A Sincere Blessing




※ 最初はラビュで後が神アレとなっております〜。ご注意くださいです〜。
と言っても最初から最後までアホな感じなので、切ないとか全然ないです(笑)




たどたどしくもなんとか英語での会話が出来るようになったのは、四季と言う感覚が薄いイギリスにもようやく夏がくると言う時期だった。
「ユウ!」
聞き慣れた声に振り返ると、やはりラビが輝くような笑顔を浮かべて近付いてくる。
「ラビ」
一人で歩いていた神田は、自分では気付かないうちに笑顔を浮かべていた。
ラビは唯一この教団内で心を許せる相手で、何度も何度も救われている。
今ここに立っていられるのだって、ラビのおかげで他ならない。
後ろ手に何かを持ちつつ、ラビはニコニコといつも以上に上機嫌で神田の前で足を止めた。
「・・・?なんか随分機嫌いいんだな?」
ラビの笑顔を見ていると神田もうきうきしてきて、小首を傾げながら更に笑顔を深めると、その笑顔を見てラビも更にえへーっと目元を緩め、もう一歩近付いた。
なに、と聞こうとしたところで、視界いっぱいにラビの顔が飛び込んでくる。

ちゅっ

可愛らしい音が耳に届く。
そして、唇になにか柔らかい感触。
・・・今のは・・・。
目を見開き、一歩後ろに後退する。
「・・・ら、ら・・・いま・・・」
混乱してうまく口が廻らないでいると、ラビが頬を染めながらまた笑顔で話しかけてくる。
「えへー。ユウのファーストキスもらっちゃった☆」
「!!!」
ラビの口から出た決定的な一言。
キス、と言う言葉に神田は目を大きく見開く。
「でね、今日ってさ・・・」
「・・・う・・・」
うわーん!!
今まで聞いたことがないかもしれない神田の泣き声。
恥も外聞もプライドもなく、神田はラビに背を向けて走り出す。
びゃーびゃーと言うリナリーでも上げないような声がどんどん遠ざかっていくのを呆然と見ていたが、我に返ったラビは慌てて神田の後を追い出した。



