あまいあまいあさ

それはとってもあまぁいの。
したにのせるとすぐにとろけちゃうのに、ずっとずっとのこってる。
チョコじゃない。
あめでもない。
それはね、それはね。
じぶんのいちばんたいせつなひとからのあいなの。

「・・・たくや・・・」
スヤスヤ気持ちよく寝ていたら、大好きな声がふってきた。
「・・・う〜・・・」
でも今はあったかい布団に包まれて居たくって、眉を寄せてそれを突っぱねる。
それでも声の主は諦めずに拓也の名を呼ぶ。
「たく。あさだよ。た〜く」
ゆさゆさと揺さぶられて、ひとつとっても大切な事を拓也は思い出した。
バッと起きると、寝起きでボサボサの自分とは違い、輝二はもうしっかり身支度を整えていた。
「・・・やぁ〜〜〜・・・こうじ、あさはいっしょにおきるっていったのに・・・」
起きたてという事もあり機嫌の悪い拓也は、そのままベソをかく。
輝二は焦りつつも、拓也を慰めに入る。
「だ、だってもう8じだよ?かあさんたちもごはんつくってまってるし・・・」
「だったら、こうがおきるときにおこしてくれればよかったじゃん!」
キッと涙目で睨むと、輝二はうっと言葉を詰まらせた。
「なぁ〜に言ってんだ。輝二は大声で何度も拓也の事起こしてたぞ」
輝二の助け舟を出すように、その後ろから呆れた声で太一が代弁してやる。
「それで起きなかった拓が悪い。・・・ほら、いつまでもむくれてないで着替えて来い」
「・・・はぁ〜い・・・」
口で、輝二に勝てても母親には勝てない(父親には時と場合によって五分五分)
自分が悪い事も承知なので、拓也はしぶしぶ温かい布団から抜け出た。
「〜〜〜〜っ!さむい!」
拓也にすかさず輝二が服を渡してやる。
それに急いで着替えると、薄手のパジャマよりも幾分もマシになった。
「さ。かおあらいにいこ?」
「・・・みずつめたい・・・」
「おれもいっしょにあらってあげるから。ね?」
「うん!」
拓也は笑顔になって、輝二の手を取った。
「なぁなぁ。まだよーちえんはやすみなんだよな?」
「そうだよ」
洗面台に来て、拓也は専用の椅子を出してくる。
『使う人が出して、使った人がしまう事』
太一からいつも言われている、石田家の教訓のようなものだ。
洗面台まで出してきて、ようやく手が届く。
精一杯背伸びしてじゃくちを開き、えーい!と勢いをつけて水に手を浸す。
バシャバシャと数回顔を洗い、蛇口を閉め、椅子を降りると輝二がタオルを渡してくれた。
タオルはふかふかしていて、水ですっかり冷たくなった拓也の顔をあっためてくれた。
「ふぃ。さんきゅ」
タオルも椅子もしっかり自分で戻して、今度はもう一度自分たちの部屋に戻る。
拓也が座ると、輝二がブラシで髪を梳かしてくれる。
「きょうはどんなかみがた?」
「こうじとおそろいがいい〜」
拓也は悩みもせずそう答えた。
「・・・でもたくやのかみはみじかいから、ピンでとめないと・・・」
「え〜?ピンつかわないとダメなの?」
「じゃないとよこのかみがむすべないから・・・」
輝二に言われると、う〜・・・と拓也は考え始めた。
「・・・じゃ、いつものでいいや」
「わかった〜」
輝二は器用に分け目を作ると、可愛らしいゴムで拓也の髪を二つに結った。
「いたい?」
「へいき!」
もともと頭を撫でられたり髪をいじられたりするのが大好きな拓也は、こうやって輝二に髪を触ってもらうのが特に好きだ。
朝の仕度で一番好きな準備だ。
ちなみに拓也の今日の服は、中にシャツを着て、上はセーターのようなワンピースを着ている(もちろんスパッツも穿いて)
ワンピースには帽子がついていて、かぶるとネコのようになる。
輝二は普通のトレーナーだ。
「・・・できた!」
「じゃ、ごはんだー!!」
立ち上がると、結われたばかりの髪がピョコピョコと揺れる。
輝二と手を繋いでリビングまで行く。
「はい。じゃ、改めておはよ」
「かーさんおはよー!」
「おはよう」
ヤマトはもう番組の収録で局に行ってしまっている。
それを聞いて拓也はシュンとしたが、用意してあった朝ごはんのホットケーキがヤマトが準備したものだと聞いて、また喜んだ。
「こうじ。こうじ」
呼ばれて振り向くと、満面の笑みと共に、拓也のフォークに刺さった、メープルシロップとバターがたっぷりと乗ったホットケーキが刺さっていた。
「あーんv」
言われて、反射的に口を開けると、拓也が嬉しそうにホットケーキを輝二の口の中に入れた。
「おいしい?」
「うん」
今度は輝二が食べやすい大きさにホットケーキを切って、拓也の眼の前に出す。
「あーん」
「あ〜んv」
拓也は嬉しそうにうっとりとしながらホットケーキを味わう。
それを見て、太一が苦笑。
「お前ら、そんなんどこで覚えて来るんだよ」
「え〜?だってまえにかーさんととーさんがおさけのみながらやってたじゃん」
「えっ!?」
「おやすみのちゅーもしてた」
「・・・まさか最近お前らが寝る前にちゅーするのは・・・!」
『え?だってあいさつなんでしょ?』
声を合わせて、純粋にキョトンと聞かれると簡単に否定できない。
「・・・まぁまだ小さい時はいいか・・・」
自分たちもやってるだし。と心の中でもう一呟き。

「こうじ〜v」
先に食べ終わった輝二がソファーでテレビを見ていると、拓也が後ろから抱き付いてきた。
テレビから拓也に視線を移し、輝二も拓也を抱きしめ返す。
「きょうはなにしてあそぶ?」
「んとね。きょうはこうじにずっとひっつきむし☆」
要するに、一日中輝二とベタベタしたいらしい。
願っても無い拓也からの言葉が嬉しくって、輝二はそのまま拓也を抱きしめる手にさらに力を加える。
「こ〜うはたくの♪た〜くはこうの♪」
嬉しそうに拓也は歌い始める。
「こうはあまいあまぁ〜い、たくのすきなひとv」



☆END☆


コメント

珍しく(?)たっくんが輝二をだ〜いすきな小説です(笑背つっつか散乱文に近い気が(汗))
いっきなり甘いのが書きたくなって、衝動的に書いて見ました(笑)
こういう、ただ甘いだけの小説も結構好きですv
輝二はただ幸せなだけー(大笑)