僕等なキモチ 3

―2000年・8月2日―

朝の清々しい光の中、一番最初に眼を覚ましたのは空だった。・・・いや、本当は太一なのだが、・・・二度寝してしまったのだ。
「んん〜っいい天気!・・・さて、と」
空は着替えてからまずミミを起しにかかった。
「ミミちゃん、起きて!朝よっ」
空はミミを揺すった。そのミミはとういうと、
「うぅ〜ん・・・。もうたべられなぁ〜い・・・」
などと寝ぼけている。
「・・・もぉう・・・」
空は諦めて男子軍団の方に足を向けた。ノックをしようにもなにしろテント・・・。しかたないので声をかけてから中に入った。
「太一ー。みんなー。朝よ、起きて!」
太一たちのテントはもうごった返しだった。いつも寝相の悪い太一はヒカリに自分の腕を枕にしてやってあまり乱れていない。それはヤマトも同様。
・・・まぁヤマトはもともと寝相はいいのだが。丈も光子郎も寝相はいい方なのだが・・・問題はテントの狭さ。6人が寝るにはテントが小さすぎる。
寝返りもままならないので暑苦しいこのうえない。丈など寝ながらうんうん唸っている。空は仕方ないと溜息をつくと、ふっとテントを去った。
しかし、また戻ってきて6人を起しにかかった。・・・その手にはオタマとフライパンが握られている。
カンカンカーン!!!
『うっわあぁぁぁぁっっっっ!!!!!』
壮大な音にタケルとヒカリ以外はがばっと起き上がった。なになに!?と辺りを見渡したりしている。
「はい、おはよう」
さ〜あ顔洗ってきて〜と空は外に出るよう促す。
「・・・眠い・・・」
と太一が一言。しかし心臓はバクバクいっている。
「そうなの?じゃあ・・・はい、顔洗ってらっしゃいv」
空はグチる太一を一掃してタオルを投げ渡した。
結局最後まで起きなかったのはミミだった。
誰がミミを起すか?と言う問題に6人は一斉に光子郎を見た。
「ど、どおして僕を見るんです・・・?」
「そりゃ・・・ねぇ・・・?」
「・・・なぁ・・・?」
「光子郎がミミちゃん起すのに最適だと思う人!」
『はぁーい!!』
「・・・・・・」
こうなったらもう光子郎に断れるはずがなかった。光子郎は仕方なくミミの寝ているテントに足を踏み入れた。
「・・・・・・・・・・・・」
なぁんてかっこして寝てるんだこの人は・・・。と光子郎は思った。
はぁ・・・と溜息をついてからミミのとこにしゃがみこんで肩をゆさゆさと揺らした。
「ミミさん!ミミさん!起きて下さいってば、ミミさん!」
何度か揺らすとミミがうっすら眼を開いた。
「・・・うにゃ・・・・・・。こ・・・しろ・・・くん・・・?」
次の瞬間ぱちぃっとミミの眼が完全に開いた。
「っきゃぁぁぁっっっ!なぁんで光子郎くんがここにいるのぉっ!?」
「ミミさんを起しにきたんですってば!」
「・・・そうなの?」
「そうなんです」
「なぁ〜んだ、夜這いに来たのかと思っちゃったv」
「・・・とっくに朝ですってば・・・」
ああ、平和かな・・・。