神田の行くところなんて決まっていて、拗ねたりするとすぐに庭へとやってくる。
庭にはラビや神田が行けば頭まですっぽりと隠れてしまう薔薇園があり、ひょっこり覗くとやはり神田はそこにいた。
すんすんと鼻をすするのがまだ聞こえ、ラビの中に罪悪感が募っていく。
「・・・・・・」
キス、いけなかったかな・・・やっぱり・・・。
子供通しのことだから、もしかしたら許してくれるかなーと言う気持ちと、はしゃぎすぎてて我を失っていたラビは、今更になって先程のキスのことを後悔しだす。
けれどここで後悔していたって神田の機嫌が直る訳ではないので、意を決して神田の近くへとそろそろと歩いていく。
「・・・ユウ・・・」
膝に顔を埋めていた神田の肩が跳ねる。
向かい合うようにラビは座ると、むずむずと口を動かした後、素直に『ごめん』と口にした。
「ッ」
途端に神田が顔を上げる。
たくさん泣いたのだろう、目元は真っ赤になってしまっている。
「・・・ご、ごめ「謝って許されると思ってるのかよ!!」」
一番泣かしたくない人を泣かしてしまったことにもう一度謝ろうとすると、神田が遮るようにして嗚咽を上げながら怒鳴る。
でもまさかここまで怒るとは思っていなかった。
神田は抱きついたって頬や額ににちゅーしたって怒らず、笑いながら受け入れてくれていたので、きっと唇にしても照れるくらいで許してくれると思ったのに。
「どうしよ・・・っ、どうしよ・・・ッ」
戸惑うようにして神田は震えながらそう呟く。
もしかして、もう他に誰か好きな人がいて、その人にしようと決めていたのだろうか。
それならば自分は何てあさはかなことをしてしまったのだろう!
「ユウ!ホントにごめ「赤ちゃんができちゃう・・・」」
・・・・・・・・・・・・。
ラビは神田に謝ろうと口を開いたところで止まってしまい、辺りに神田の嗚咽が響く。
「―――――・・・え・・・?」
思わずもう一度聞き直してしまう。
きぃっと神田はラビを涙目で睨むと、鼻をすすってまたラビに怒鳴りだす。
「赤ちゃん!できちゃうじゃねぇか!!・・・まだ俺子供なのに・・・え、エクソシストにだってなってないのに・・・!」
べそっと神田の顔が涙で濡れる。
「え・・・えーっと・・・」
ズボンからハンカチを取り出し、そっと神田の顔を拭う。
ラビの手から逃れるように顔をそむけた神田だったが、再びラビが近付くと今度は拒否せずその手を受け入れる。
どうやら完全に嫌われた訳ではないようで安堵し、少しだけ落ち着いた神田を刺激しないように話しかける。
「・・・ユウ・・・ごめんね、どうして赤ちゃんできるのか、教えてくれるさ?」
「・・・なんだよお前・・・そんなこともしらねぇのかよ」
意外だ。と言う様に、きょとんと目を丸くしてラビを見つめてくる。
上目遣いのそれが可愛らしくて、ラビは抱きしめたくなるのを寸でで堪えた。
「赤ちゃんは、・・・・・・き、キスすると出来るんだぞ!」
―――やっぱりか。
照れながらも教えてくれた神田に複雑そうに笑いかけ、また流れてきた涙を拭う。
「どうしよう・・・俺まだ、赤ちゃん生むなんて・・・ッ」
誰がこんなこと教えたんだろう・・・と考えても、心当たりがありすぎて絞れない。
誰にせよ、きっと奥手な日本で育ってきた神田をからかったのだろう。
「ユウ・・・あんね、キスだけじゃ子供はできんさよ・・・?」
からかうには可哀想でラビが真実を話してやると、また顔をくしゃりと歪めて泣こうとしていた神田はハッと顔を上げた。
「ほ、ホントか・・・?!」
