Mile Stone 4

「た〜くやっ♪」
声がしたと思ったら、振り返る間も無く背後から抱きつかれた。
「こっ輝一さまっ!」
「うん。おはよv」
「お、おはようございます」
反射的に挨拶を返すと、輝一がぎゅうっと抱きしめてきた。 掃除をしていた拓也はどうしていいのかわからず、ぎゅっとホウキの柄を持ったまま硬直してしまう。
そんな、毎日何度もやられているスキンシップにもなれずに固まっている拓也が本当に可愛くて、さらに輝一はイタズラをしたくなる。
「拓也・・・」
「はい?」
少し腕の力を緩めて名前を呼べば、拓也は素直に振り返ってくれる。
そして、その無防備な唇にいきなりのキスを落とした。
「んっ!」
突然な事に、驚いて逃げ出そうとするが、一瞬早く輝一が拓也の腰を抱き、引き寄せてしまう。
「・・・んー――っ」
輝一の舌が、必死に食いしばっている拓也の唇や歯列を舐めてくる。
それでも、息継ぎさえまともに出来ない拓也が、そう対抗できるはずも無く・・・。
ふっと力を緩めてしまい、舌の侵入を許してしまう。
「ふぁ・・・ん・・・」
わざと舌と唾液の混ざる水音を立てて、唇をむさぼる。
足腰が立たなくなってきたのか、拓也は持っているホウキに必死で身を安定させようとしがみつく。
(・・・かわいい・・・)
輝一は目を開いてキスをし、拓也の顔を観察する。
間近にある羞恥に顔を真っ赤に染めた拓也を見て思い、クスリと口の端を持ち上げて笑う。
・・・そこへ
「拓也、すまないが・・・」
輝二が入ってきた。
と言うか、元々輝二の部屋なので、別におかしい訳ではないのだが、その視覚が捕らえたものが
「輝一!!」
激昂し、持っていた書類を放り投げて二人の方へズカズカ歩いていく。
輝二に気付いた拓也がまた暴れ出したので、輝一はもう一度拓也をぎゅっと抱きしめた後、渋々拓也を解放してやる。
「拓也っ!」
離れたところを、輝二がすかさず抱きしめる。
拓也は輝二の胸に顔を埋め、グズグズと泣き始める。
「・・・そんなに泣かれるとさすがに傷付くなぁ・・・俺とのキスは嫌?」
「だ、だって・・・・輝一さま、いつも突然だから・・・」
輝一がするのが嫌な訳ではない。
ただ、こういう行為にただでさえ慣れていない拓也には、突然の、しかも深いキスなんて驚いて抵抗してしまうのだ。
「じゃ、別に嫌なんじゃないんだね?」
「・・・・・・」
やや間を置き、迷って拓也はコクリと頷いた。
「―――そっかそっか♪」
じゃあ改めて・・・とばかりに寄って来た輝一に蹴りを入れ、輝二はまだ泣いている拓也をあやす。
「大丈夫か?拓也・・・」
「・・・はい・・・ずびまぜん・・・」
ズッと鼻を啜り、輝二から身を離す。
眼に浮かんだ涙を拭おうとする拓也の手を輝二がやんわりと握る。
キョトンと拓也が上を見上げると、輝二が流れた涙の後を舌で拭ってくれる。
「こっ・・・」
開きかけた口を啄ばむようなキスで封じてしまう。
少し唇を離し、驚いた顔をしている拓也に至近距離で囁く。
「消毒だ」
「・・・・・・?」
輝二の言っている意味が判らなかったが(輝一が後ろで『ひどっ』と呟いているが輝二は無視)輝一とは違う、ゆったりとした甘いキスを、拓也は享受する。
「ん・・・・・・」
そのままウットリと受け入れている。と
「はーいはいはい。そーこーまーでー」
いきなり輝一が拓也と輝二の間に入ってきた。
輝一の事を軽く忘れていた拓也は、あっ!とまた赤面し、輝二は行為を中断されて舌打ちをした。
も〜と頬を膨らませる輝一は、すぐにアッと思い出した表情をする。
「そうそう。俺、拓也に別の用があって来たんだっけ」
輝一が拓也に来るように手招きしたので、拓也はそちらの方に向かった。
「はい、何でしょう」
「はい、これ」
輝一が出してきた箱を、拓也は反射的に受け取ってしまう。
「・・・これ・・・」
「ま、何か言う前に着てみて着てみて☆」
「・・・はぁ・・・」
