※あやしい表現ありなのでご注意を。


久しぶりに会った骸は、なんと言うか、綺麗になっていた。
驚くほどに。
もう、綺麗以外にどう表現していいのかわからないくらいに。
そのまま思ったことを口にしてみれば、彼は驚いたように目を見張った後、ふと微笑んだ。
それもとても綺麗だった。

身体だけの関係がいつから始まったのかは、覚えていない。
振り払われるのを覚悟で手を伸ばし、唇を求めれば、骸は素直に目を閉じてくれた。
「ほしいのなら」
なんとも言えない笑顔を浮かべて、彼はそう言った。
欲しいのは、身体ではなく心だ。
違う、誤解しないでくれ。
想いは声にならなかった。
欲望に負けて、俺は、骸を、抱いた。

店から出た俺は骸の手を引いて、いつも世話になっているホテルへと入った。
鍵だけかけて、酔いに任せて骸の服を裂くように脱がせて素肌に触れる。
深く深くキスをして、大きくなってもやはりどこか華奢な身体をまさぐって、次第に漏れ出した体液を手に絡めた。
「、ぁ…」
ずくずくと熱を持つ俺のソレを骸の中に挿れれば、は、は、と呼吸を乱して熱を持ったように身体を紅く染めた。
「む、くろ…ッ」
「ぅ、く…ふ…」
堪える声。
漏れる音。
ああ、いやらしい。
その声を、音を俺が上げさせてると思うと、どうしようもなく興奮して、喜悦する。
「っ、ちょっと…これ以上、お、きく…っ、しないでください、まっ…せんか…?」
「俺の、せいッ、じゃ…ない」
そう。俺のせいじゃない。
お前が俺を誘惑するからいけないんだ。
ずくずくと溶けてしまいそうなナカに、灼熱を何度も何度もこすり付ける。
「ン、ぅ…ッん!」
シーツに広がる、伸びた髪。
乱れた髪に手を伸ばしてキスを落とせば、骸は何とも言えない表情をする。
「む、くろ…っ」
サラリと髪を手から逃す。
彼の掌に、掌を絡める。
愛しい。
愛おしい。
どうして彼を、彼が、こんなに、愛おしい。
「むくろ…、なぁ骸…むくろ、俺は…やっぱりお前がッ」
「おやめなさい」
場にふさわしくない、冷めた声。
見れば骸は先程の熱を一切取り払った視線を、俺に向けていた。
そして俺は、口を噤んでしまった。
「…その言葉は、口にしてはいけない」
「っ」
「あなたはファミリーが一番大切で、僕は復讐を捨てられない。…あなたのこの想いに、変化はありましたか?」
「―――――」
あった、と、嘘でも言えなかった。
彼を手に入れる為の言葉は、十年前のあの日に置いてきた。
俺がマフィアのボスで、ファミリーが何より大切で。
骸はマフィアを何より嫌っていて、復讐を企てていて。
この地位を捨てれば、きっと骸はついてきてくれた。
それでも俺はファミリーを捨てることなんてできなくて、骸の手を離したんだ。
あの日。
俺は骸を選べなかった。
彼も、自分から手を伸ばしてはくれなかった。
「……ッッ」
ちくしょう。口の中で呟く。
「う、あッ!」
ちくしょう、こんなに愛してるのに。
言葉にもできないなんて。
悔しくて、腰をずんずんと進めてやる。
骸の声が大きくなる。
あ、あ、と喘ぐ。
そのまま、そのまま。
飲まれて流されて、たった五文字の破滅の言葉を口にしてくれればいいのに。

自分から手を伸ばせないくせに、俺は。
きっと伸ばされた手を拒むことは、できない。

それは希望で、絶望。

その手が欲しくて、欲しくない。

ちくしょう。
もう一度呟いて、握り締められなかった掌を離し、俺は骸の身体を思い切り抱きしめた。