「うん。ホントさ」
絶対的な信頼を勝ち取っているラビの言葉を神田は一番に信じてくれているので、今回も誰かの言った嘘よりも自分の方を信じてくれた。
「じゃあ、どうやって出来るんだ?」
「うっ!!」
しかしその一言は不意打ちだった。
思わず笑顔のまま固まってしまう。
どうやって、の部分もちゃんと説明はできる。が、説明したところで神田はわからないだろう(何せその名称を知らない)
1%の確率でラビの説明で理解したとしても、無垢な神田にそんなことを教えたくはない!
「・・・・・・ラビィ・・・」
説明をどうすればいいのか悩んでいると、また不安になってきた神田の目にじわりと涙が浮かぶ。
神田の涙を見たくないラビは、慌ててもう一度深く笑みを作ると、赤ちゃんはね!と話し出す。
「赤ちゃんは、一番好きな人とキスしなきゃ出来ないんさ!!」
・・・苦しい。
咄嗟とは言えとても未来のブックマンの口から出るとは思えない言い訳に自分で突っ込んでしまう。
けれど神田の瞳はラビのその一言を聞いて潤んでくる。
「じゃあやっぱり赤ちゃんできちゃう・・・」
「え、ぇえ?」
また何かとちったのだろうか。
焦って再び言い訳をしようとしたところで、神田が爆弾発言を投下した。
「だって俺、ラビのことが一番好きだもんッ」
っきゅうぅぅぅぅぅううんっっっl!!
当然と言わんばかりのその神田の一言に、ラビの萌えときめきゲージが振り切れてしまう。
「ああぁぁんもうユウってばかわいすぎさー!!」
堪えきれずにぎゅうーっと神田を抱きしめてしまう。
いきなり抱きしめられた神田は驚いて眼をパチクリさせたものの、すぐにラビをぎゅうっと抱きしめて頬を寄せる。
「ユウはオレのこと一番好きでいてくれるんさね!嬉しすぎさ〜!」
「・・・でも・・・あかちゃんが・・・」
「そ、れならだいじょぶさ!すぐにキスし終わっちゃったからさ!たっくさんキスしないとできないんさよ!」
もう一つ苦しい言い訳をすると、神田はまたホントか?と聞いてくる。
ホントだよ。と返してやると、神田はようやく心から安心したように笑顔を浮かべた。
今度こそ大丈夫だとラビは身体を少し離すと、こつりと額をあわせて至近距離で黒曜石の瞳を覗きこむ。
「いきなりちゅーしちゃって、ゴメンな?」
「ううん・・・俺も取り乱しちゃって、ゴメン。・・・でも、ラビが嫌いな訳じゃないぞ?」
それはさっきよ〜〜〜くわかったラビは、にへーっと顔を崩しながらも、うん。と頷く。
「あ・・・そうそう。ユウに渡したいのがあるんさ」
ラビは神田から身体を離すと、先程後ろ手に持っていたカラフルなフィルムで包まれたプレゼントを神田に渡した。
「お誕生日おめでとうさ!ユウ!」
「・・・ぇ・・・?」
いきなり言われた言葉に、また神田の目がまるくなる。
どうやら自分の誕生日を忘れてしまっていたようで、くすくすと笑いながらプレゼントを持って呆然としている神田を見る。
「ユウ、自分の誕生日忘れちゃってた?」
聞くと、素直にこくりと頷く。
しかし無理もないだろう。
毎日毎日することは山のようにあり、カレンダーを見る暇もなければ時間の感覚がなくなってしまうことがラビにもある。
ラビ以上に覚えることがある神田なら尚更だろう。
驚いていた顔は、またふわりと笑う。
可愛らしいその反応に、嬉しくなる。
ぎゅっと胸に抱きしめると、神田は頬を薔薇色に染めて満面の笑顔を浮かべてくれた。
「ありがとう、ラビ・・・すごい嬉しい」
こちらこそ。
心の中で呟いて、ラビはそっと頬に唇を落とした。


