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歩み往く幸せ 暖かな光の中で 僕は、キミに出遭った。 汚いこの世界の中 僕は、希望を見失いかけていた。 それでもココにいるのは、キミが居てくれるからだ。 キラキラと、葉が陽を弾き、木漏れ日を創る。 サラサラと風が木々を揺らし、心地の良い音を奏でる。 久々に気持ちのよい原っぱに辿り着いた一向は、そこで今日は一夜明かす事にした。 とりあえず腹を満たした6人と3匹は、個々で自由に休みを取っている。 輝二が肉リンゴの木の下で昼寝をしていると、草を踏む軽い音が聞こえ、瞼の裏側に影ができた。 ふと眼を開ければ、逆光になってそこに立っている、輝一がいた。 「・・・こういち・・・?」 ウトウトとしていた思考で呟けば、輝一が躊躇いがちに声をかけてきた。 「・・・隣り、いいかな?」 避ける理由が一片も無いので、輝二は気持ちのいい場所を半分譲ってやった。 その場所に輝一が腰を降ろし、輝二のように仰向けに寝転がる。 草独特の匂いが香るが、それは風に流されて鼻に届くのには丁度いい濃さだ。 そんな風に二人で黙ったまま寝転がっている。 「・・・あ、のさ・・・」 しばらくそんな沈黙が続いていると、輝一が話し掛けてきた。 輝二は視線だけ輝一の方に向ける。 それを横目で確認した輝一は、更に続きの言葉を紡ごうとする。 「輝二は――――」 「あーっ二人ともめっちゃくちゃいいトコで昼寝してんじゃん〜!」 と、その声は遠くから聞こえてきた高い声に遮られてしまった。 途端、輝二の目元が幾分緩む。 「拓也」 先程まで友樹たちと一緒に花を摘んだりして遊んでいた拓也の頭や肩には、花びらが何枚もくっついている。 すこしヨレヨレの恰好で、拓也は嬉しそうにこちらに駆け寄ってくる。 久々に敵の脅威から解き放たれ、こうしてみんなで和める事を楽しんでいるのだろう。 「なぁなぁ。オレも昼寝していいか?」 「俺はもちろん」 そう言い、輝二はまた少し間を空ける。 「俺もだよ」 輝一もそれに習い、気持ちよい場所を空けてやる。 丁度一人分の場所が空き、拓也はサンキュ、と呟いてそこに腰を降ろした。 帽子とゴーグルを取ると、本人同様元気のいい髪が、四方に飛び跳ねる。 そして、それを横に置き、勢いよく横になる。 「うっわ〜きっもちい〜♪」 気温も日差しも丁度いい。 昼寝をするには最高の環境だ。 「オレさ思うんだけどさ、輝二と輝一のビーストスピリットって銀狼と黒獅子だろ? これでもう少し気温の低い時とかってさ、二人がスピリットで進化したらあったかそうだよな〜v」 「でも、俺たち毛皮じゃないよ?」 拓也のセリフにそんな風に答えてしまい、輝一はシマッタ!と内心焦る。 これでは、まるで拓也にケチをつけている様な言い方だ。 しかし拓也は 「あーそっかぁ・・・二人とも、何か金属のガード見たいの付けてるもんなぁ・・・あれってさ、やっぱヴリドラモンとかのと一緒なのかな?」 サラッとまた質問してきた拓也に少し驚きつつも、輝一は多分・・・と呟く。 「輝二もか?」 「そうじゃないか?」 輝二は簡潔に答える。 すると拓也はまた、じゃあー・・・と他愛も無い質問を繰り返す。 そして、しばらくそんな会話が繰り返される。 と、だんだん拓也の呂律が回ってこなくなってきた。 「た」 拓也、と輝一が言う前に、輝二の腕が拓也の後頭部へとまわった。 「拓也、そろそろちょっと寝ようか」 「・・・ん・・・」 トロトロと拓也の瞼が下がり始める。 拓也は甘えるように輝二に擦り寄る。 これは、毎朝と言っていい程見る光景だ。 寝ている拓也を輝二が優しく抱きしめ、拓也もまた嫌がる様子も見せずにその腕に抱かれている。 羨ましい、と思うのは、どちらにだろう? ぼぉっと見ていると、拓也を挟んだ向こうの輝二と眼が合った。 輝一は照れてフッと目をそらしてしまった。 「そういえば」 先程よりも幾分声を押さえたのは、寝入った拓也を気遣っての事だろう。 「さっき、なんか言いかけてたけど・・・どうした?」 「え?えぇと・・・なんだっけ?」 輝一の答えに、輝二はかすかに声を漏らして笑う。 「拓也がさっきっからしゃべってたから、忘れたか?」 からかうような軽い言い方に、輝一の頬も緩む。 「見たいだ」 「拓也はよくしゃべるからな」 そういい、輝二は眠る拓也を見つめる。 そんな輝二の姿が微笑ましく、自然に笑みが零れる。 「そういう顔」 ちょうどその表情を輝二が見て、そんな事を言う。 