とは言え、どうしろと言うのだろう。
リボーンの言葉に、それもそうだと思い何度か接触を試みたのだが、タイミングの悪さと自分の意気地のなさで未だ成功していない。
そして今日も一日はあっという間に過ぎていって、もう下校時間になってしまった。
いつものように横を歩きながら、ふと目にしてしまうのは雲雀の手。
バイクのハンドルを掴む手は自分のよりも一回り大きくて、少しだけ荒れている。
その手は、暖かいのだろうか。それとも、冷たいのか。
そんなことすら知らない。
(…て、にぎりたいな)
ぎゅう、と自分の手を握り締める。
触れたいなと思うと、余計欲しくなってたまらなくなった。
この手を重ねたら、嫌がられるだろうか。振り払われてしまうのだろうか。
考えると怖くてたまらない。
でも受け身でいてもかわらないのもまた事実で、奮い立たせるように身体中の筋肉を強張らせた。
「……っ」
並んで歩いていたツナが突然足を止めてしまい、どうしたのだと思いながらヒバリも歩みをやめる。
「どうしたの、綱吉?」
「……」
不思議そうに覗き込んでくる、雲雀。
ツナはぎゅうと眼を閉じると、死ぬ気になったつもりで雲雀の手を甲から包み込むようにしてにぎった。
(あ、あったかい)
なんとなく冷たい印象のあった雲雀の手は、意外に暖かかった。
ドキドキする心臓の小さな片隅でそんなどうでもいいことを考えてしまう。
余裕があるのか、壊れてしまったのか。
どちらにしても、雲雀の反応が怖くてたまらない。
(振り払われたら、絶対、泣く!!)
すでに涙を滲ませていると、隣から大きな溜め息が聞こえた。
「ッ」
やはり嫌だったのだろうかとツナが少しだけ手を浮かせると、まるで後を追うように雲雀の手がハンドルから離れた。
「しかたないね」
苦笑し、そう言ってバイクを止める。
「え」
「そんなにされちゃ、ダメとは言えないよ」
「え、えッ」
まさか声に出してしまっていたのだろうかとツナが慌てていると、ポイッと雲雀がヘルメットを渡してきた。
「わっ…え、ヘルメッ…ト?」
「そ。かぶんなきゃ乗せないよ。本当に危ないから」
そう言う雲雀はノーヘルで大型バイクに跨ると、ズボンに入れていたキー挿して、まわす。
ドゥルン、とバイクが唸りだし、ちらりと視線を寄越した。
「乗りたかったんでしょ、これ。運転はさすがにさせられないけど」
ぽん、とタンデムを叩く。
…どうも話が噛み合ってない。
あれ?と対応できないでいると、雲雀もその様子に小首を傾げた。
「違ったの?バイクをすごい見てたからよっぽど乗りたいんだと思ったんだけど…」
違ったなら、とエンジンを切ろうとする雲雀を、慌ててツナが止める。
「いえ!あの!乗りたい!乗りたいですオレ!!」
本心だった。
雲雀のバイクにはずっと憧れていたし、今更本当のことを言う気にもなれない。
ツナがお願いします!と頼むと、雲雀は優しく笑って、いいよ。と頷いた。