 キミがいるから。 僕の、傍に・・・。 コメント 初☆のカイレイ小説です〜☆ ちなみに、壁紙の藤の花言葉は『恋に酔う』だそうですvvv(笑) |