「何かいやらしいもんじゃないだろうな」
「まさか。輝二じゃあるまいし」
「なんだとっ」
輝一と輝二が一触即発な雰囲気をかもち出しているので、拓也はどうしていいのかわからない。
そんな拓也を見て、輝一が例の人懐っこい笑みを浮かべる。
「ホントに大丈夫だからさ。ね?」
「は、はい。では、失礼して・・・」
拓也は二人に一礼し、踵を返して隣りの部屋・・・拓也が貸してもらっている輝二の一室へと入っていった。

輝二が心配そうにする中、しばらくすると拓也が恥ずかしそうに扉から出てきた。
「あ、あの・・・これって・・・」
拓也の姿を見つけ、輝一は満足そうに微笑み、輝二は驚いて目を見開いた。
「うん!かわいいかわいい!!」
輝一が持ってきたのは、源家が使っているメイド服ではなく、もっとフリフリレースのついた、可愛らしいものだった。
腕の、裾のところにもリボンがついているのだが、拓也一人では結べなかったらしく、ほのけているので、輝一が結んでやった。
ついでに頬チューをして。
「輝一!」
見逃さす、輝二が咎める。
が、今度は輝一がソレを無視し、拓也に語り掛ける。
「どう?気に入ってくれた?」
輝一の言葉に、拓也がモジモジしながら頷く。
「わ、私こんなふうに服貰った事なかったので・・・すごく嬉しいです」
ありがとうございます、と言い拓也が笑うと、輝一が本気でドキっとした。
ピラピラとする裾を動いて見てみたり、レースを触ったりして、輝二の前に立つ。
「えと、これからこの服を着てもよろしいですか?」
上目遣いで聞いてくる拓也が本当に可愛らしい。
「ああ、いいよ。・・・可愛いな」
そう言い、輝一がした方とは別の頬に、輝二もキスを落とす。
それに照れつつ、拓也は、あっと思い出す。
「そう言えばさっき、何か言いかけたようでしたが・・・」
「・・・あ!」
拓也に言われて輝二も思い出した。
「そうだった。ちょっと資料の用紙とかいろいろ必要になったから、ちょっと街に下りて来ようと思ってな」
「そんなの、執事たちに任せればいいのに」
輝一が言うと、輝二が嫌味でなくフッと笑う。
「ちょっと気分転換も兼ねてな」
「そっか。輝二の方の資料はまだ完成してないんだ。・・・大変だなぁ」
「ああ・・・ちょっと難しくてな・・・」
そういい、輝二はコートを手に取ろうとする。
今日は特に寒く、最近コートは必需品だ。
「あ、それなら私が行ってきますよ」
輝一から貰ったメイド服が気に入り、ずっと見ていた拓也が、はいっと手を上げた。
それに驚いたように二人が拓也を見る。
「外の事なら、多分私の方が道とかわかると思いますし・・・。
輝二さまはお部屋でゆっくりしててください」
にっこり笑顔で言われてしまえば、断れない。
輝二が迷っていると、輝一が良い案を思いついたように寄って来た。
「それならさ、3人で行こうよ。久々に街を歩いてさ♪」
ね?と輝一が言うと、拓也は期待の眼差しを込めて輝二を見る。
拓也は家が裕福ではないので、家族や仲間と買い物などした事が無いのだ。
しかも、その買い物相手が大好きな主たちなら尚更してみたい。
輝二は、どうせ行くなら拓也と二人が良かったが、そういうと拓也も今は輝一の味方をしそうなので、今回は素直にわかった。と拓也に答える。
「じゃ、3人で行こうな」
言えば、拓也は嬉しそうに笑う。
それだけで輝二は嬉しくって、拓也の頬を手で触れる。
擦り寄ってきたので、もう少し・・・と思ったところで、また輝一の邪魔が入った。
「じゃ、早いトコ支度してこなきゃね♪」
ほらほら。と急かすので、輝二は渋々、改めて身支度を始める。
輝一も自室に戻り、防寒具を取りに行く。
二人が身支度を追え、輝二が拓也の方を振り向くのと、輝一が輝二の部屋に入ってくるのと同時に進行し、疑問もまた一緒に気付いた。
『拓也・・・?』
「はい」
ハモった二人の声に、ご機嫌な拓也は笑顔で答える。
