「ディーノ、つんでれ、って知ってます?」
「は?」
突然尋ねてきた骸からの、突然の質問に、書類に集中していたディーノはマヌケな声を上げた。
「つんでれ、ですよ。綱吉くんに『骸はツンデレだな』って言われたんですが、意味がわからなくて」
「ツナに聞きゃよかったじゃねーか」
書類をデスクに置き、骸の座るソファーへと席を移す。
せっかく骸がいるのに仕事をするだなんてとんでもない。後回し後回し。
「聞く前に、雲雀くんが連れ去ってしまったんですよ」
むぅ、と唇を曲げる骸に、チョコレートの入ったガラスの小瓶を差し出す。
前から食べたいと言っていた、有名店の限定品。
すかさず反応し、鮮やかなオーロラ色のセロファンを手にする。
「ツンデレ、ツンデレ、ね…」
うーんと考えながら、骸が入れてくれたダージリンのファーストフラッシュを口に含む。
うまい。
さすが最高級品、フィナー・ティピー・ゴールデン・フラワリー・オレンジ・ペコー(もちろんディーノが購入)
「…あ!骸は綺麗ってことじゃ…あ・だー!!」
途端に骸の鉄拳が飛んできた。
「バッカじゃないですか、あなた!!」
「な、な、殴ることねーだろー!」
「アホなこと言うあなたが悪いんですよ、まったく!…大体それなら、わざわざ遠回しにつんでれ、なんていう必要ないでしょうに」
「…た、確かにそうだけど…」
「真剣に考えなさい、真剣に!」
もう一度、大きな溜め息をつかれる。
骸の頬は赤い。
ただの照れ隠しと言うことはわかっているから、ダメージは頬だけだ。…痛いけれど。
「…マジに言ったんだけどな…」
ぽつりと呟く。
静かな部屋にそれは予想以上に響き、確実に骸の耳にも入っている。
また殴られるかなーと思いつつ、真実なんだから仕方ないと覚悟していると、かすかな骸の声が聞こえた。
おやと見やれば、骸もちらちらと端目にこちらを見ているではないか。
「…それなら、あなただって…つんでれ、でしょうに…」
骸の頬が綺麗な薔薇色に染まる。
ふい、と逸らされる視線。
胸がきゅんと鳴った。
感動のまま、骸ー!と抱きついて、調子に乗るな!!と三叉槍の柄で殴られても、ディーノのニヤニヤは収まらなかった。


キャバッローネに遊びに来ていた綱吉と雲雀は、その一部始終をバッチリ覗き見していた。
「あのまま間違って覚えたら面白いのに」
「ちょ、ヒバリさん!それはかわいそうですって!」
「じゃあホントのこと教えるの?」
「……」
どちらにしても骸の不興を買うのは目に見えていて、自らの失言に綱吉は暫く頭を悩ませるのだった。