キミと一緒に〜笑顔とぬくもり〜

「・・・勇・・・」
宿題をする手を止め、友は溜息をつく。
本当は自室で宿題をしたのだが、今は父親も母親も出かけているので、勇の面倒を見なければならない。
なので、友はリビングでノートと教科書を広げて問題を解いている。
先程から勇が幼児用の番組を食い入るように見ていたので、今はテレビが着いている。
その勇は、今は友の背中にべったりくっついている。
「勇・・・重い・・・」
勇は反応を返さない。
それどころか、更に友にぎゅーっとくっついてくる。
「・・・眠いなら部屋に行け」
勇はまた何にも返事しない。
顔を友の背中に押し付け、脇腹辺りの服を小さな手でぎゅっと握る。
眠いのでは無いのか?
友はシャープペンを離し、勇の方を振り返ろうとする。
友が動く気配を感じて、勇もその手を離す。
180度友は動き、勇と正面を向く。
勇は少しむくれた顔をしている。
「眠いのか?」
勇はふるふると首を振る。
「腹減ったのか?」
また勇は首を振る。
先程おやつを食べたばかりだから、まぁお腹が減ってるとは思えないが。
「母さんと父さんが居ないから寂しいのか?」
「ともいるからさびしくなんてない」
ようやくしゃべったその声は、少し沈んでいる。
「じゃあどうしたんだ?」
眠いのでもない、親が恋しいのでもない。
勇はじっと窓越しの外を見る。
それで友はピンとくる。
「外、遊び行きたいのか?」
「・・・でも、ともしゅくだいやってる」
勇は少し間を空けて、いじけたように答える。
母親・・・太一に、友にできるだけ迷惑をかけないようにと言われているのだ。
だけど、かまってもらえないのが寂しくて、友の背中にしがみついていたのである。
「ゆう、がまんする・・・」
下を向いて、少し眼を潤ませて勇が言う。
そして、友に抱きついた。
こう言われ、されると何にも言えない。
勇の甘え攻撃は友の弱点なのだ。
友は勇の小さな背をポンポンと叩き、はぁっと溜息をつく。