『・・・なんで何にも仕度してないんだ?』
「え?」
言われて、拓也はキョトンとした表情をする。
外はかなり寒い。
それをメイド服だけで出て行くと言うのはかなりの度胸と根性が必要だ。
「え・・・でも私、何にも服持ってませんし・・・」
『え・・・?』
二人が本気で驚いた表情をしているので、拓也もどう対処していいのかわからない。
「い、一着も?」
「あ、ここに来た時に着ていたものなら持ってます」
「じゃ、上着とかは・・・!?」
「え?そんな高価なもの、持ってませんよ?」
当然の事のように拓也が言ってくる。
輝二と輝一は驚いたように目を合わせた後、息を合わせて頷いた。
「拓也、予定変更だ」
「え?行かないんですか?」
「いや、行く場所を変えるんだよ」
「・・・はぁ・・・?」
「とーりーあーえーず☆」
はい、と輝一が拓也にコートを手渡す。
「俺のだから大きいかもしれないけど、無いよりは全然マシだから」
「え・・・でも・・・っ」
「拓也」
それは悪いから、と断ろうとした拓也の言葉を輝二が遮る。
振り返ると、フワリと首元にマフラーを巻かれた。
「貸してもらえ。じゃないと、拓也は連れて行けない。・・・外は寒いからな」
「・・・はい・・・すみません・・・」
拓也がシュン、と項垂れてしまったので、輝二が軽く抱き寄せた。
そして拓也が力を抜く間も無く、今度は背後から輝一が抱き寄せてくる。
「・・・ありがとうございます・・・」
自分を大切にしてくれる二人の心が嬉しくって、拓也は心からそう思った。

二人から防寒具を借り、拓也は久々に街へと降りた。
が、そこは拓也の知っている街並みではなく、いわゆるお金持ち専用の路(みち)だった。
久々に歩きたいと輝二が行ったので、途中まで馬車で送ってもらい、後は3人で仲良く歩いた。
両方が両方、拓也と手を繋ぎたがるので、拓也は必然的に輝二と輝一に挟まれるような感じになる。
「すごい・・・街にはこんなところもあるんだぁ・・・」
拓也の家は確かに貧しかったが、盗みだけは絶対にしなかった。
それは両親の教えでもあり、拓也自身、そんな風に得たものなど欲しくは無かった。
なので、なるべく出費を抑えるように安い店に行っていたし、欲しいものが出ないように行くところは制限していた。
それでも街は出歩いていたので、道は知ってるはずだったが・・・。
「どう、拓也。楽しい?」
拓也の右側を歩いている輝一が聞いてきたので、拓也は『はいっ』と元気に頷いた。
輝二の手には、とりあえず目的の大量の紙やペンなどが入った袋が入っている。
「拓也が案内してくれたから、迷わず行けた。ありがとな?」
「はい・・・えへへ・・・」
褒められて、拓也は照れたような笑みを浮かべる。
そんなふうに他愛も無い話しをしていると、目的の場所についたのか、二人が歩くのをやめた。
そこはいかにも高そうに見える仕立て屋だった。
「新しい服でも買うんですか?」
「うん。まぁね」
その他には何の疑問も持たず、拓也は二人に連れられて仕立て屋に入っていく。
途端に、優美な雰囲気の漂っていた店の中に緊張が走った。
何せ、金持ちの息子二人が何の連絡もなしに入ってきたからだ。
「こ、これは輝一様に輝二様・・・!突然どういった御用で・・・」
「ん・・・。ちょっと服を作ってほしくってね。泉、居る?」
「は、はい。泉なら、今は奥に・・・少々お待ちください」
多分、この店ではかなり上位の立場のものだろう。
男は少し取り乱していたが、きびきびと動き、店の奥へと入っていった。
「・・・輝二さまと輝一さまって、本当にすごいですね」
拓也の言葉に、輝二は照れ、輝一はありがと、と笑った。
・・・暫くたつと、先程の男性がまたこちらにやってきた。
「どうぞ、こちらにお入りください」
男性が案内しようとしていたが、輝一が『道筋はわかっているから大丈夫だよ』と言ったので、輝二たちが見えなくなるまで男性はその場で深く礼をしていた。
