flying 24

「う・・・」
昏い、闇に、痛いくらいに光が瞼を通して伝わってくる。
気持ちよく惰眠を貪っていたタケルは、寝返りを打ち、光から逃れる。
浮上してきた意識が、ぱっと覚醒する。
「あ・・・あれ??」
目を開き、周りを見ると、そこは広い部屋だった。
白と薄い桃色で統一されており、清潔感のあふれるいいところだった。
ベッドの後ろには窓があり、可愛いレースのカーテンが微風に揺られていた。
でも、自分は確か・・・。
「・・・落ちたんじゃないっけ?」
ミミと必死に握り合っていたが、風の塊が手を直撃し、衝撃で離してしまったのだ。
どうやらそこで意識が途切れたらしい。
まったく、記憶が無い。
うーん・・・とタケルが唸っていると、カチャ、と控えめな音を立ててドアが開いた。
タケルの意識は、自然そちらに行く。
部屋に入ってきたのは、紅茶色の髪をした、美人と言うより可愛い女の子だった。
パタンと扉を閉めると、タケルが気付いたのに気付き、顔を綻ばせた。
「あ、眼がさめましたか?」
声は、曇りの無い鈴の音のような高いソプラノ。
フワフワと動く白に近い桃色の翼。
まるで・・・
「天使・・・・・・」
「?はい、天使ですけど・・・」
「!?」
そこでタケルはやっと思い出した。
ここは天使領地。そして自分は・・・。
「あああああの!!」
「痛いところとかありませんか?とりあえず外傷は治したんですけど・・・」
「へ・・・?・・・あ、うん・・・」
タケルが頷くと、少女はよかった、とまた笑った。
「あなた覚えてますか?空から落ちて来たんですよ?」
「・・・空から?」
「ええ。風が裂かれるような勢いで。私、ここから出られないので法力で風を止めてこっちにつれてきたんですけど・・・」
「けど?」
「・・・夜なので視野が悪くって・・・外の樹に何回かぶつけてしまったんです・・・。すみません・・・っ」
少女は恥ずかしそうに頭を下げた。
しかし、問題はそこではなく。
「あのさ・・・」
「?」
「僕の翼見て、なんか思わないの?」
タケルが真剣にいうと、少女はキョトンとしたあと、ああ、と頷いた。
「綺麗な翼ですね」
「いや!そうじゃなくて!!」
思わずつっこみを入れるタケル。
「僕、堕天使なんだよ!?敵だー!とか、侵入者だー!とかさ!!」
少女はやっとわかったように微笑んだ。
「そんなこというなら、ここにつれてきたり、手当てなんてしないと思いますけど?」
「・・・・・・」
言われてみたらその通りだ。
「じゃあ、なんで助けたの?」
「・・・そうしたいと、思ったから」
少し謎めいた言葉に、タケルは頬を紅らめる。
「あなたはどうしてここに?」
「あ・・・ちょっと、見学に・・・」
「見学?」
「見学」
二人の間に沈黙が落ちる。
「・・・聞いて、いいかしら?」
「ん?なに?」
「誰と来たのか教えて?」
「・・・助けてもらってこんなこというの悪いかもしれないけど、それは言えないよ。
つれてきたその人が、何されるかわからないから」
「・・・どうしても?」
「どうしても」
タケルが、意思のこもった目で少女と見つめあう。
少女の色素の薄い紅茶色の瞳に見られると、何もかもが見透かれそうでタケルはドキドキした。
ふっと少女が瞳を閉じると、よかった、と呟いた。
「な、なにが?」
「あなたが、悪い人じゃなくて」
「は?」
「仲間を、裏切るような人じゃなくて」
少女の瞳とタケルの瞳が、また交錯する。
「こうして瞳をあわせて逸らさない人は、意思の強い人だってお兄ちゃんが言ったわ」
あなたはいい人ね。
まったく警戒心を持っていないこの少女はホントに嬉しそうに笑う。
「私は他の方たちにあなたのことや仲間のことを言うつもりはないわ。
ただ、言ってもらえないと探しようがないの。
あなたも、いつまでもここには居れないでしょ?」
諭すような少女の言葉にタケルは無意識のうちに頷く。
「私を信じて。私は、あなたの味方だから」
タケルは少女とまた視線を交わす。
そうしてまた風の音だけが耳へと届く。
「・・・キミもいい人だね」
「え?」
「瞳を、逸らさないもの」
まんまさっきの少女のマネをすると、今度は声をたてて笑った。
「じゃあ、頼めるかな?」
少女は笑うのをやめて、頷いた。
「僕はタケル。探しているのは・・・太一さんって方とお兄ちゃんに友達」
途端、少女の顔色がびっくりしたような表情になった。
だが、すぐにまた笑顔に戻ると、今度は少女の方が自己紹介を始める。
「私の名前はヒカリ。『太一さん』の妹よ」
タケルが唖然として次に気がついたのは、5分後だった。



☆NEXT☆


コメント

タ・ケ・ヒ・カ☆(あんたはバカですか)
ついに会ってくれました・・・。さて、こっからいちゃいちゃラヴラヴしてもらいまひょかー(だからあんた誰)