とりあえず朝食を食べ終えた8人はそれぞれの遊びに夢中になった。楽しい時間というのは時間が流れるのが早いもので・・・。
「あら、もう2時?そろそろ下山しないと・・・太一ー!」
腕時計を見た空はさっきからヒカリと遊んでいる(ってゆーか振り回されてる(笑))太一に声をかけた。
「なんだー空ー?」
「そろそろ帰んないとー」 そう言われて太一も自分の腕時計を見た。
「うげ、もうこんな時間かよ。・・・おーいみんなぁっ。そろそろ帰るから仕度するぞーっ!!」
太一が言うと一部から『えーっ』という声があがったが太一たちも含め、渋々テントなどを片付け始めた。
片付けること約1時間。まぁ親もいないし、この時間は上出来ではないだろうか。
「・・・よし、忘れ物ないよな?」
「ああ、ゴミも全部まとめた」
「うし!じゃあ帰るか!」
帰りは行きと違い、みんなも疲れてる。まして、タケルやヒカリはまだ8歳。太一たちに比べ疲れも溜まってるのであろう、さっきからあくびばかりが出た。
「なんだ、眠いのか、タケル?」
「ヒカリも眠いのか?」
「うゆー。へいきー」
タケルはごしごしとおっきな眼を擦った。ヒカリも強がって平気〜と答えた。
「でもなぁ・・・」
「不安だなぁ・・・」
太一とヤマトはやっぱり必要以上に心配した。
「ヒカリ」「タケル」
『おぶってやるよ』
太一とヤマトはハモって言った。
「え〜。いいよ、おにいちゃん、おもいでしょ?」
「そうだよ。それにおにいちゃん、わたしのぶんもよけいにもってるんだし・・・」
二人は一回は辞退したが、10分もするともう限界だ。
「おに〜ちゃぁ〜・・・」
「ね・・・むぃ・・・」
二人はふらふら歩いてる。
「ほら、背負ってやるから」
「荷物貸せ」
二人は兄の言うとおりにして、背負われるとすぐに寝入ってしまった。
「ふふっ。かわいいわね〜」
「ったりめーだろ。オレの妹なんだから」
「同じく、俺の弟なんだから」

8人は一回マンションに戻った。まぁヒカリは太一と同じ家だからよしとして、タケルは完全に寝入っているのでヤマトの家で寝かすことにした。
「んじゃあ明日はここに9時に集合な!」
太一がタケルたちを起さぬよう幾分か声を抑えて伝えた。
「ああ、わかってるって。お前こそ明日は遅刻すんなよ?」
「わーってるて」
「じゃあおやすみなさい」
おやすみーと言ってそれぞれ家へ帰路についた・・・。


―2000年・8月3日―

今日は記念の最終日。・・・そう、今日は・・・・・・
「おう。今日は遅刻しなかったな!」
「ったりめーだろ!」
「あれ?ヒカリさん、その花束・・・」
光子郎はヒカリが大事そうに抱えている綺麗な花束に目を向けた。
「あ・・・これは・・・」
「あぁ・・・そっか、今日は・・・」
そう。今日はウィザーモンが・・・亡くなった日。
「そんなに哀しそうな顔しないで。大丈夫よ、ウィザーモンはきっとデジタマになって生まれ変わってるから・・・」
慰め程度の空の言葉だったが・・・それでもヒカリには嬉しかった。

紅と赤と朱でできたような夕焼けが近づく。
―――――とりあえず、8人の『記念日』は終わりを迎えようとしていた。少しの胸の疼き。それは、今日への『寂しさ』と、明日への『期待』。
「んじゃ、ここで解散と行くか」
太一がちょっと寂しそうに告げた。
「楽しかったな」
「ええ。1年前のこと、久々に皆と語れたし」
「ねえねえ!また来年もこうやってこない!?」
ミミのいきなりの発案だったが、反対するものなどいるはずもない。こうして、1年後の『約束』は成立した。
「丈〜。『僕、塾があるから〜』とか言って休むなよ〜?」
「しっ失礼なっ!僕だってたまには塾より優先するさ!」
「『たまに』ねぇ・・・」
丈には悪いが、7人は笑ってしまった。丈はぷりぷりとたタコのように怒っている。
「・・・それじゃあ」
「またね♪」
「おやすみなさい」
こうして、それぞれは昨日のようにそれぞれの家に帰っていった。
明日からまた、『普段の』日常が戻ってくる。

―それから二年後。また『普通ではない日常』が太一たちの前に臨(お)りてくる。
それは、さらなる『大切』な『想い出』への一ページ。

―あなたは何を望む?『結束』?『想い遣り』?
・・・それは私が答えていいものじゃないけれど・・・。
それぞれの胸には自分でも忘れているような『大切』があるから。
それは『想い』のように、『すれ違い』のように見え隠れするけど・・・。
大丈夫!きっと見つけられるから!
だって、あなたはひとりじゃないもの。『想い』を胸に、『大切』を廻りに。



☆END☆


コメント
終わりました〜。実はこれ一回消えました(泣)
アップはしっかり取っておきましょうですね・・・(教訓)
これはデジモン終わっちゃって哀しいな〜と思ってるときに書きました。
テイマーズも好きですが、原点である無印が一番好きですねv