□■□


「ってなことがあったんさよ〜〜〜」
昔話と言う名の自慢話を終えると、キラキラと輝いた目で聞いていたリナリーは小さく噴出した。
「いやーん神田ってばかわいい〜vvv」
「も、すんげぇかわいかったんさよ〜〜〜〜!!」
否定も何もしないラビ。
そこへナイスタイミングで神田が談話室へと入ってきた。
「あ、神田〜☆」
リナリーが呼ぶと、神田は眉をしかめつつも律儀に近付いてきてくれる。
ラビではこうはいかない。
いかに神田がリナリーに弱いかがよくわかる一連だ。
「ンだよ・・・」
ぶすっと不機嫌な声を出すと、くすくす笑いながら話しかける。
「ねぇねぇ神田ってぇ・・・キスで赤ちゃんできちゃうと思ってたんだね〜」
何のことを言っているんだと神田は不思議そうな顔になり、段々とその言葉と過去の記憶が繋がってきたのか、顔を紅く染めてギィッとラビを睨む。
「ラビ・・・てんめぇえぇええ!!」
「あはははユウちゃんてば・・・ぐーるーじ〜〜〜〜」
ニヤニヤと笑うラビの表情が、神田が本気で首を絞めている為に青くなっていく。
リナリーにいたっては『もう、照れちゃってv』とつんつん頬をつついてくる。
その手をやんわりと防ぎ、ちっと神田はきまずそうに舌打ちをして腕を組んだ。
「・・・あん時は何も知らねぇガキだったんだよ・・・ッ」
「子供だからってねー・・・でもかわいい〜vね、アレンくんv」
そうですね!と言う答えを期待していたリナリーだったが、アレンはきょとんとした顔でリナリーを見上げてくる。
「キスで赤ちゃんはできないんですか?」
・・・・・・・・・・・・。
ピシリと空間が凍る。
・・・この子はキスを日常茶飯事にするイギリス人ではなかっただろうか。
大体においてあの常春元帥の元にいてその発言をするなんて。
神田、ラビ、リナリーは目配せをし、恐る恐るアレンに話しかける。
「ア、アレーン?それは誰に聞いたのかな☆」
「マナが言ってました。唇にキスされちゃうと子供できちゃうよって。でもマナだけは別だからいいんだよって」
(あの親父・・・ッ)
ぎりぎりと神田は歯を噛み締める。
いつまでたってもマナ離れできないアレンをゆっくり待っているというのに、あの親バカを超えた馬鹿は!!と心の中で愚痴る。
「・・・げ、元帥は愛人さんたちとキス・・・(とか)してなかったの?」
「『俺は特別なんだ』って言ってました」
師匠だから、ああそうなんだなーって思って。
納得されるのもどうかと思うが、クロスなのでやはり仕方ないだろう。
とりあえず親バカを超えた馬鹿とダメダメ師匠は横に置いておくとして、このピュアっ子をどうしようと悶々と考える。
アレンは白いままでいて欲しいと言うのが素直な感想ではあるのだが、これから『そういうこと』を行っていきたい神田としてみればこのラインはとても微妙だ。
どうするべきかと神田が迷っていると、アレンは椅子から立ち上がって神田に抱きついてきた。
「えへへへへー」
突然抱きついてきたのに驚きつつも反射的にその華奢な身体を抱きしめてしまう。
「・・・モヤシ・・・?」
「子供できちゃったらどうしようって思ってたんですけど・・・」
え、と思う間もなく、神田の首に手を回して少しだけ前かがみにすると、ちゅっと触れるだけのキスを落とした。
「モヤ・・・ッ」
「キスできて嬉しいですv」
照れたように笑うアレンの行動に神田は驚いたものの、今まで触れることができなかった唇の感触を思い出して頬を染める。
「・・・・・・」
ちゅっ
今度は、もう少し長く触れる神田からのキス。
アレンはそれを爪先立ちで受け止め、また嬉しそうに笑う。
「でも僕、神田との子供なら生んでもいいです。・・・って言うか、生みたいです」
「モヤシ・・・」
「・・・って言うか、男は子供できないさよ・・・?」
根本的な問題を、この二人は忘れている。
「・・・でもそのセリフは、ちっちゃい時、神田にプロポーズしまくってたラビが言っても説得力皆無よ・・・?」
すっかり周りが見えないくらいにラブラブモードになった二人を、ラビとリナリーは呆れた目で見ていたが、あ。と思い出したようにリナリーは手をポンと打って神田を呼ぶ。
「そうそう!神田の誕生会の準備できたから、みんなを呼びに来てたんだっけ」
アレンとのラブラブを邪魔された神田は、ちっと舌打ちをしてめんどくせー・・・と呟く。
「何言ってるのよー!せっかくみんなが準備してくれたんだよ?主役がでなくてどうするの!」
「そうさよーユウ。・・・それでも嫌って言うのなら、もうひとつユウの聞かれたら悶絶死しちゃうようなお話しちゃうさよ?」
「行くぞモヤシ」
ラビの脅しとは思えないその言葉に、神田はすぐにアレンの腕を引いて扉へと向かう。
「え、あ、ちょ・・・神田早いですって!」
二人の笑い声を背に、ぐいぐいと引っ張る神田の顔をチラリと見ると、耳まで真っ赤になってしまっている。
「・・・・・・」
かわいいな。
いつもかっこいいと思ってみている神田をそう言うように見えたアレンは、また隠しきれない笑みを浮かべる。
「かんだ。かんだ」
ぎゅうっと腕に抱きついてその名前を呼ぶと、ちらりと神田が視線をくれた。
もう一度不意打ちでその唇にキスをすると、ずっととっておいた一言を口に乗せる。


「Happy birthday!My Lover!!Thank you for being born!」



☆END☆


コメント

せっかくの誕生日なのにお祝いできないなんて!と嘆いていたら、神様が降臨してくれたので書けました(笑)
いきなりピーンときましたよー!長さもさほどだったので、二、三時間集中してたら一気にできちゃった☆
ケーキは実際に買って食べたお祝いケーキ。
私注文。
「お名前はカタカナで『ユウくん』でお願いします☆」
・・・たん付けはさすがにできませんでした・・・☆(いっぺん神田に殴られてこい☆)