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冬の宴 白い息が口から漏れる。 少し前を歩いているカイに気付かれないように、レイはハァーっと自分の素肌の手に息を吹きかけた。 やはりカイの言うとおりマフラーと手袋をしてくるべきだった。 もともと寒さには強い方だが、これほどまで寒いとは思わなかったのだ。 (風邪・・・ひいちまうな・・・) ズッと鼻をすすりながら、レイはそんな事を思う。 大会も終わり、今は日本でカイの家に住まわせてもらっている。 一日中カイと一緒に居れるのは嬉しいが、少し恥ずかしい。 それでも、嬉しいという感情の方がずっとずっと勝っている。 一緒に居れるようになって、いろんなことを発見した。 好きな食べもの嫌いな食べもの。 火渡エンタープライズの次期社長という立場なので、社交界にも出る。 レイも一緒に出席したり(不本意にも何故か女もの)して、外の顔も知った。 でも、一番嬉しかったのは、自分にだけ見せてくれる、眉間の皺をとった顔。 ふっとしたときに見せてくれるその顔は、レイのお気に入りだ。 その表情を見るたびに、ああ、自分はカイがこんなにも好きなんだな。と再確認する。 そんなホワホワしたことを考えていると、北風が吹いた。 「・・・・・・!」 あったかくなった心とは裏腹に、身体は冷える一方。 首と手首のコートの隙間から冷たい風が入ってきて、レイは身体を縮めた。 「さむ・・・」 思わずその言葉を漏らして後悔する。 カイが立ち止まり、こちらを睨んでいるからだ。 だからマフラーと手袋してこいっつただろ。 そんな言葉をその視線が物語っている。 レイは苦笑を漏らし、カイに並んだ。 はぁ、とまた白い息が広がる。 隣で、カイが動いた気配がした。 ふと視線をやろうとすると、首に暖かいものが巻きついてきた。 カイが今までしていたマフラーだ。 「カ・・・!」 「寒いんだろ。それしとけ」 何事もないようにカイがレイにマフラーを巻いてやる。 それから、自分に近いほうの手をつかみ、自分のコートのポケットに一緒にいれた。 「寒かったら手袋も貸してやるが?」 「いっいいよ!カイが寒いだろ!?」 自業自得なのに、カイにまで寒い思いはさせられないと、レイはマフラーを取ろうとした。 「俺は寒さには強いからいい。・・・それに・・・」 「それに?」 「・・・・・・レイが寒い方が嫌だ・・・」 カイの顔が紅いのは、冷えたせいだけではないだろう。 レイの顔も熱くなっていくのがよくわかった。 「・・・だから、しとけ」 「・・・・・・うん・・・」 取ろうとしたマフラーを再び自分の首に巻きつける。 フワリとカイの匂いがした。 大好きな大好きな、カイの匂い。 「・・・ありがとな」 「・・・・・・・・・・・・ん・・・」 恥ずかしいのか、カイはいつもよりもそっけなく返事をした。 握られている手に力を込めると、カイも力を込めて握り返してくれた。 「今日は鍋がいいな」 「何鍋だ?」 「んー・・・なんでもいいー」 カイは携帯を取り出し、メールを打つ。 多分執事たちに頼んでくれるのだろう。 「なぁカイ」 「なんだ」 メールを打ち終わったカイは、再び携帯をしまう。 「今日は一緒に寝ような♪」 レイの笑顔付きのお願いに、カイは俯き、頬をまた紅くして、少し間を開けてから頷いた。 北風がまた吹く。 不思議と、もう寒くは無かった。 コメント 短・・・(苦)突発で思いついた話だったり(笑) いやいつも突発なんですけどね(死) てか少し時期はずれでしたな・・・せめて後2週間後(笑) あ、ちなみに題に意味ないですー(殴) |