家族になった日。

結婚して数ヶ月。
ヤマトと結婚して、太一と結婚して。
10年以上の想いの末、ようやく日本の法律も改正され、男同士の結婚も認められた。
親や親友たちにも祝福してくれて、順風満帆な日々。
・・・だが、太一とヤマトには密かな悩みがあった。
それは、子供の事。
ヤマトが音楽活動で、なかなか家に帰れないため、太一が寂しい思いをしている事もあるが、やはり元気な子供が居た方がいいと、2人は思う。
太一がセックスの上では女役をやってはいるが、身体はやはり男。
子供が出来るはずも無い。
・・・そこで2人は養子をもらう事にした。

「・・・うわー・・・結構いるもんだなぁ・・・」
養護施設に来た太一達は、予想外にたくさん居る子供達に唖然とした。
施設長に通された部屋には、二十数人の子が、好き好きに遊びまわっていた。
「どうぞ遊んでやってくださいね」
柔和な笑みを浮かべ、施設長は子供に手を引かれて自分も遊びに加わる。
子供達が、遠巻きにこちらを見てくる。
遊んでくれるの?そんな感じの視線だ。
太一とヤマトは苦笑を浮かべ、その子供達の輪の中に入っていった。
「とりあえず、オレは元気な子がいいなぁ」
「俺は、女の子が・・・」
「そうだよな!なんたって、もう家にたっくさん服届いているもんなっ!!」
太一は睨むようにヤマトを見る。
ヤマトは太一と視線を合わせないようにソッポを向き、子供と戯れ始める。
『子供にするなら、絶対女の子がいい』
と言っていたヤマトは、この日の為に、何着も洋服を買って、宅急便で送っていたのだ。
それを見つけた太一は、怒る前に呆れて言葉も出なかった。
「さて、と・・・」
太一は、自分の方へ寄って来た子供たちの方へ歩き出した。
動いた太一に、子供たちは少しだけたじろいだか、やはりそこは太一。
ニコリと笑顔を見せると、子供たちの顔が輝きだし、わーっと寄って来た。
「ははっみんな元気っ子だな〜!」

ヤマトの周りには女の子が多い。
さすがにちょっと苦笑を浮かべていると、ふっと目に飛び込んできた子が居る。
可愛いチェックのワンピースを着て、髪を二つに結っている。
フワフワの茶色い髪の毛は、誰かさんを思い出す。
その場を立ち上がり、その女の子の元へ向かう。
ヤマトに気付いたのか、こちらを見上げてくる。
「こんにちは」
ヤマトが出来るだけ優しく言うと、その子も、には〜っと笑って、返事をしてくれる。
「にちはっ!」
座り、その子と目線をあわせる。
「えと、キミの名前は」
何ていうのかな。と続けようとすると、その子がヤマトの視界から消えた。
いや、正確には、誰かにその子をヤマトから遠ざけられたのである。
「・・・・・・」
驚いて、その子を直視していると、その子が真正面から睨んできた。
「こーじ〜」
『こーじ』と呼んだ子は、『こーじ』に抱きかかえられている。
「え・・・えと・・・」
「はははっ!なにこいつ〜」
と、盛大な爆笑が聞こえてきた。
と、『こーじ』の後ろから、太一が腹を抱えてやってきた。
そうして、『こーじ』の頭をやや乱暴に撫でてやる。
それでも『こーじ』は、ヤマトを睨んでいる。
さすがのヤマトも怯え、たじろいている。
『こーじ』とヤマトの間に太一が入り込む。
ヤマトの姿が見えなくなると、『こーじ』の顔が和らいだ。
「よっ。こんにちは」
「・・・こんにちは・・・」
語尾に近づくにつれ、小さくなっていく『こーじ』の声とは裏腹に、今だ掴まれている女の子からは、元気な声が返ってきた。
「お前の名前、オレに教えてくれるか?」
「・・・こうじ・・・」
「こうじ?こうじって言うのか?」
コクリとこうじが頷き、肯定する。
「あらあら。輝二くんがしゃべったわ」
と、ヤマトの後ろから、施設長が現れた。
丸い頬に笑みを浮かべている。
「輝二くんはどうも無口で、あまり輪に溶け込もうとはしないんですけど、たっくんの事になると別で・・・」
『たっくん?』
太一とヤマトが見事にハモリ、施設長に尋ねる。
施設長はにっこりと微笑んだ後、輝二が抱えている子を指差した。
「・・・たっくん?」
ヤマトが女の子に尋ねる。
「うんっ!たくやだよっ!いまね、5さい!」
と、ヤマトが崩れ落ちる。
「え・・・えと・・・?」
太一も首を捻る。
『たくや』というのは、普通男の子につける名前だ。
だが、この子の外見はどう見ても・・・。
「ああ、この恰好ですか?これはさっきまでやってた罰ゲームなんですよ〜」
「・・・女装・・・?」
「女装なんです〜。・・・さ、拓也くん、着替えてらっしゃい」
「はーいっ!」
その、どう見ても女の子な拓也は、輝二の腕をすり抜けて、部屋を抜けていく。
その後を、輝二が追う。
「・・・お・・・男の子・・・」
まだショックが抜けないのはヤマトだ。
「なんだよヤマト。あの子気に入ってたのか?」
コクリとヤマトが頷く。
「そっか〜・・・オレはあの、輝二って子が気に入ったなぁ」
バッとヤマトが顔を上げる。
「あの二人、オレは好きだなぁ」
どう思う?と言う感じで、ヤマトに聞いてくる。
「・・・俺は、拓也が気に入ったし・・・・・・まぁ輝二とは何とかするよ。拓也を守ってくれそうだし。その点ではいいんじゃないか?」
「じゃ、決定って事で?」
「ああ」
ヤマトが笑みを浮かべる。
と、そこに着替えを終えた拓也と輝二が走ってきた。
服を着替えても、やっぱり女の子みたいだ・・・と太一もヤマトも思う。
「こーじ。拓也〜」
太一が呼ぶと、タックルをかませる勢いで拓也が太一に抱きついてきた。
ムッとした輝二だが、その輝二も、太一に引っ張られ、同じ腕の中に居る。
「なぁ二人とも。二人で、オレたちの子にならないか?」
何かのゲームを誘うかのように、太一が聞いてくる。
「こ?」
「そ。家族にならないかって事」
ヤマトが付け加えると、先に顔を輝かせたのは拓也だった。
「なりたい!」
と、今度はヤマトに抱きつく。
すると、太一とは違い、容赦無く輝二が太一の腕の中から睨んでくる。
「輝二は?」
太一が覗き込むと、輝二は下を向いた。
・・・まぁ当然かと、太一とヤマトは思う。
いきなり現れた奴等に『家族にならないか』といわれ、なおかつ大事な拓也は『家族になりたい』と言っているのだ。
悩むのは、それは当然だ。
「な、こうじもいっしょにかぞくになろう?」
拓也がヤマトの腕から身を乗り出し、輝二を見つめる。
輝二は、即答した。