「・・・え?」 「そういう顔、もっとすればいいのに」 心からの表情を。 「うん・・・」 だが、出来ない。 だって、自分なんかにそんなお気楽な事をする資格なんて、無いのだから。 ・・・皆を傷つけてしまった、自分には。 「なんて、人の事言えないけどな」 輝二が笑みを含んだ声でそういう。 え?と視線を向けると、輝二は空いている手で拓也の髪を梳いてやっていた。 「・・・俺も、拓也に出会ってなかったら、こんな風に笑えてなかったなぁ・・・」 そう、照れたように言う。 「拓也は、太陽だから」 火の暖かさを、心地よく、平等にみんなにくれる。 ・・・ひねくれた、自分にさえも。 「・・・太陽、か・・・」 輝一は呟く。 泉がそっと教えてくれた。 輝二とこうやって接する機会があったのは、拓也が間には言っていろいろと世話を焼いてくれたからだと。 影の自分にさえも、温かい笑顔をくれる。 そう、決して・・・嘲らない。 もしかしなくても、輝二に出会えた事くらいに、拓也に出会えた事は素晴らしいことなのかもしれない。 だから、どちらに向けているのかわからない嫉妬が生まれる。 だがそれはドロドロしたものではなく、むしろ『混ざりたい』という小さな希望のようなものだ。 「拓也は、誰にでも優しいんだね」 思わず手を伸ばす。 クセのある髪は、それでもサラサラと気持ちがいい。 そうだな、と輝二は答える。 「・・・でも、それ以上に拓也は苦労している」 「・・・そう、だね・・・」 戦いに、仲介に、逆行に。 拓也は何にでも一生懸命だ。 だがそれが、ときどき仲間達を心配にさせる。 チラッと見ると、拓也は気持ち良さそうに眠っている。 時々、その存在をどうしようもなく抱きしめたくなる。 でも、それは出来ない。 だって、輝二が居るから。 自分がこの二人の仲に無理矢理自分勝手に入っていき、関係を壊すなんて事したくはない。 「・・・ん〜〜〜・・・・」 拓也は寝返りを打ち、横向きから仰向けになった。 その時に手も一緒に動き、輝一の方へと倒れていった。 そして輝一が反応する前に、その手は輝一の服を掴んだのだ。 「・・・・・・」 いきなりの事に、輝一はきょとんとする。 「・・・くっ・・・」 息が漏れるような音がしたと思ったら、輝二が口を押さえて笑っていた。 「な、なに・・・?」 「・・・いや・・・拓也は、輝一も『特別』らしいなって思ってさ」 自分同様に。 だが、それは輝二の双子の兄としてではなく、『輝一』が特別という事だ。 輝二がそう言うと、輝一の頬がブワッと紅く染まった。 「そ、そんな・・・まさか・・・」 「嫌か?」 輝二がそう返してきたので、輝一はまさかっ!と首を振る。 「じゃ、喜べばいい」 そう、輝二はまた優しく笑う。 拓也に見せる甘い笑みではない。 それでも、笑顔を見れるものはかなり少ないもの事実だ。 「輝一は、もっと自分の感情に素直になった方がいいな」 押し込めていると、その分内側に溜まってしまうから。 そうして、輝二は拓也の身体と一緒に、輝一の身体も一緒に抱きこむ。 背中に、暖かな体温がジワッと染みる。 それは、拓也の掌からもだ。 ・・・闇の中に居た自分。 その時の自分は、この温もりさえも――――母親の暖かささえ忘れていた。 憎しみのみで、自分本位で輝二たちと対峙していた。 そして、輝二たちを傷つけた。 これは、癒えぬ傷跡だ。 なのに なのに――――― 自分は今、この暖かな大地の上に居る。 不思議だ、と思う。 そろりと腕を動かし、輝二のように拓也を挟み、輝二の身体も一緒に抱きしめる。 拓也は眠りやすい体制に少し見動きし、また一定の呼吸を繰り返す。 暖かな、太陽と、光。 望んでいたもの。 それでも、決して手に入らないと思っていたもの。 それがこうして、全身を包む。 泣きたいくらいの情感が、輝一を包む。 「・・・輝二は――――」 言葉を紡ぐ。 忘れていた、その質問。 でも、そんな答えなんてわかっている。 それでも口にする自分を、キミは笑うだろうか? ・・・キミは今、僕と居て幸せかい? コメント ・・・あれ?(笑) おかしいなぁ・・・当初予定していたのと全然違うものになってしまったよ(汗) やっぱり時間の無い時に小説書いてはいけませんね〜文体が変!!(泣) 今回は輝一視点って感じです。 カップリングを意識したわけではなく・・・なんだろ?ちょっとした出来事? 輝一は、拓也と輝二がいたからこそ立ち直れたんだ〜みたいな。 ・・・や、もちろん他の仲間の協力もありますが(苦笑) |