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教えられたのは、カタチだけ。 僕はソレのカタチしか知らなくて、でも聞いた途端に欲しくなった。 いずれ見つけたら。 何が何でも手に入れる。 ソレは人生で二番目に手に入れたいものになった。 ゆっくり、ゆっくりと意識が浮上する。 「―――……?、…」 浮上する意識に、骸は疑問を持つ。 何故意識が浮上するのだろう。 自分は、確か殺されたはずなのに。 うまく効かぬ視界。 そのぼやける中で、白い色が目に入った。 「…お、起きた?」 弾む声。 知っている。覚えている。 なんだろう。 誰だ。 視界がクリアになり、段々と焦点があってくる。 「骸くん。骸くん。ねぇだいじょーぶ?」 ぬるい手がさわさわと頬を撫でる。 くすぐったいよりは痛い。 ピリピリする。 眉をしかめて、何とか焦点を合わせた。 「――――ッッッ、!!」 パシィ!と頬を撫ぜる手を掃った。 「お、まえ…ッ」 ぐ、と呻きながら、極近くにいる白蘭を睨みつける。 「ああーもう。ダメだよ無茶しちゃ。けっこーな怪我負ってるんだから」 「…負わせた貴方にだけは言われたくないセリフですね…ッ」 「ま、そりゃそっか」 とりあえず落ち着いて落ち着いてと白蘭は骸を宥めようとするが、もちろんそれで警戒を解く訳もなく。 「でもほら、手当てしてあるしさ」 言われ、骸はふと自分の手を見る。 そこには、包帯とガーゼに包まれている腕が。 胸にも包帯が巻かれており、抉られるように傷付けられた右目にも治療のあとがあった。 「…これは何の真似です」 「ん?もちろん治療♪」 「馬鹿を、ッ」 吐き出すように、骸は言葉を捨てた。 頭に響く眼の痛みを堪え白蘭を更にきつく睨みつける。 「貴方は僕を殺すのではないのですか?」 「もちろん」 「…それとも、僕から何かボンゴレの情報を聞き出そうとも?それなら無理ですよ。何も知りませんから」 「興味ないから安心してよ。大体、僕はもうキミを殺したし」 「、な」 「ボンゴレ霧の守護者である、キミをさ」 「――――」 にーっこりと笑いながらそう言う白蘭の言葉に、骸は目を大きく見開く。 「―――…な、にを…」 「霧の守護者であるキミはもう殺した。だから、キミはもうただの六道骸くんだ」 ぎゅ、と、手を握り締められる。 「僕の、ものだ」 薄い紫煙の瞳。 感情が読めず、骸は言葉を紡げない。 「一目見たときから、キミが気になってたんだ。昔教えてもらったのにぴったりはまった。キミだって一目見てわかった」 「…言ってることが、わかりません」 何とか、何とか感情を冷やし沈めてすりつぶしたような声を出した。 じわじわと汗が出てとまらない。 この手から逃れたくてたまらない。 「ん?恋ってやつ?」 「ッ」 「キミを見た時にさ、身体中が熱くなって心臓がドキドキしてぽーってなってどうしよもなくなった。昔教えてもらったんだ。それは恋なんだって。愛なんだって。とても素敵なものなんだって」 うっとりと骸の手を撫で、固まっているその顔を見る。 「それを聞いた時にね、僕もさ。すごく、すごくそれは素敵だなーって思った。ソレに出会ったら絶対手に入れるって決めたんだ」 「…それが、僕だと…?」 「そう!そうなんだ!まさにキミだ!…でもほら、キミはボンゴレ側の人間だろ?さすがにそれはさ。…だから、ボンゴレであるキミを殺したんだ。ボンゴレじゃない、守護者じゃない、キミはもう僕のもの」 「ふざ、けるな!!」 大声を上げ、骸は渾身の力を込めて白蘭の手を振り払った。 「ぐ、ッ」 その時の衝撃が傷に触り、激痛に骸は悶え苦しむ。 「ああーもう。何やってんの?」 「さわ、るな…っ」 掠れた声で拒否するが、かまわず白蘭は乱れた骸の体制を戻した。 痛みに骸はそれ以上白蘭から逃れることも出来ず、ただ耐えながら口を開く。 「僕は僕だけのものだ。ボンゴレのものでも、ましてやあなたものもでもない…ッ」 その言葉にきょとんとした後、白蘭は何とも言えぬ嬉しそうな顔で微笑んだ。 「あは、さすが骸くん!僕が好きになったことだけはあるね!」 「!」 ぎゅうと抱きつかれ、身体の真ん中に芯を通されたように骸の身体が動かなくなる。 得体が知れない恐怖に、身体が強張ってしかたない。 「でもここにいる限りキミは僕だけのものなんだよ」 抱きついた身体を離し、白蘭は骸の身体を包む白いシーツをはがした。 「―――実はこの部屋はね、キミのために用意したんだ」 「ッ」 包帯以外、下着も纏っていない。 信じられないものを見たのはそれ以上に、足に繋がれている鎖だった。 「結構長さはあるから、トイレやあそこにある冷蔵庫くらいは行けるよ」 ちりちりと耳鳴りがする。 やけに遠くで白蘭が話しているような妙な感覚にとらわれる。 「でも窓は無いし換気扇は溶接してあるし鍵は三重で僕しか持ってない。何より、ここもキミの能力は使えない」 わかるかい?と、まだ呆然としている骸の耳元で、白蘭が囁く。 「ここではキミは、本当に、ただの、六道骸だ」 優しく強く、抱きしめる。 「僕の、六道骸だ」 とろりと蕩ける声。 「愛してるよ、骸くん」 身体を離し、骸と目線を合わせる。 紫煙の、意図の読めない瞳。 近付く。 近付く唇から逃れられない。 「あいしてる。きみも、あいして」 重なる。 唇からするりと舌が入ってきて、口内に侵入してきた。 「―――ッ」 ガリ、と容赦せず、骸はその舌を噛んだ。 だが骸の視線も抵抗もものともせず、うっそりと嬉しそうに白蘭は瞳を細めた。 血が口内に広がる。 白蘭は舌を更に骸のナカへと侵入させた。 鉄錆びのような味が、舌に残って離れない。 |