大切な言葉と守るべき存在

キミを守りたい。
その気持ちは変わる事無く、今の自分の心にも生き続けている。

「馬鹿野郎!だから、何でそういう考えになるんだよ!!」
「そういう事だろ!太一が言いたい事は!」
「っざけんなっ!!もーヤマトなんて知しらねェっ!!」
「なんだとっ!」
「じゃーなっ!あばよ!!」
バタンッ!!
「・・・で、拓也くんを連れて出てきたのね・・・」
空は呆れた口調で聞き、溜め息をはく。
腕を引かれ、強引に連れて来られた拓也は、グスグスとベソをかいている。
激しい夫婦喧嘩を目の辺りにし、いきなり輝二と離されたのだから当然だ。
拓也は太一に抱きつき、顔を埋めている。
「まったく〜!最近・・・拓也くんたちが来てからは大きなケンカしてなかったから安心してたのに・・・」
空が呆れるように言えば、太一は唇を尖らせる。
「ま、ケンカはしょうがないけど、拓也くんたちを巻き込むのは良くないね」
丈がお茶を出しながら、優しく叱る。
「・・・だって・・・ヤマトがワリィんだぜ!」

「太一には昔からデリカシーってもんが足りないんだ!」
同じ時刻、ヤマトはやはり高石家にお邪魔し、先程のケンカのグチを零していた。
泣いてはいないものの、やはり輝二も意気消沈している。
久々の夫婦喧嘩に、タケルとヒカリは顔を見合わせて苦笑する。
前にこの夫婦は、拓也と輝二のケンカにも巻き込まれた事がある。
いつもこの家族のケンカの犠牲になるのは、空かタケル・・・城戸家か高石家だ。
「で、原因は何なの?」
するとヤマトは、良くぞ聞いてくれた!とばかりに更にテンションを高くする。

もうすぐ拓也と輝二の通う幼稚園のお遊戯会がある。
それを楽しみにしていたヤマトだったが、運悪く、その日にどうしても外せない収録が入ってしまったのだ。
落ち込むヤマトに、太一がこう言ったのだ。

「『オレがお前の分も楽しんできてやるよ』だぜ!?」
信じられねェと、ヤマトは更に腹を立てる。
「まるでそれじゃ、俺に対しての自慢じゃねェか!」

「なんでそれで腹立てるのか、オレには全然わっかんねぇよ!
オレは慰めてやったのに・・・!!」
ムカツク〜〜〜!!と、太一は更に怒りを増大させる。

そして空とタケルは、同時に溜め息をはき
『バカらしい』
と、同じセリフを呟いた。

そのセリフに、もちろんヤマトと太一は納得が行かない。
「何でだよ!何がバカらしいんだよ!」
「タケルまで俺をバカにするのか!?」

『そうじゃなくて・・・』
二人はやはり同じセリフを呟く。

『大切なのは、自分の気持ちだけじゃないでしょ?』

言われ、太一とヤマトは眉を寄せる。
言われてる事がわからないのだ。

『拓也くんと輝二くんが居なかった時とは、違うんだからね?』

言われ、二人はハッとし、腕の中に居るいとし子を見つめる。

「自分の意見を持つ事も、それをしっかり発言する事もとっても大切だわ」

「でも、それ以上に、自分の大切な人たちを傷つけちゃダメだよ」

特に、拓也と輝二は両親に捨てられ、一度孤児になってしまっている。
・・・守ってやりたいと思う、大事な大事な存在なのに・・・。

「拓也・・・」

「輝二・・・」

名を呼べば、二人はそれぞれ親を見る。
・・・大切な、愛すべき存在。
それは、互いも一緒で・・・。

「その言葉をどう取るかはその人次第だよ」
「でも、発する人も、相手がどう取ってしまうか、考えなきゃいけないわ」
特に、太一とヤマトは10年近く一緒に居るのだから。

一瞬二人は考えガタッと席を立ち上がる。

「悪い、オレ帰る!」

「ゴメン、俺帰るから!」

ドタバタとした客人を見送り、先程よりも暖かい、溜め息。

『まったく・・・』

守るべき、存在。

何よりも。

誰よりも。

守らなくてはいけない、存在。

拓也と輝二を抱えて走った太一とヤマトは、ちょうど家の前でばったりと出逢った。
「―――――っ」
乱れた息を整えつつ、言葉を捜す。

「こーじ!」

「たくっ!」

その、幼い声が再び勇気をくれる。

・・・でも、結局は行き着く『言葉』

「ヤマトッ!」

「太一っ!」

その、先に続く、言葉は―――――



☆END☆


コメント

ちょっと今回はいつもとは違う書き方でやってみました☆
同時進行ってやつです(笑)
ヤマトと太一はあれです。
『ケンカするほど仲が良い』の典型だと思います(笑)
しかし哀れなのはその犠牲になる方々。
何故か私の場合、太一の相談役は空になってしまいます(笑)
ヤマトは丈なんですが、今は空さんといっしょになっているのでタケルという事なんですよ。