近くの公園までやってくると、きゃーっと高い声を上げて、勇は走っていった。
先程まで繋いでいた手をジーパンのポケットにいれ、勇を目で追う。
ご機嫌で勇は、遊具の間を走り回って、きゃっきゃと騒いでいる。
「勇ーあんまりはしゃぐと転ぶぞーっ」
「だいじょーぶ〜っ!」
勇はブランコのところにやってきた。
しかし、まだうまく一人ではこげないのか、少ししか前後に動かない。
必死なその姿はとても可愛いのだが、このままほっておくと泣き出すのは眼に見えているので、友は勇の後ろに行って、背中を押し出した。
いきなり身体が宙に浮き、勇は一瞬びっくりしたが、すぐにわーっと騒ぎ出した。
「勇ー!絶対手ェ離すなよー!」
前に太一と公園に遊びに行った時、今のようにブランコに遊んでいて、思わず手を離してしまい、咄嗟に太一が助けたが、頭を打ってしまい、おでこに大きなたんこぶをこしらえたことがある。
「へいきだもーん!オレ、なんどもおんなじことしないもーんっ!」
勇はご機嫌で揺られている。
そういえば自分が小さな時も、よく3人で遊びに来てはヤマトや太一に押してもらって遊んだものだ。
「とも、こんどはあれ!」
「っ!こら勇!手ェ離すなって・・・っ!」
片手を離してバランスを崩した勇は、もう少しで振り落とされそうになる。
ちょうど友のところへ戻ってきたところだったので、友はしっかり勇を抱きしめた。
勇が怪我が無いことを確認すると、少しきつい顔をして叱る。
シュンとした顔を勇がすると、友は何だか罪悪感にとらわれ、次は何なんだ?と聞いた。
「うん!あれ!」
途端に勇の表情が明るくなる。
「・・・あれ・・・?」
ひっぱられているところで声をかけられる。
友と勇がそちらを見ると、親戚でもクラスメイトでもある人物2人が立っていた。
「望に希・・・」
「あーやっぱりー!友みたいな金髪はココらへんじゃ父さんとおじさんと友くらいだもんねー」
あははははっと望が笑う。
「こんにちはー勇ーv」
希が勇に抱きつく。
「のぞみー!ひさしぶりなーっ!」
ぎゅーっと勇も希を抱き返す。
友は少しムッとしたが、その表情を望に見られ、ふふっと笑われてしまったので、すぐにひっこめた。
「ここで会うなんて珍しいねー。どうしたの?」
「俺たちは散歩。お前たちは?」
「私たちはノートの買い出し。宿題してたら切れちゃって」
ねー。っと望と希は顔を見合わせる。
双子なだけあって、この二人の息のあわせは素晴らしいくらいに合っている。
望と希は、タケルとヒカリの子たちだ。
友の同級生でもあって、先程一緒に帰ってきて別れたばかりだ。
「おじさんたちは?」
「仕事」
4人は並んで歩き、勇がどこかに行かないように友は手を繋ぐ。
ベンチを見つけ、4人は腰を降ろす。
ちなみに勇は友の膝の上だ。
そのまままたしゃべりだす。
いつも話しているくせに、何故か会話が尽きない。
友も、この二人ともう一人のクラスメート・・・空と丈の子供の愛とはよく話す。
もちろんそれは学校のクラス内と言うことで、勇が絡めば話しは別だが。
最初は膝の上で面白そうに勇は聞いていたが、宿題などの話になると、つまらなそうに足をぶらぶらさせて、ついにはウトウトし始めた。
膝の上の勇が静かになったので覗いてみると、勇は半分夢の中だ。
望と希がクスクス笑っていると、5時を知らせる鐘がなる。
「じゃ、そろそろ帰ろっか」
望が立ち上がると、すぐに希も立ち上がる。
友は勇を抱っこしてやり、遅れて立ち上がる。
「じゃ、また明日〜」
「バイバイ、友くんに勇ちゃんv」
棟が違うところで別れ、二人は仲良く手を繋いで行ってしまう。
手が塞がっているので、またな。と大きい声でいい、自分たちも歩き出す。
「こら勇。寝るなっ」
今寝たら夕飯が食べられなくなる。
5時過ぎなら、もう太一も帰ってきているはずだ。
心配かけないように手紙を残してきたが、勇をここで寝かしたら、後で大変なのは太一だ。
ご飯は食べないはグズるは夜眠れなくなってしまうはで、太一はそれ以上に眠れない。
前に一度その現場を見たので、友はもう昼寝以外に勇を寝かせないと決めた。
「勇ーっ」
自分の胸に顔を埋める勇を、腕全体で揺する。
勇はうー・・・っと唸り、今度は友の肩に顎を乗っけた。
「ご飯食べれなくなってもいいのか?」
「・・・やー・・・」
夢と現実の狭間をさまよっているような声だ。
チーンと高い音を立ててエレベーターが来る。
急いで乗り、自分たちの部屋の階を押す。
「ゆう、ごはんたべるの・・・」
「じゃあ、起きろ」
食欲が勝つか、眠気が勝つか。
それは時間しだい。
太一の居る家にたどり着けば、自分よりもうまく勇を起こせる。
また高い音をたてて、エレベーターが指定した階に到着する。
友は走る。
これで勇が起きるなら幸い。
起きなくても、家のドアはすぐだ。
「ただいま!」
やや乱暴にドアを開ける。
中から太一の声が聞え、玄関までやってきてくれる。
そうして自分の腕の中に居る勇を見て、苦笑する。
勇を太一に渡すと、太一は勇を連れてキッチンまで行く。
友は洗面所まで行き、泥を落とす。
勇は太一と一緒にキッチンの流し場で洗っているだろう。
はぁ。と友は息をつく。
学校の体育に加えて、+の運動をしてしまった。
宿題はまだ残っているのに、眠気も襲ってくる。
「・・・終わるのか・・・?」
結局勉強途中で寝てしまい、朝起きて必死で宿題を片付けたのは、また別のお話である。



☆END☆


コメント

7ヶ月ぶりの更新・・・(笑)
ようやく親戚(=望と希)を出すことが出来ました〜(笑)
次はもっと人物だしたいなぁ・・・(希望?)