それから何回か会いに来て、書類も審査も済ませ、正式に拓也と輝二を引き取る事になった。
「あー・・・なんか緊張するなぁ・・・」
施設まできて、太一は深呼吸をする。
「なんだよ今さら」
ヤマトはそんな太一を見て、苦笑を浮かべる。
「だってさぁ・・・いざとなってさ、『イヤ』なんて言われたら、オレぜってぇ立ち直れねぇって」
そうして、もう一度太一が溜め息をつこうとした時、施設の扉が元気良く開いた。
中から出てきたのは、ヒマワリみたいな笑顔を浮かべた拓也だった。
それから、輝二と、さらに後ろに施設長。
「よう拓也」
拓也は真っ先にヤマトの方へ抱きついていった。
もちろん、輝二の眼光が鋭くなる。
「二人とも、ずっと石田さんたち来るの待ってたんですよ〜」
施設長が、いつもと変わらない笑顔を浮かべる。
「おれね、ずっと楽しみにしてたんだぜ?」
小首をかしげながら、拓也はヤマトにしがみつく。
「輝二も待っててくれたのか?」
太一が輝二を抱え上げると、輝二はいきなりの浮遊感に、ビックリした表情を浮かべた後、照れたように頷いた。
「そっか」
それに、太一も安心したのか、輝二を思いっきり抱きしめる。
二人を抱えた太一とヤマトは、施設長に向かい合う。
「それじゃ、失礼します」
「いろいろとありがとうございました」
二人で頭を下げると、施設長はいえいえ。と、首をふる。
「こちらこそ。あなたたちに遊んでもらえて、子供たちも喜んでくれて嬉しかったわ」
「また、拓也たちと一緒に来てもよろしいでしょうか?」
太一が聞くと、施設長は満面の笑みを浮かべ、『大歓迎よ』と頷いた。

ヤマトは一応売れっ子のバンドマンだ。
太一も、暇があれば小学校や草サッカーの講師をしていたり、今だサッカークラブからスカウトが来る。
太一にもヤマトにも収入があるので、若いながらも二人は一軒家を持っている。
しかも、かなりでかい。
「これがオレたちのいえ?」
拓也が、ヤマトに抱きついて聞いてくる。
施設よりはたしかに小さいが、一人が使える面積は、施設よりも全然広い。
輝二さえも、『すげぇ・・・』ともらしている。
「これからオレたちが、お前の父親と母親だからな」
「・・・とーさん?」
拓也がヤマトを見上げる。
「・・・かあさん・・・?」
輝二が太一を見つめる。
「そ。よろしくな♪」
拓也はいつものように顔を輝かせる。
輝二も、照れながらも太一の服を掴んだ。
4人は手を繋ぎながら、あったかい家に入っていった。
石田ファミリーは、こうして4人になりましたv

・・・余談をすると、すっかり買い溜めしていた服の事を思い出し、しばらくは女装を嫌がらない拓也に来てもらう事になったとか。



☆END☆


コメント

記念すべき第1話〜(笑)
文体バラバラって自分でもわかってます・・・わかってますけどまとめようが!!(最低)
ホントはマイ設定拓也は強気のにいちゃん気質なのですが、5歳児で、輝二よりも何ヶ月か年下(という設定)なので、甘えたさんに〜(笑)
服は女装ギリギリラインで書いて(描いて)いきますのでお楽しみに☆(してない)