珍しくて、拓也はあたりをキョロキョロと見回してしまう。
それに気付いた輝二が、簡単にどういうものか説明をしてくれる。
「さ、ここだよ」
輝一がとまったところは、一層豪華な扉だった。
思わずウットリ見とれていると、輝一がノックをした。
「はーい。どうぞ入ってきてー」
中からは、女の人の声が聞こえてきた。
「しっつれーしまーっす」
まずは輝一が部屋へと入り、拓也は輝二と手を繋いで入った。
そこに居たのは、綺麗と可愛いを混ぜ合わせたような女性が居た。
金色の髪に碧の瞳。
綺麗、と見とれていると、女性と眼があった。
「・・・あなた・・・」
自分の事だと気付き、拓也は慌てて一礼をする。
「はっはじめまして!み、源家に仕えています・・・」
「ッキャー―――っ!かっわいい〜vvv」
拓也の挨拶を遮り、女性が拓也に抱きついてきた。
「あ、あの・・・っ」
拓也よりも背が高い少女は、ぎゅ〜っと抱きしめては拓也の事をじっと見る。
だが、変なものを見る目ではなく、キラキラと純粋に興味を示している眼だったので、特に不快には感じなかった。
「うんうん知ってるよ〜拓也くんでしょ?」
「え・・・?何で知ってるんですか・・・?」
「ふふふ・・・実はね〜・・・」
「泉、その前に自己紹介しないと」
「あ、そうか。失敗失敗☆」
泉と呼ばれた少女は、ペロッと舌を出して自分の頭を軽く叩いた。
そして拓也から少し離れ、泉は改めて自己紹介を始める。
「初めまして拓也くん。私はこの店の支配人の泉で、この双子のお友達よ。よろしくv」
泉が手を差し出してきたので、拓也も手を差し出した。
「えと・・・拓也と言います。こちらこそよろしくお願いします」
ペコリと手を一緒にお辞儀すると、また泉が抱きついてきた。
「や〜ん可愛い〜v輝一が言ったとおりだわv」
「えっ!?輝一!?」
泉の言葉に驚いたのは輝二。
輝一はイタズラが成功した時のような笑みを浮かべている。
「いや・・・って言うか・・・いつの間に・・・」
「拓也のこの服を注文した時だよ」
部屋は暖房が効いているので、3人は防寒服を脱いでいる。
輝一は、拓也の着ている先程のメイド服を指しながら輝二と拓也に説明してやる。
「あ、さっそく着てくれたんだ〜。うんうん。よく似合ってる。製作者としても本望だわv」
拓也をクルクルと回しながら、至るところをチェックしていく。
そして泉はまた嬉しそうに拓也を抱きしめた。
「この服、泉さまが作られたんですか?」
「泉でいいわよ、泉〜で」
呼び捨てで言いといわれたが、自分よりも階級も年齢も年上の人を敬称無しで言えるほど拓也の頭の切り替えは早くない。
「い、泉さん・・・?」
そんな拓也の様子に、泉がまたかわいい〜vと言っている。 泉のそんな様子を見て、輝二と輝一は苦笑を浮かべる。
泉は可愛いものが好きなのだ。
「で、と。用事を言ってもいいかな、泉」
「ああ、ごめんごめん。何だっけ?」
「服をまた頼みたいんだけど、いいかい?」
「服を作ってもらいたいんだが、いいか?」
輝一と輝二が、異口同音に言うので、泉はキョトンとした後、盛大に笑い始めた。
「も〜ホントに双子ねぇ!」
「そうそうv俺ってば輝二と仲良しだからv」
「ふ・ざ・け・る・なっ!」
輝一が輝二の肩を抱こうとしてきたので、輝二はその手をパシッと叩き落し、拓也の方に歩いた。
「・・・俺は拓也の服を頼みに来たんだ」
ぐいっと拓也の肩を抱き、自分の方に引き寄せる。
「わっ」
「あ、俺も俺も」
輝一が輝二に対抗し、反対側から拓也を抱き寄せる。
「え、えええっ!?」
まさか自分のためのものとは思っていなかった拓也は、眼を白黒させながら、二人を交互に見る。
「拓也ってば服全然持ってないんでしょ?デートしようにもメイド服だけって言うのもつまんないじゃん?」
輝一がニコリと拓也に笑いかけるのが面白くない輝二は、輝一の手を拓也の肩から叩き落とし、抱き込むように拓也を引き寄せる。
