ズボンの中の携帯が震え、そっとツナは取り出した。
先生が黒板に向かっているのを確認し、そっとメールを見てみれば、雲雀からのメールだ。
『寒い』
ただ一言の簡潔なメールがあまりに雲雀らしくて、くすりと笑ってしまう。
そして、教科書で隠しながら、返信を打っていく。
『おれ、今授業中です』
送信して、携帯をしまう。
このやりとりにもう、携帯は必要はない。

ピンポンパンポ〜ン

軽快な音を立てて、放送が始まる。
『二年A組の沢田綱吉くん。至急応接室に向かって下さい。至急、お願いします』
至急、を二階繰り返した。
生徒はもちろん先生までツナを見ている。
それは呼び出されたことへの好奇の視線ではなく、同情の眼差しだ。
「言ってこい、沢田」
先生に許可をもらえば、もう怖くはない。
はい。と頷いて、ツナは席を立った。


「雲雀さん、寒いならもっと服着ればいいじゃないですか」
「言ってるでしょ?あんまり着すぎると動きにくいんだよ」
「はぁ…」
ではこの状態はいいのだろうか。
後ろから抱きつかれてソファーに座っているツナは毎度思うのだが。これはいいらしい。
雲雀が寒がるたび、ツナは専用の湯たんぽになる。
嫌な訳ではない。
むしろ、雲雀にくっつける絶好の機会で、このまま寒いのが終わらなければいいのになんて思ってしまう。
「綱吉が僕を暖めてくれればいいんだよ」
「………」
耳元で聞こえる、殺し文句。
言葉に殺される変わりにツナは、じんわりと体温を一℃あげた。