「こ、輝二さま・・・でも私・・・」
「拓也がいろんな服を着ているところを、見てみたい。
それに、これは俺たちの自己満足だから、拓也が気に病む事ないんだ・・・な?」
「そうよ、拓也くん」
泉が正面に立ち、ニコニコと拓也に笑いかける。
「私もこ〜んな可愛い子の服作れるなら本望だわvむさい男の服作るよりv」
「おいおい」
輝一が思わず突っ込みを入れる。
「〜〜〜〜〜〜っ」
「あらら。泣いちゃった」
ボロボロと拓也の眼からは涙が零れ落ちる。
泉はハンカチを出そうとしたが、それよりも先に輝二が拓也を正面から抱きしめた。
拓也も輝二にしがみついたので、泉はその手を止めた。
「拓也」
拓也は顔を上げようとはしない。
「・・・拓也・・・?」
輝二がもう一度声をかけると、拓也はようやく顔を上げた。
「ど、どうしよう・・・っ」
拓也が嗚咽混じりにそう漏らす。
「どうしよう、って?」
「わ、私・・・こんなにしあわせで・・・っ」
うう〜っと拓也はまた輝二に泣きつく。
拓也の言葉に、輝二と輝一と泉は顔を見合わせて笑みを交わす。
「拓也」
優しく輝二が呼びかけると、拓也は涙まみれの顔を上げる。
それを服の裾で拭ってやり、頭を優しく撫でてやる。
「幸せにはな、量があるんだ。それを全部出せるかどうかは本人次第だ。
拓也はココ・・・俺のところに来て、ソレを見つけた。
それは拓也、お前が自分で掴んだものだ。
だから怖れる事はないし、遮るものでもない。
俺が・・・俺たちがお前を必要として、お前が俺たちを必要としてくれるなら、俺はお前に幸せをあたえよう。
それに、俺の今の幸せは、拓也。お前がココに居てくれる事だ」
ココ、を強調し、輝二は抱きしめる腕に力を込める。
「もちろん俺もだよ、拓也」
横から輝一がしゃしゃり出てくるので、輝二が威嚇する。
そのやり取りが面白くて、拓也は思わず笑ってしまった。
「さてさて〜」
その間を見計らい、泉がパンパンと手を叩く。
「じゃ、採寸取らしてもらえるかしら?それから、予算等の相談もしなきゃね☆」

「どうした、拓也」
「い、いえ・・・なんか疲れちゃって・・・」
店から出た3人は、街中をブラブラ散歩してから、今は喫茶店でお茶にしている。
拓也がもらしたその言葉に、2人は笑いを漏らす。
「泉は可愛いもの好きだからねェ・・・特に拓也は気に入られちゃったみたいだしね〜」
「そ、それにこんな高価そうなコート・・・」
拓也が着ているのはメイド服に輝二たちの上着でなく、泉にコーディネートしてもらった服を着ている。
長春色のコートに、薄い桃色のマフラーに帽子。
至るところに丁寧な装飾が施されており、どれも拓也には手も出ない一品だ。
もちろん、お金は双子持ちだ。
「これから出来たらその都度送ってくれるってさ。た〜のしみだな〜♪」
心底楽しそうに輝一が呟く。
珍しく輝二も『そうだな』と返し、拓也は頬を染めた。
「・・・疲れましたけど・・・」
『けど?』
「とっても、楽しかったです!」
拓也が満面の笑顔で言うので、輝二と輝一は眼を見合わせ頬を染めてしまう。
「じゃ、また来ようか」
「はいっ」
「二人っきりで・・・」
輝一が続けた言葉を、輝二が後頭部を殴って黙らせた。
それを見て、拓也がまた笑む。
最初は慣れなかった、この人の・・・この人たちの傍に居る事。
それが今はこんなにも心地よく、幸せ。
仲良くケンカをする輝二と輝一を見ながら、拓也は幸せそうな笑みを零す。
そう。
これが今の自分の『幸せ』



☆END☆


コメント

・・・ちょっと・・・不完全燃焼・・・。
もっと、こう・・・ほんわかな雰囲気出したかったのに、これじゃセクハラしてるだけだ!(逆ギレ)
泉は仕立て屋にするかいいトコのお嬢にするか悩んだんですが、このポジションに(笑)
3日かけたのにな〜〜〜(泣)
自分の文才の無さを改めて実感。メソリ。